消防設備点検の費用ってどれくらい?費用体系や相場について解説
消防設備点検の費用ってどれくらい?費用体系や相場について解説
消防設備点検の費用は建物の種類や面積によって異なりますが、~1,000㎡程度のオフィスビルで30,000~40,000円程度が相場といわれています。大規模な事務所ビルでは数十万円以上の費用がかかるケースもあることから、「自分でできないの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。 そこで今回は、消防設備点検の基礎知識や費用相場、点検業者の選び方などについてわかりやすく解説します。
消防設備点検とは
消防設備点検とは、消防法によって定められた点検制度で、消防にかかわる設備を定期的に点検し管轄の消防署や出張所へ点検報告を行う一連の作業のことです。消防設備点検を行う点検者は専門知識と資格を有している必要があります。
私たちが日ごろ暮らしているマンションや働いているオフィスなどには、消火器や火災報知器、スプリンクラーなど防災のための設備が数多く設置されています。命を守る消防設備を定期的に点検し、有事の際に作動しないなどのトラブルを防止する目的で実施されます。
消防設備点検は自分でできるのか?
消防設備点検には業者の手配や費用の支払いが発生するため、「自分でできるならしたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からいえば、消防設備点検は有資格者による点検と報告が必要であると法律で義務付けられているため、一部の例外を除いて自分で行えません(延べ面積が~1,000㎡未満、建物内に階段が1つしかなく、飲食店や物品販売などの不特定多数の人が出入りする物件が3階以上もしくは地下に存在しない場合に限り、自分で点検が可能ですが推奨されていません)。
消防設備点検を行える有資格者は「消防設備点検資格者」や「消防設備士」などであり、設備点検を行った後は所定の機関への報告が義務付けられています。定期的な点検・報告が行われていない場合は消防法にのっとって立ち入り検査と指導が行われます。
立ち入り検査の後も報告がない場合は、罰金や拘留の対象となるケースもあるため注意が必要です。
消防設備点検の費用相場
消防設備点検には費用がかかりますが、費用相場はどの程度なのでしょうか。ここでは、具体的な計算方法や建物別の相場について解説します。
消防設備点検の計算方法
一般的に、消防設備点検の費用は「人数×時間+経費」で決められています。ただし、点検業者によっては建物の広さや種類、消防設備の数や種別などによって費用を独自に算出する場合も少なくありません。
多くの点検業者の料金体系では、建物が広く点検する消防設備が多いほど費用が上がる傾向にあります。
ほかにも「土日祝日」「深夜作業」「全室点検」などに当てはまる場合は、追加料金を請求されることもあるため注意が必要です。全室点検で追加料金を請求されるのは、1日ではなく数日間にわたって点検を行うケースが多いといえます。
さらに、点検業務を消防設備会社の下請け業者が担う場合は、中間マージンが発生して費用が高額になる可能性があります。費用を安く抑えたいのであれば、独立系の消防設備会社を選ぶのがおすすめです。
消防設備点検期間の違い
消防設備点検には「機器点検」と「総合点検」の2種類があり、どちらを実施するかによっても費用が変わってきます。機器点検は6カ月ごと、総合点検は1年ごとに実施することが法令で定められています。
機器点検では、消火器やスプリンクラーなどの消防設備の外観・設置場所などを点検して、正しく運用されているかを確かめます。消火器具のほかにも、警報器や火災報知器、誘導灯なども点検対象に含まれます。
一方の総合点検は、1年に1回消防設備の機能を点検する作業です。消防設備を実際に動かし、トラブルが起こっていないかを確かめる目的で行われます。 機器点検と合わせると、1年に2回の点検が必要になります。
消防設備点検の建物別相場
消防設備点検にかかる費用は、建物の種類と広さによって異なります。
オフィスビル・雑居ビル
オフィスビルや雑居ビルでは、~1,000㎡の面積で30,000円程度が相場です。一室あたりの料金は3,000円程度であり、マンションやアパートに比べるとやや安価に抑えられる傾向にあります。
マンション・アパート
マンションやアパートの消防設備点検は、大家が行わなければならないと義務付けられています。
マンションとアパートの費用相場は、点検する設備の数によって異なるケースが多いといえます。消火器具、避難器具、火災報知設備などの基本的な設備のみを点検するのであれば35,000円程度、連結送水管や非常電源専用受電設備などの設備も点検する場合は55,000円程度が相場です。
病院
病院の消防設備点検費用は、個人病院なのか総合病院なのかによっても異なります。 例えば~500㎡程度の小規模な個人医院では、点検費用が15,000円程度のこともあります。一方で延べ床面積が10,000㎡に達するような大型の総合病院なら、300,000円程度かかることもあるようです。
店舗(飲食店)・工場
比較的小規模な飲食店などの店舗では、20,000~30,000円程度に収まることも少なくありません。ただし、店舗を賃貸物件で運営している場合、消防設備の点検費用は賃借人負担になるケースが多いようですが、契約書に明記されていない場合は詳細を確認しておきましょう。
工場は建物の面積によっても異なりますが、大規模工場であればかなりの高額にのぼることもあるようです。
費用だけで決めて大丈夫?消防設備点検の業者の選び方
消防設備点検の業者を決める際は、少しでも費用が安い業者を選ぼうとしがちです。しかし、費用だけを見て業者を選ぶと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあるため、次の3つのポイントを意識して選ぶことが重要です。
見積もりの詳細が記載されているか
見積もりができるだけ詳細に記載されている業者を選ぶと、どの作業にいくらの費用が計上されているのかがわかるので安心です。
「一式〇万円」のように合計費用が表示されているだけだと、どのような点検を行うのかがわからないため、当日行われると思っていた点検が含まれていなかったなどのトラブルにつながるおそれがあります。
法改正などに点検内容が即しているか
消防設備点検は法令によって定められているため、法令が改正されるなどの理由で点検内容が改定されることもしばしばあります。このような場合に点検が新しい法令に即しているかどうかも、重要なチェックポイントです。
いつまでも古い法令にのっとって点検を行っている業者を選んでしまうと、正しい基準で消防設備点検を行っていないことになり、公的機関から立ち入り検査などの対象にされる原因になります。
必ず最新の法令にのっとった点検を行っていることを確認した上で、点検を依頼することがおすすめだとされています。
点検だけでなく、報告までしてくれるか
前述のように、消防設備点検が完了した後は関連機関への報告が義務付けられています。したがって、点検だけでなく報告まで滞りなく行ってくれる業者なのかどうかも見極める必要があります。
点検のみを行って報告されていないことに気がつかずにいると、義務を果たしていないとみなされて公的機関から立ち入り検査を求められるおそれがあります。
まとめ
消防設備点検はどのような建物でも点検・報告が義務とされているにもかかわらず、実際の報告率は5割程度に留まっているのが現状です。法令違反で処罰されないためにも、消防設備点検は必ず行い、所定の報告を済ませることが大切です。
なお消防設備の点検について、防火対象物の規模や用途によってはご自身(無資格者)でも点検報告できる場合があります。有資格者による点検を要する規模・用途の場合は、最寄りの消防用設備等点検業者にお尋ねください。
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