Webサイトを多言語対応しよう!メリット・デメリットや方法、ポイントをご紹介

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2020年02月27日 配信
2025年01月20日 更新

Webサイトを多言語対応しよう!メリット・デメリットや方法、ポイントをご紹介

Webサイトを多言語対応しよう!メリット・デメリットや方法、ポイントをご紹介
翻訳・通訳,コミュニケーション

いま、観光やビジネスをきっかけとした、日本と世界各国との国際交流の機会が非常に増えています。特に観光分野においては、日本政府観光局の発表によると、2019年10月に約249万7,000人だった訪日外国人観光客(インバウンド)は、2024年10月には331万2,000人と32.7%も増加しており、数年間で海外からの観光客との接点は拡大したと言えます。日本と海外との接点が拡大するにつれ、異国間での商品販売を行う越境ECをはじめ国際的な取引が行われる機会も増えています。このような背景において、企業に求められているのがWebサイトの多言語対応です。今回は実際の事例を参照しながら、多言語化のメリット・デメリットや具体的な方法、対応のポイントなどをご紹介します。

Webサイトの多言語対応とは?

Webサイトの多言語対応とは?

Webサイトにおける多言語対応とは、サイト内のコンテンツを自国以外の言語においても利用できるようにすることを指し、「ローカリゼーション(ローカライゼーション、ローカライズ)」とも呼ばれます。
たとえば、飲食店チェーンのサイト内に掲載されているメニュー情報を英語や中国語などの言語に翻訳しつつ、「どんな料理なのか」を異文化圏の人にもわかるように解説文などを加える、といった試みも多言語対応の一種です。

Webサイトの多言語対応を進めるべき理由・背景

そもそも、なぜWebサイトの多言語対応を進めることが重要視されているのでしょうか。それは、現代の日本において外国人観光客と在留外国人の消費規模が急速に高まっていること、そして越境ECの市場拡大が予測されていることが関係しています。

訪日外国人観光客と在留外国人による消費規模の拡大

前述の通り、訪日外国人観光客の数は増加しています。それに伴い消費額も大幅に増加しており、2019年には過去最高額となる約5兆円規模に達しました。
さらに見逃せないのが、日本で暮らす在留外国人の存在です。法務省は、2019年6月時点で過去最高となる約280万人が日本に在住していることを発表しており、外国人観光客と同じく大幅な増加傾向にあります。また在留外国人の消費額も同様に非常に大きな規模であると見られており、およそ3兆円から5兆円に達するとされています。
このように、外国人観光客と在留外国人に関する市場は総計10兆円規模にのぼり、経済活動のうえで強い存在感を放っていることから、Webサイトの多言語対応が急務であるとの見方が強まっています。
外国語を使う方々のニーズの受け皿を広く持ち、機会損失を防ぐためにも、多言語対応はもはや企業として必須の対応と言っても過言ではないでしょう。

越境ECの市場拡大

越境ECとは、国境を越えて通信販売の取引を行うECサイトのことです。インターネットの普及によりネットショッピングの利用率が高まったことで、越境ECのシェアも中国やアメリカを中心に世界各国でどんどん広がっており、今後さらに市場が拡大すると予測されています。
実際に経済産業省の発表によると、越境ECの市場規模(推計値)は2021年時点では7,850億USドルですが、2030年には7兆9,380億USドルにまでに拡大すると予測されています。年平均成長率は約26.2%と推計されており、このデータから越境ECの市場規模は拡大し続けていくと考えられています。
この点を踏まえると、今のうちからECサイトの多言語対応を行い、越境ECの市場拡大に備えておく必要があると言えるでしょう。

Webサイトの多言語対応を進めるメリット・デメリット

Webサイトの多言語対応を進めることには、以下でご紹介するメリットとデメリットがあります。

メリット

メリットには、主に以下の3つが挙げられます。

見込み顧客が増加する

多言語対応によってWebサイトがさまざまな言語で表示されるようになると、海外のユーザーからの自然流入を獲得しやすくなります。場合によっては海外のインフルエンサーが興味を持ち、商品やサービスをSNSで紹介してくれる可能性もあり、そうなればその国のユーザーからの問い合わせが増えるかもしれません。
この流れから、Webサイトの多言語対応には見込み顧客増加のメリットがあると言えるでしょう。

