ペーパーレス化の進め方!事例から注意点まで徹底解説

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2021年12月20日 配信
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ペーパーレス化の進め方!事例から注意点まで徹底解説

ペーパーレス化の進め方!事例から注意点まで徹底解説
オフィス環境改善・施設管理

社内の書類を電子化していくペーパーレス化の取り組みは、多くの企業で注目を集めています。業務効率化やコスト削減など多くのメリットがあるペーパーレス化ですが、事前に現場の理解を得てから進めなければうまく浸透しない例もあるようです。 そこで今回は、ペーパーレス化を進める時の注意点や具体的な事例までわかりやすく解説します。

ペーパーレス化が進まない理由

企業のペーパーレス化が進まない理由はいくつかありますが、代表的な理由のひとつに「ペーパーレス化するメリットが社内にうまく伝わらない」ことが挙げられます。
ペーパーレス化を推進するためには初期投資が必要になりますが、投資に見合った効果があるかどうかが不明なままでは、「コストをかけてまで対応する必要はない」という短絡的な結論に達してしまいがちです。これにより、いつまでたっても現在の運用のまま変わらず、テレワーク推進を始めとする働き方改革など新たな取組みが進められないという事態が起こります。

そのほかに、ペーパーレス化に伴ってこれまでの業務の流れが大きく変化することを嫌い、現場が抵抗する例もあるようです。
ペーパーレス化が浸透すれば現在よりも業務が楽になることが感覚的にわかっていても、「システムをうまく使えるかわからない」「ほかの業務が忙しいなかで、新しいシステムの使い方を覚えている暇がない」などの不安が先行するためです。

これらを解消するためには、経営層が中心となってペーパーレス化の意義やメリットを丁寧に説明し、賛同を得ておく必要があるといえます。

ペーパーレス化の進め方のポイント

ペーパーレス化の進め方!事例から注意点まで徹底解説

社内のペーパーレス化を推進するためには、いくつかのポイントに注意して取り組みを進めていく必要があります。ここでは、特に注意したい2つのポイントについて解説します。

経営課題として全社で取り組む

ペーパーレス化を特定の部門や組織だけで達成しようとするのではなく、経営層が会社全体の経営課題であると認識して全社を挙げて取り組むことが重要といえます。
前述のペーパーレス化が浸透しない理由の項目で「ペーパーレス化のメリットが社内に伝わらない」とお伝えしましたが、発言力のある経営層が自らペーパーレス化の重要性やメリットを理解し、自らが実践することで社内に浸透させる意識をもつことも必要です。

また、ペーパーレス化のメリットが理解されにくい要因として、ペーパーレス化が自社にもたらす利益を正しく把握できていない可能性もあります。
ペーパーレス化によって削減できるコストは、紙や複合機の利用料など見えやすいコストと、「紙の書類を探索する人的・時間的コスト」「紙を保管する事務所や倉庫にかかる賃料コスト」「紛失や火災など災害による消失リスクと復旧コスト」など表面化しにくいが長期間にわたり負担の続く、見えにくいコストの二種類があると言えます。ペーパーレスを実施すれば見えにくいコストも削減が可能となり、現状のコストと比較することによって、ペーパーレス化のメリットをさらに認識しやすくなります。

「変化を嫌う現場の抵抗にあってしまう」という失敗例はよくありますが、これは単に「ペーパーレス化を進めるように」と指示を出すばかりで、現場にメリットを理解してもらえていないことが一因として挙げられます。全社の経営課題として取り組む時に「なぜペーパーレス化を推進する必要があるのか」を説明し、現場の理解を得る取り組みが重要になります。

ツールやデバイスで段階的にペーパーレス化

ペーパーレス化に取り組む時に、最初からすべての紙を電子化しようとしてもうまくいかないケースが多くあります。まずは一部の組織でツールやデバイスの導入によるペーパーレス化を実践し、そこから少しずつペーパーレス化を全社に広げていく方法が効果的とされています。
例えばこれまで社内の顧客情報を紙の台帳や名刺などで管理していた場合は、顧客管理システム(CRM)を導入するだけでもペーパーレス化は大きく進むでしょう。加えて、社内で会議のたびに資料を印刷していた習慣を変え、資料をPDF化しタブレット端末などのデバイスで閲覧しながら会議を進めるなどの取り組みも効果的です。

このように、できることから一つひとつ取り組んでいくことによって社内全体にペーパーレス化の意識が根付き、徐々に多くの業務でペーパーレス化が浸透するようになります。例えば「来月から社内のすべての紙を廃止します」と通達しても現実的ではなく、現場の反発を受けてペーパーレス化が失敗に終わる可能性は高いといえます。
まずは身近なところから徐々に変化させ、ペーパーレス化がもたらす効果を実感してもらいながら進めるほうが現場の協力を得られてスムーズに取り組みが広がりやすくなるでしょう。

