パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社
省エネコンサルティングサービスの導入事例
【パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社】
事業活動に地球環境への取組みが求められる中、さらなる省エネ化推進のために『省エネコンサルティングサービス』を導入。
- 名称
- パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社
- 導入先住所
- 〒 224-8520
神奈川県横浜市都筑区池辺町4261番
省エネコンサルティングサービス
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2排出量削減に取り組む企業・団体が増えています。
重要性は理解しているが何から着手すればよいか分からない、というお客様のお悩みを、
コンサルティングサービスで解決いたします。
「省エネコンサルティングサービス」は、省エネに関する専門的知見を活かし、クライアント様の施設や工場の各種設備・電力量などを隅々までチェックすることで、改善部分を多角的に見出し、省エネ化に向けた具体的な提案を行います。
また、提案後は改善の実施状況を確認し、必要に応じてアドバイスを行う事でより一層の省エネ化を推進します。
今回、パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 品質保証センター 環境推進部のお二人に「環境コンサルティングサービス」によって得られたメリットなどを、省エネ診断を実施したパソナ日本総務部の担当者を交えてお聞きしました。
右:パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 品質保証センター 環境推進部 環境ソリューション推進課 課長 青井昭人様
左:パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 品質保証センター 環境推進部 環境ソリューション推進課 係長 永原誠様
パナソニック オートモーティブシステムズ様の環境への取り組みについて
青井様
当社はパナソニックグループの中で、オートモーティブ事業を担っている会社です。
車載用のスイッチ類やモニター、充電器、カーナビゲーションシステムやドライブレコーダーなど多岐に渡る製品を製造開発しており、国内外に12の拠点を持っています。
私たちは「持続可能なモビリティ社会」を目指して積極的に地球環境への取り組みを進めており、パナソニックグループの中でも先陣を切って自社のCO2排出量実質ゼロに取り組んでいる会社だと自負しています。
また近年、特に欧米の自動車メーカーから環境への取り組みに対する要望が強まっているため、当社ではすべての事業活動において「環境」を基軸に据えて活動しています。
会社全体でCO2排出量ゼロを目指す
会社全体で取り組んでいる「攻める環境革新プロジェクト」について教えてください
青井様
「攻める環境革新プロジェクト」とは、会社全体で環境への取り組みを行う社長直下のプロジェクトです。KPIが2つあり、1つ目に「全拠点で対前年3パーセントの省エネ率達成」、2つ目に「自社による再生可能エネルギー増加」を設定しています。
プロジェクト発足の背景について、もう少し詳しく教えてください
青井様
まず前提として、パナソニックグループ全社において3つのインパクトにより地球環境に貢献することを目指した「Panasonic GREEN IMPACT」という長期環境ビジョンがあります。
これを実現するために、2030年までに全事業会社で自社拠点におけるCO2排出を実質ゼロ化することを社内外に発信しています。
この目標があるとは言え、当社が「攻める環境革新プロジェクト」を設置してまで前のめりに取り組む理由は、車載システム事業を取り巻く環境にあります。特に欧米の自動車メーカーからは、いつまでにカーボンニュートラルを実現できるかのロードマップを要求されています。
これらの背景から、私たちは将来的に要求がより厳しくなることを見据えて、環境への取り組みを競争力の源泉と捉えプロジェクトを設置し、積極的に取り組んでいくことにしたのです。
今後ますます自社の再生可能エネルギー利用を増やし、化石燃料由来の電力使用量を減らす取り組みを進め、2050年までにはCO2を全く出さない事業体になることを目指しています。
さらに専門的な知識と高い知見を求めてパソナ日本総務部へ
省エネコンサルティングサービスを依頼したきっかけはなんでしょうか?