グローバルビジネスの足掛かりになる

自社の商品やサービスを海外に展開したいと考えている場合、まずは展開する国や地域の方々に自社を認知してもらう必要があります。ただ、このときWebサイトが日本語表示のみだと、どのような企業なのか、どのような商品・サービスを扱っているのかなどが海外の方に伝わらず、十分なPR効果が期待できません。
Webサイトの多言語対応を行えば、自社の特徴や魅力が海外の方に伝わりやすくなるため、グローバルビジネスの足掛かりとして大いに効果を発揮するでしょう。

ブランディングにつながる

Webサイトの多言語対応というと、グローバルビジネスを目的とした施策というイメージが強いかもしれませんが、何もその限りではありません。
多言語対応によって、日本を含む世界各国のユーザーに「世界展開に積極的に取り組んでいる」「将来性がある」と良いイメージを持ってもらいやすくなることから、企業のブランディングにもつながります。ファンや人材の獲得も期待できるため、この点も大きなメリットと言えるでしょう。

デメリット

デメリットには、主に以下の2つが挙げられます。

工数とコストがかかる

すでにあるWebサイトを多言語対応するにも、これから制作するWebサイトを多言語対応するにも、ある程度の工数がかかります。
エンジニアやデザイナーなどサイトそのものの制作に携わる職種はもちろん、翻訳者をはじめとする多言語対応に携わる職種のリソースもおさえる必要があるため、場合によっては完成までに想像以上の時間がかかることもあるでしょう。
また、Webサイトの多言語対応にはコストもかかります。多言語対応をしてすぐ成果が現れることは稀なので、しばらく投資の効果を得られない可能性もあります。

トラブルや修正が発生する可能性がある

日本語版のWebサイトをそのまま多言語対応した場合、外国語版のページでトラブルが発生することがあります。たとえば、翻訳後の文章が長くなりレイアウト崩れが起きたり、通貨の表記だけを差し替えて「1,000円→$1,000」のような誤った価格になったりすることがあり、適宜修正が求められます。
言語によっては文字化けが発生する可能性もあるため、多言語対応後もこまめにチェックする必要があります。

Webサイトの多言語対応を進める際の方法・流れ

Webサイトの多言語対応を進める際の方法・流れ

Webサイトの多言語対応は、一般的に以下の方法・流れで行います。

1.目的を明確にする

まず、どのような目的でWebサイトを多言語対応するか明確にします。これにより、やるべきことや解決すべき課題が見えやすくなります。
もし、目的を明確にしないままWebサイトの多言語対応を進めると、方向性が定まらずスムーズに進められなくなってしまいます。これでは余分に工数やコストがかかってしまうため、そうならないためにも初めに目的を決めるようにしましょう。

2.多言語対応する情報を決める

Webサイトの多言語対応を行う場合、基本的にはすべての情報(ページ)が翻訳の対象となります。ただし、情報を限定して翻訳を進めることで工数とコストを抑えることができるため、必要に応じて翻訳する情報を絞り込むのも有効です。事前に社内で話し合い、翻訳すべき情報の選定を行いましょう。
なお、海外からのアクセスが多いページや海外のユーザーに向けた情報が含まれているページは優先的に翻訳することをおすすめします。

3.多言語対応する言語を決める

多言語対応する情報が明確になったら、次は対象言語を決めましょう。先に決めた目的や企業および商品・サービスのターゲット、また今現在アクセスが多い国・地域などを踏まえて選定することが重要です。
なお、日本を訪れる外国人観光客のうち、とくに多く見られるのは韓国・台湾・中国などの東アジアの人たちです。くわえて、アメリカから訪れる観光客も安定して多いため、このデータも考慮して対象言語を決めると良いでしょう。