ペーパーレス化の注意点

ペーパーレス化に取り組む時は、次の3つの注意点を意識しながら取り組みを推進しましょう。無理に推進しようとすると計画倒れになるリスクもあるため、準備は入念に行うことが大切です。

従業員の理解を得る

前述の通り、ペーパーレス化するにあたって従業員の理解を得ることは重要です。
どのようなシステムであっても同様ですが、新たな取り組みを行う時に最も負担が増すのは現場の従業員です。そのため、従業員からの理解を得ずにペーパーレス化を推進すると「また経営や総務が勝手に面倒なことを始めた」「今でも忙しいのにさらなる協力はできない」などの不満を増長させる原因になりかねません。

必ず事前に従業員に主旨を説明したうえでペーパーレス化を推進するとともに、できるだけ現場の声も取り入れることが大切です。ペーパーレス化を進めるに伴って何がハードルになり得るのか、現在の運用を本当に変えるべきなのかなど、現場の意見も考慮したうえでペーパーレス化に取り組みましょう。

すべてがペーパーレス化できるわけでない

できるだけ広範囲をペーパーレス化するのが理想的ではありますが、残念ながらすべてをペーパーレス化できるわけではありません。紙で提出が義務付けられている公的書類など、どうしても紙の状態で運用しなければならないものは残ります。
ペーパーレス化を推進する時は、社内に存在している書類のなかでどの範囲までがペーパーレス化できるのかをよく検討し、対応可能なものについて少しずつデータ化していくのが良いとされています。

システム障害などのリスクに備える

ペーパーレス化のデメリットとして「システム障害が起こるとデータを閲覧できなくなる」ことが挙げられます。重要なデータを閲覧できなくなることで業務が滞るリスクがあるため、あらかじめシステム障害時に備えて対策を講じる必要があります。

例えばデータをバックアップしておき、非常時にはすぐにバックアップに切り替えて運用できる環境を整えておくなどの対策が考えられます。加えて、BCP対策の観点ではクラウドサーバーなどを利用して自社にサーバーをもたずに運用することで、万が一の災害などが起こっても比較的短期間で通常業務に戻れるようになります。

ペーパーレス化の事例

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最後に、ペーパーレス化の代表的な3つの事例をご紹介します。

ペーパーレス化会議

前述の通り、会議をペーパーレス化するのは効果的な方法のひとつです。
会議のたびに人数分の資料を印刷すると用紙コストやインクコストが積み重なって膨大になりますが、資料をPDF化して配布するだけで年間数千枚~数万枚の用紙を節約できる可能性があります。さらに、資料を製本するなどの付随する作業にかかる労力も不要になり、業務効率化も同時に実現できるというメリットがあります。

経費精算

これまで紙で申請していた経費精算をワークフローなどのシステムに切り替えて、電子申請に変更するのも代表的なペーパーレス化事例のひとつです。

電子申請には紙の削減以外に「決裁をスムーズに進めやすい」というメリットがあります。不在の上司のもとで決裁が滞り、いつまでも申請が承認されないという事態は紙ベースの決裁によく起こり得る課題です。電子申請があればウェブ上での決裁だけでなく、代理申請などの処理もできるので、決裁フローの滞留を解消する効果が期待できるとされています。

電子契約の活用

近年では、クラウドサービスなどを活用してウェブ上で契約書を取り交わすペーパーレス化も普及してきています。
契約書の内容を事前に双方で確認しておき、クラウドサービスを使って電子印を押印するだけで手軽に契約の締結が完了します。遠方にいると契約書を郵送する日数や郵送費がかかりますが、電子契約であれば遠方であってもスピーディーな処理ができるようになります。

まとめ

ペーパーレス化を推し進めるにあたって、社内の理解が進まないことや現場の抵抗などがハードルになる例はよくあります。経営層もけん引役となりペーパーレス化のメリットをよく理解したうえで、全社の経営課題として現場の理解を得ながら取り組みを進めていくことが大切です。

書類のなかにはペーパーレス化が難しいものもありますが、できる範囲で紙を減らしていくだけでも大きな効果が期待できます。システム障害などのトラブルにも備えつつ、ぜひペーパーレス化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
パソナ日本総務部では「文書電子化ワンストップソリューション」として、紙の電子化作業だけでなく、データ化した資料を簡単閲覧できる専用クラウド環境の整備、不要となった書類の廃棄まで一括で対応するサービスを提供しています。ペーパーレス化の推進だけではなく、紙の保管スペース削減によるオフィスの有効活用や保管コストの削減、災害や誤廃棄による紙文書の保管リスク対策にもなるサービスです。できるだけ社内のリソースを割かずにペーパーレス化を実現したいとお考えの方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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