青井様
「攻める環境革新プロジェクト」で省エネ活動に取り組んでいますが、すでに自分たちで考えられる改善策は、ある程度実施し尽くしてきました。そこで、第三者の専門家に外部の視点で診断していただくことで、新しい省エネテーマの発掘をしたいと考え、パソナ日本総務部に相談しました。
パソナ日本総務部に依頼した理由をお聞かせください
青井様
パナソニックグループでは過去に省エネ活動が盛んだった時期があり、当時の知見を持つ人材がグループ各社内に残っておられます。ただし当社では、そうした知見を持つ人材が少なくなっているため、まずはグループ内の専門家の力を借りながら省エネ活動を進めていくことにしました。そこで、パナソニックグループ各社の総務や施設管理業務を担うパソナ日本総務部の赤﨑さんに依頼しました。
また、当社の工場はカーメーカー様に納入するOEM生産であることから機密事項も多いため、外部の方に工場内を見ていただくことには制約があることも理由の一つです。
パソナ日本総務部の環境マネジメントのベテランが省エネ化に貢献
パソナ日本総務部(赤﨑)
以前は企業による環境への取り組みがそれほど重視されていませんでした。しかし、1996年に環境マネジメントシステムの仕様を定めるISO 14001が制定され、これが工場の重要な評価ポイントになってきました。
その際、法律で定める事項の遵守であったり、難しい資格の取得が必要であったりと、さまざまな対応が求められるようになりました。これらに積極的に取り組むことで、環境や省エネに関する知見を積んできました。
私の代表的な実績として、エネルギー使用量の削減によるエネルギー指定管理工場の区分変更が挙げられます。
省エネ法では、事業者全体のエネルギー使用量に応じ「特定事業者」の指定を受けます。さらに、保有する工場のエネルギー使用量が1,500kl./年度以上の場合は、各々の工場が「エネルギー指定管理工場」として指定されます。
エネルギー指定管理工場には第一種と第二種があり、使用量の多い第一種指定工場には厳しい規制がありますが、第二種ではその規制がかなり緩和されます。一般的に、この区分を下げることは極めて難しいのですが、さまざまな省エネ活動によって実現しました。
この実績を通じて、行政から中小企業の省エネ診断などを依頼されるようになり、多くの省エネコンサルティングに携わるようになりました。
さまざまなチェック項目で省エネの可能性を見出す
省エネ診断はどのような方法で実施しましたか?
パソナ日本総務部(赤﨑)
例えば、空調や照明、すべての工場に必ず設置してある原動設備など、さまざまな設備を調査し無駄がないかを調査します。
調査では電力計などで実際に計測して、どの部分に無駄があるかを探します。
その結果、現在の利用方法をこう変えれば使用エネルギーが少なくなるのではないか、という具体的な改善策を見つけていきます。
省エネ診断にはどれ位の時間が必要でしたか?
青井様
1つの拠点に対する診断活動は、約2日間ほどです。当社の横浜拠点をはじめとして複数拠点の省エネ診断をお願いしたため、トータルでは1年半ほどかかりました。
省エネ診断の進め方ですが、最初の1日〜1日半をかけて拠点の隅々まで見ていただきました。診断中には気づき事項と共に、改善策の実施による省エネ効果の大小や難易度を細かく記録していただいています。
最後に拠点側に対して、指摘事項の共有と改善提案をプレゼンテーションするという流れでした。
その後、拠点側でその改善提案をどのように実行に移すかを検討しました。自社による実行フェーズにおいても都度アドバイスを受けることができ、適切に省エネ化に取り組めました。
実際にどのような点で省エネを実現できましたか?
青井様
パソナ日本総務部に提案いただいた省エネ策の一例として、給水ポンプの刷新が挙げられます。
ある古い拠点ではほぼ100%井戸水を使用しています。昔から利用していた井戸水の配水システムでは、一度水を高い位置にあるタンクにくみ上げ、そこから高低差による圧力を利用して拠点内に供給していました。
しかし最近は、高い位置まで水をくみ上げなくても、強力に水を押し出せるポンプがあります。このような新しいポンプの導入で、より省エネルギーで井戸水の供給ができるようになりました。
今後さらなる省エネ化に向けて、どんな取り組みをお考えでしょうか
青井様
世界的にCO2排出削減が叫ばれており、それはScope1、2、3(※)すべてを対象としています。
※モノの製造~廃棄までの、サプライチェーンにおける温室効果ガス(GHG)排出量を捉える分類方法。「Scope1(自社が直接排出するGHG)」「Scope 2(自社が間接排出するGHG)」「Scope 3(原材料仕入れや販売後に排出されるGHG)」から構成される。
ただScope3は範囲が非常に広いため、世界的にScope3をどのように削減していくかについて、現在議論が行われているところです。
そのため多くの企業は、まずは自社で直接コントロールできるScope1と2の削減に全力で取り組んでいます。しかしScope3には、私たちが購入している原材料や部品などのサプライヤー企業の活動も、当社製品のCO2排出量に含まれてしまいます。
つまり、私たちがお客様にCO2ゼロの製品を提供するためには、自社の活動だけでなく、サプライヤーからもCO2ゼロの状態で材料・部品を調達する必要があります。もしサプライヤーがCO2ゼロを実現できない場合、私たちが自社の活動でそれを相殺するしかありません。
私たちは現在、自社の活動(Scope1と2)に注力していますが、お客様からCO2ゼロの製品を求められた場合、サプライチェーン全体における取り組みの強化が必要となるでしょう。
また私たちは、毎年3%の省エネを目指し取り組んでいますが、これからも継続して達成していくためには、先を見据えた新しい環境技術の導入を積極的に検討する必要があります。そのためには、省エネ化につながる技術に関する知見を広く集め、それを実際の成果に結びつけていく活動が必要だと考えています。
※本事例に記載の情報は初掲載時(2024年4月)のものです。