防災・避難訓練、BCP訓練のシナリオ設計のポイントとは?企業の取り組み方法をご紹介

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2019年08月29日 配信
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防災・避難訓練、BCP訓練のシナリオ設計のポイントとは?企業の取り組み方法をご紹介

防災・避難訓練、BCP訓練のシナリオ設計のポイントとは?企業の取り組み方法をご紹介
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豪雨や震災など、近年大きな自然災害が日本各地で発生しています。「もしもの時」に直面した際、慌てずに適切な対応を取るには定期的な防災訓練の実施が欠かせません。 今回は、企業が取り組むべき防災訓練の重要性や、防災訓練を実施するにあたって必要となるシナリオ作りのポイント、企業で防災訓練を行う時に想定される問題点などについて解説していきます。

防災・避難訓練の実施は企業にとって重要な責務

防災訓練は、従業員の安全確保や事業の継続などの社会的な意義から、企業が執り行うべき責務であるとされており、大企業の多くや官公庁では定期的に実施されています。
とはいえ、防災訓練の必要性は理解するものの、コストや人員体制から防災訓練の実施がなかなか難しいとする企業もあります。

しかし、実際に災害が発生した場合に、しかるべき対応を取れなかった場合に発生する損失は、想定が困難なほど莫大なものになる可能性があります。
災害による損失やリスクをできるだけ回避するためにも、企業での防災訓練は不可欠だと言えるでしょう。

企業の防災・避難訓練の指針となるBCP(事業継続計画)とは

未曾有の大災害となった東日本大震災の経験から、内閣府の防災担当は企業向けの防災訓練指針をまとめた資料を公開しています。
そのなかで「BCP(事業継続計画)」という言葉が用いられていますが、聞き覚えのない方も多いのではないでしょうか。

BCPとは「Business Continuity Plan」の略語であり、日本語に訳すと「事業継続計画」という意味です。
企業が自然災害やテロ行為などの緊急時に、損害を最小限に食い止めつつ、基幹事業の早期復旧を目指すために、平常時に行うべき活動や緊急時の対応方法を事前に取り決めた計画を指しており、内閣府と中小企業庁が企業に対してBCP策定に関する啓蒙を行っています。

BCPを策定するにあたって重要なのが、平常時に行うべき活動、つまり防災訓練の実施です。突然訪れる災害に対して適切な対応を行うためには、日ごろの防災訓練が欠かせないということです。

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企業が防災・避難訓練を行うにあたって必要なシナリオ設計のポイント

BCPという言葉の意味と、防災訓練の重要性について整理できたところで、防災訓練の実施に必要となるシナリオ設計のポイントについてご紹介します。

防災・避難訓練においてシナリオが持つ役割

防災訓練のシナリオ設計に重要となるのは、まずシナリオの役割を明確にすることです。防災訓練のシナリオが持つ役割には、以下のようなものが一例として挙げられます。

BCPの意義・内容を企業全体に周知する役割

BCPの持つ意義や内容は、防災担当者や上層部だけが理解すれは良いのではなく、従業員全員が理解することが必要です。また、作成したBCPや防災マニュアルを読むだけではなく、防災訓練によって疑似体験することによって、従業員全員の理解がさらに深まることが期待できます。

災害時の適切な対応を理解する役割

防災訓練では、災害時にとるべき対応が具体的に理解できるシナリオを準備するのが一般的です。
例えば、就業時間のうち1時間を利用して、災害の発生時から終息までを想定した避難訓練を実施するとします。その場合、災害のタイムスケジュールを想定し、具体的な被害状況や、その時々に各部署がとるべき対応なども含めたシナリオを、時系列順に設計していくのがよいでしょう。