4.多言語対応の方法を決める

次に多言語対応の方法を決めます。具体的には「多言語化ソリューションの導入」「CMSプラグインの利用」「翻訳会社への依頼」から選択するのが一般的です。
ツールやプラグインによる多言語対応は、自社で完結できるというメリットがある一方で、翻訳後の表現に違和感が残るというデメリットがあります。
そのため、ハイクオリティな多言語対応を目指すなら、信頼できる翻訳会社または翻訳サービスを扱う会社に委託するのが望ましいでしょう。

5.多言語対応のWebサイトのデザインを見直す

Webサイトの多言語対応が終わったら、ページのレイアウトやデザインを見直します。翻訳による文字数の変化でレイアウト崩れが起きたり、その国や地域のユーザーに対して不親切なデザインになっていたりすることがあるからです。
必ず行う作業なので、多言語対応する言語が決まったタイミングでその国や地域のWebサイトを参考にレイアウト・デザインを考えておくと良いでしょう。

6.海外向けのSEO対策を検討する

最後に、多言語対応したWebサイトのSEO対策を検討しましょう。とくに自然流入を獲得したいと考えている場合は必要な施策となります。
SEO に必要なキーワードやタグを設定するのはもちろん、多言語対応したWebサイト独自のURLも設定しましょう。

多言語対応のWebサイトを作成する際に押さえるべき8つのポイント

多言語対応の重要性が整理できたところで、多言語対応のWebサイトを作成する場合のポイントを8つご紹介します。

ポイント1:「多言語対応=翻訳」ではない

まず注意すべきなのが、単にサイト内で用いる言語を日本語から外国語に翻訳するだけが、多言語対応ではないという点です。
多言語対応を意味する「ローカリゼーション」の語源である「ローカル(Local)」という単語には、「ある地方に限定されている」「ある土地に特有の」という意味があります。
言語の違いだけでなく、その地域の文化や風土、国民性といった文脈を包括的にとらえた言葉だと言えるでしょう。
そのため、たとえば日本語を一字一句直訳するような対応をした場合、日本語の慣用表現が伝わりにくくなったり、文化の違いから思わぬタブーに触れてしまったりすることなどが懸念されます。
Webサイトに限らずあらゆるコンテンツや商品においても共通することですが、多言語対応を行ううえでは、言語以外の要素にも目を向ける必要があります。

ポイント2:すべての情報を多言語化せず、ニーズに応じて取捨選択する

多言語対応と聞くと、自社の国内向けサイトをすべて翻訳する必要がある困難な作業だと考えがちですが、それは誤りです。
たとえば地域性のあるコンテンツ項目など、日本国内のごく一部の層に向けた限定的な情報は、海外の方々にとって必要性のないコンテンツと考えられます。
あくまでもページを閲覧するユーザーにとって、必要な情報が多言語化されていれば十分なため、サイト内の「どのコンテンツを優先的に海外向けに展開していくか」を検討したうえで多言語対応を進めていくことをおすすめします。

ポイント3:それぞれの国の文化や規制を確認する

Webサイトを多言語対応する場合、国ごとの文化や規制に注意が必要です。
たとえば、Goodの意味でよく用いられる親指を立てるハンドサインは、一部の国では悪い印象となることがあります。また、EUには個人情報保護法や電子商取引に関する規制があり、違反した場合は罰金が科せられる可能性があります。
一歩間違えると炎上し、企業や商品・サービスに対するイメージが悪くなる恐れがあるため、それぞれの国の文化や規制について理解を深め、文章はもちろん、使用するデザインやアイコンにも注意を払うことが重要です。

ポイント4:機械翻訳の場合は内容を必ず確認する

Webサイトの多言語対応を自社で行う、かつ機械翻訳で対応する場合は、翻訳後の内容を必ず確認しましょう。
機械翻訳の技術は向上していますが、それでも不自然な仕上がりになることも珍しくありません。そのまま使用すると、世界各国のユーザーが離れてしまう可能性があります。また、機械翻訳で作られた記事はGoogleにおいてペナルティの対象となることもあります。
機械翻訳の内容をそのまま使用するのは多くのリスクがあるため、必ず内容を確認し添削しましょう。

