消防設備点検って義務?報告が必要な建物・書類の作り方を解説

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2021年04月15日 配信
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消防設備点検って義務?報告が必要な建物・書類の作り方を解説

消防設備点検って義務?報告が必要な建物・書類の作り方を解説
BCP,オフィス環境改善・施設管理

消防設備の点検は人命を左右する重要な作業ですが、普段の定常的な業務に追われがちで、意識しないと対応できない業務です。加えて、実際にどのようなことをすべきかを把握できていないこともあるでしょう。 そこで今回はオフィスや雑居ビルなどで必須とされる消防設備点検について、具体的な条件や頻度、消防設備報告の実施の流れや書類の作り方などを解説していきます。

消防設備点検とは?

消防設備点検とは、消防法第17条で定められている法定点検制度です。専門知識を備えた有資格者による定期的な点検を行い、建物を管轄する消防署又は出張所へと点検報告を行う必要があります。
普段働くオフィスには、スプリンクラーや消火器、煙感知器や火災報知器などのさまざまな防災・消防設備が備わっています。これらは有事の際に人命を左右する非常に重要なもので、万が一の際に作動しなかった場合は大事故につながることも懸念されます。実際に2001年の新宿歌舞伎町で起きたビル火災など、雑居ビルで大規模な火災が発生し多くの犠牲者を出したケースも過去に発生しています。

報告の義務を怠った場合は罰則も

消防設備点検は、前述したように消防設備士、消防設備点検資格者などの専門家の立ち会いのもと、定期的に実施して関係機関へと報告することが義務づけられています。もし、報告を怠った場合には、消防法第44条に則り立入検査などの指導が行われます。それでもなお報告がなかった場合には、30万円以下の罰金または拘留の罰則が課されるため、消防設備点検は必ず行う必要があります。

消防設備点検が必要な建物

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消防設備点検は、以下の条件に該当する建物に必要とされます。

延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物

延べ面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積のことです。1,000㎡というと広く感じるかもしれませんが、ある程度の階数・フロア数がある雑居ビルや商業施設などはこの条件に該当します。
特定防火対象物とは、劇場や映画館、ナイトクラブといった風営法対象の娯楽施設や、老人ホームや病院、保育所などです。これらの施設には不特定多数の人々が出入りするため、火災発生時の円滑な避難が難しく危険性が高いとされています。ほかにも地下街や百貨店、ホテルや旅館なども特定防火対象物にあたります。
なお、特定防火対象物の場合、後述する非特定防火対象物と比べて点検における報告の義務や設置する設備などの内容が異なります。

延べ面積 1,000㎡以上の非特定防火対象物で、消防長または消防署長が指定したもの

非特定防火対象物とは、工場、事務所、倉庫、共同住宅、学校などの施設を指します。これらは特定防火対象物ではないものの、各地域の消防長・消防署長が必要であると判断した場合に消防設備点検が義務化されます。とはいえ非特定防火対象物についても消防設備点検は安全管理上必要不可欠のため、基本的には「ある程度の延べ面積がある場合、点検は義務」と解釈しておいて問題ないでしょう。

屋内階段が1つのみの特定防火対象物

延べ面積が1,000㎡以下の特定防火対象物であっても、屋内階段が1つのみの場合、消防設備点検が同じく義務づけられます。これは避難経路が一種類しか存在せず、有事の際にリスクが高まることが懸念されるためです。
なお、以上のいずれの条件にも満たない防火対象物については、防火管理者などが設備点検を行うことも可能とされています。しかし、点検時の安全などを考慮して、基本的には有資格者による点検が推奨されています。

消防設備点検の報告頻度は?