BCPや防災マニュアルが適切かを検証する役割

BCPや災害時のマニュアルについて、企業全体に周知が行き渡っていても、実際に機能しなければ意味がありません。BCPや防災マニュアルの内容を検証するためにも、時にはマニュアル外の事象を交えたシナリオを設計することも大切です。
仮に、「災害時には館内アナウンスに従って安全な場所に待機する」というマニュアルがあるとします。この場合、館内放送が故障していた場合や、安全な場所までの到達が難しい場合など、想定外の事象が発生した、というシチュエーションでシナリオ設計をすれば、BCPや防災マニュアルの不備を検証しやすくなると言えます。

防災・避難訓練におけるシナリオ作成の手順

続いて、シナリオの具体的な組み立て方について解説します。

1.災害の状況を設定する

防災訓練のシナリオ作成においては、まず災害の状況を設定することが重要です。
仮に災害の内容を火災とするなら、以下のような設定が考えられます。

  • どのフロアで火災が発生するのか(災害発生場所の設定)
  • 火災の大きさはどれほどで、何人が被災するのか(災害規模の設定)
  • 鎮火までにどれだけの時間を要するのか(災害期間の設定)
  • 社外への延焼はあるのか(外部への影響の設定)

これらにように、災害の細かな設定を決めてから、実際のシナリオ設計へ移るのがよいとされています。

2.災害の種別や被害、対応方法を踏まえたシナリオの構成を決定する

災害の状況設定が固まったところで、つぎに実施するのがシナリオ構成の設計です。

  • どのような災害が発生するのか
  • どのような被害が発生するのか
  • 従業員はどのような対応をとるのか

上記の3つの要素をもとに、ある災害が発生して終息するまでを時系列順に構成します。

3.具体的なシチュエーションを設定し、シナリオを肉付けしていく

前述の2つの要素で、企業の防災訓練のシナリオは十分設計できます。その上で、シナリオに一定のリアリティを持たせれば、防災訓練によって従業員が当事者意識を抱くようになります。
もし過去に何らかの災害に見舞われた経験がある企業の場合は、実際の経験を下地にシナリオを設計するという方法もあります。

防災・避難訓練

シナリオ通りの防災・避難訓練が抱える問題点と解決策

ここまで企業の防災訓練におけるシナリオ作りのポイントについてご紹介しましたが、実はシナリオに沿って防災訓練を実施することには、以下のような問題点があります。

シナリオの形骸化

防災訓練を用意したシナリオ通りに定期的に実施するだけでは、訓練自体が形骸化する可能性があります。いつも同じシナリオで、決められた行動を実行するだけの防災訓練では、従業員に重要性を理解されず、単なる恒例行事となってしまいがちです。
防災訓練は、企業として限りある時間とコストを費やして行う重要な活動です。防災訓練を無駄にしないためにも、マンネリ化を防ぐ方法を考える必要があります。

防災・避難訓練の「マンネリ化」を解消するには?

防災訓練のマンネリ化を防ぐには、決められたシナリオ以外の要素を取り入れることが効果的です。

一部のシナリオを非公開にする

一般的にシナリオに沿った防災訓練は、事前に従業員へ概要を公開した上で実施します。これをシナリオの一部、もしくは大部分を伏せて実行すれば、従業員の緊張感が高まり、本番さながらの防災訓練となるでしょう。

地域の防災施設を利用する

近年、防災意識の社会的な高まりから、実際に地震や火災などの体験ができる防災施設が各地域に設置されはじめています。もしオフィスの近隣に、そのような施設があれば、法人での研修利用を検討してみることをおすすめします。

防災・避難訓練

防災・避難訓練の重要性を意識して、創意工夫してシナリオを設計することが大切!

防災訓練の有効性を高めるには、企業全体で防災訓練の重要性を意識し、災害時の適切な対応を共有しておくことが必要です。

パソナ日本総務部では、パナソニックグループが保有するさまざまな事業所で培った豊富な経験とノウハウを活かし、防災備蓄品のサービスやセミナーを行っています。防災訓練の必要性と共に、防災備蓄品の準備も必須です。ぜひ一度検討されてみてはいかがでしょうか。

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