ポイント5:重複処理を忘れず行う

国や地域は違えど、同じ言語を使っていることは珍しくありません。それに気づかないままWebサイトの多言語対応を進めると、別のURLなのに同一のコンテンツが複数あったり、同一の定型文がいくつかあったりする状態になります。これをGoogleは推奨しておらず、場合によっては検索順位が下がる可能性があります。
そのため、Webサイトの多言語対応では重複処理を忘れず行うことも重要です。国ごとではなく言語ごとにコンテンツを作るなどして、重複を避ける工夫をしましょう。

ポイント6:国や地域にあわせてWebデザインも整える

日本のユーザーに好まれるデザインが、必ずしもほかの国でも好評とは限りません。デザインの好みは国によって異なるため、海外のユーザーに満足してもらえるよう、あらかじめどのようなUI・UXが使われているのか調べておくと良いでしょう。

ポイント7:サイト構築時には技術的な面も考慮する

多言語サイトの構築時には、通常の国内向けサイトと同じく技術的な面についても考慮する必要があります。
たとえば、SEOを意識して各言語の検索キーワードを想定したコンテンツを作成することや、1つのページ内では複数の言語を用いないことなど、Webサイト制作の基本に則ってサイトを構築していくことが重要です。
Webサイトのドメインもそのまま国内向けサイトのものを流用するのではなく、アメリカであればUS、中国であればCNなど、国や地域ごとの固有ドメインを言語ごとに建てる必要があります。
また多くの企業が、国ごとに言語を選択することができる仕組みを作りがちですが、たとえば公用語が複数存在する場合なども想定し、言語ごとに閲覧するページを選択することができるような構造にしておくことも重要です。

ポイント8:問い合わせフォームを見直す

Webサイトを多言語対応する場合は、問い合わせフォームもその国に合わせて見直すことが重要です。たとえば、日本では名前や住所のふりがなを記入する欄を設けるのが一般的ですが、ほかの言語では基本的に不要です。欄そのものを削除するか、任意で入力できるよう配慮しましょう。
問い合わせフォームは、企業と世界各国のユーザーをつなぐ窓口です。外国の方々がストレスなく問い合わせできるよう、多言語対応と同時に見直しましょう。

専門性の高いWebサイトの多言語対応には「専門翻訳」がおすすめ

パソナ日本総務部では、翻訳サービスの国際規格「ISO 17100: 2015」認証を取得した、確かな翻訳品質によるグローバルBPOサービスを提供しています。
たとえば、モバイル・アプリケーション作成におけるコーパス資料(各国の言語を統計的な分析や研究に則りまとめたもの)や災害対策マニュアルの作成といった難易度が高く工夫が必要な文章には「専門翻訳」というサービスで対応しています。

55か国以上の言語に対応可能で、多言語翻訳にアプリケーション制作や多言語ナレーション、通訳といったさまざまなサービスを組み合わせ、企業ごとのビジネスに合わせて細かに対応しています。単なる翻訳にとどまらず、多種多様な制作案件をワンストップで受諾可能なサービスです。
前述したように、多言語対応を進めるうえでは地域ごとの文化や風土、国民性なども考慮し、各地域へのローカライズを考慮する必要があります。「専門翻訳」ではパナソニックグループにて20年以上にわたって産業翻訳を手掛けてきた経験を活かし、単なる翻訳にとどまらないグローバル化の実現をお手伝いします。

まとめ

まとめ

今回は、Webサイトの多言語対応について、進めていくべき理由や背景の解説にはじまり、メリット・デメリットや具体的な実践方法、事例、外国語翻訳をサポートするサービスなどをご紹介しました。パソナ日本総務部では、長年グローバル事業に携わってきた経験と実績を活かし、さまざまな側面から企業サイトの多言語対応を支援します。まずはお気軽にご相談ください。

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