消防設備点検を実施し報告することが義務づけられている頻度は、特定防火対象物の場合「1年に1回」、非特定防火対象物の場合「3年に1回」です。建物の用途や規模、構造といった条件に沿って、いずれかの頻度で定期的に点検報告を提出することが必要です。

上記はあくまでも「報告」の頻度であり、後述の通り実際の設備点検自体は年に2回程度行う必要があります。

行う必要のある消防設備点検の種類

ここでは、実施が義務づけられている消防設備点検の種類について解説します。消防設備点検の種類は、「機器点検」と「総合点検」の2種に大別されます。

機器点検

機器点検は、6カ月ごとに1度実施しなければならない項目です。消火器など消防設備の外観や設置場所などをチェックし、適切に運用されているかどうかを確認します。この際、簡易的な操作により設備機器がきちんと機能しているかといった事柄も確認します。
対象となる消防設備は消火器具のほかに、火災報知設備や警報器具、非常用の電源や配線、誘導灯など、施設によりさまざまです。

総合点検

総合点検とは、1年に1度実施する消防設備の機能をチェックする点検作業です。実際に設備を稼働させることで、総合的な動作確認やエラーチェックなどを行います。半年に1度の機器点検と合わせて、「合計で年2回の点検作業が必要となる」と覚えておくとよいでしょう。

消防点検報告の流れ

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消防設備点検についての条件や概要、頻度などが整理できたところで、続けて消防点検~報告までの大まかな流れを解説します。

まず、消防設備業者など有資格者が在籍する団体へ、点検を依頼します。消防署が直接点検を請け負うことはないためご注意ください。その後、依頼を受けた消防設備士等資格者が、建物へと来訪します。点検時には、関係者も必要に応じて立ち会わなければならない場合もあります。
点検が完了したら、資格者のもと作成された点検結果報告書を管轄地域の消防署(または出張所)へと提出します。窓口での受付のほか郵送での対応にも応じており、点検結果に異常や不良箇所があった場合、速やかに改修を行う必要があります。 なお、点検実施事業者の情報は各地域によって異なります。事前にインターネットなどで調査の上、依頼を行ってください。

報告書類の作り方と提出方法

報告書の作成は、定められた様式によって行います。テンプレートファイルは一般財団法人日本消防設備安全センターなど、関係各所のウェブサイト上から入手が可能です。

必要な書類は主に「消防用設備等点検結果報告書」「消防用設備等点検結果総括表」「消防用設備等点検者一覧表」「必要設備の点検票」の4種ですが、点検票を同封する場合「消防用設備等点検結果総括表」は省略が可能とされています。ただし法令や消防庁告示などは、随時内容の変更などもあり得るため、点検・報告書作成の都度最新情報を入手するようにしましょう。

点検結果の報告先・提出先は建物の管轄によって異なり、基本的には住所ごとに定められた各消防署へと提出します。郵送の場合、到着後1~2週間程度で手続きが完了します。
この際、書類の不備や配送事故、必要書類の抜けなどがあると正常に処理されない可能性もあるため十分ご注意ください。

まとめ

今回は意外と知られていない消防点検の内容や基準、頻度や報告の方法などについて詳しく解説しました。普段つい意識から外れがちな消防・防災といった項目ですが、多くの人が出入りする環境においては非常に重要となる要素です。「もしものとき」が来た際、命を守る大切な存在が消防設備です。
なお消防設備の点検について、防火対象物の規模や用途によってはご自身(無資格者)でも点検報告できる場合があります。有資格者による点検を要する規模・用途の場合は、最寄りの消防用設備等点検業者にお尋ねください。

また、消防設備点検と同様に重要性が高まっているのが、「企業の防災備蓄」です。 東日本大震災から2013年4月に「東京帰宅困難者対策条例」という防災備蓄に関する条例が施行され、災害時にも従業員が施設に留まれるよう3日分の防災備蓄準備が努力義務として記載されています。 また「防災食品の市場規模」は10年間で1.8倍と増加しており、企業も対応を迫られております。

ただ企業として、在庫の管理や賞味期限の管理が難しく防災備蓄の設置状況が不十分である企業が少なくありません。パソナ日本総務部ではそんなお客様の声にお答えして、防災備蓄品ワンストップサービスを行っております。

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