会社の防災用品とは?義務や最低限必要なものを解説

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2023年01月30日 配信
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会社の防災用品とは?義務や最低限必要なものを解説

会社の防災用品とは?義務や最低限必要なものを解説
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会社には、所在地の自治体によって防災用品を備蓄する努力義務が定められています。火災や地震、台風など、思わぬ天災で会社内での避難生活を余儀なくされる可能性があることから、防災用品を備蓄しておき、いざという時のために従業員の安全を確保できる体制を整えることは重要です。 備蓄が必要な防災用品は、一般的に1人あたり3日〜1週間分程度といわれています。今回は、会社に求められる防災用品や最低限必要なものなどについて解説します。

会社の防災用品が必要な理由

会社の防災用品が必要な理由としては、防災用品・災害備蓄が自治体によっては企業の努力義務とされていることや、非常時における従業員の安全確保などが挙げられます。
加えて、災害が起こったときに事業を継続させ、一時停止した場合でもできるだけスムーズに復旧するという観点からも、防災用品の備えは重要です。

会社の防災用品・備蓄は努力義務

企業での防災用品の準備と備蓄は、所在地の自治体によっては努力義務とされています。あくまでも「努力義務」には法的な強制力はありません。しかし努力義務の有無にかかわらず企業が防災用品を備蓄することは、社会的な責任を果たすことにもつながります。

近年では企業が魅力的な製品やサービスを提供するだけでなく、社会的な責任を果たしているかどうかも、会社の評価を決める重要なポイントになります。
「努力義務なのだから防災用品は用意しない」という企業は、社会的な信用の低下やブランドイメージを損ねる可能性もあるため、注意が必要です。

また、いざという時に防災用品が備蓄されていないと、自社の人材に大きな被害が及ぶリスクも考えられます。さらに使用者である企業が、労働者に対する安全配慮義務を怠っていると見なされる恐れもあります。

従業員の命と安全確保

防災用品の備蓄は、従業員の命と安全確保にもつながります。近年では激甚災害と呼ばれる、被害が甚大な天災も増えており、大規模な地震や水害などによって直ちに救助が駆けつけられない事態に陥ることも十分に考えられます。

そのような場面で防災用品が備蓄されていれば、救助が到着するまでの間の食料を確保できます。そして、防災用のヘルメットなど、身の安全に直接関わる道具が用意されていることで、命に関わる危険を回避できる確率も高まります。

事業継続

災害が起こると、一時的に事業が停止する可能性は高いでしょう。しかし、防災用品を十分に備蓄していれば、最低限の照明や社内で活動するための日用品を確保できるため、規模を縮小した状態で事業を継続できる場合があります。

仮に事業の継続は難しくても、防災用品を頼りに従業員が身の安全を確保しながら、事業の再開に向けて活動できる可能性があります。これらは結果的に、速やかな事業の復旧へとつながるでしょう。

会社の防災用品チェックリスト

防災用品

会社の防災用品は、災害備蓄品の代表例とされる食料品や、防護・救護品・生活用品などに分かれます。備蓄もれがないように一つひとつ入念にチェックし、準備を整えましょう。

ここでは、項目ごとに整備しておきたい防災用品のチェックリストを紹介します。

災害備蓄品は会社でも準備

災害時に生活していく上で必要不可欠な「災害備蓄品」は、会社でも準備しておきましょう。
政府は各家庭で備蓄品を準備しておくことを推奨していますが、災害に見舞われた時に必ずしも自宅にいるとは限りません。
就業時間中に災害に遭い、自宅に戻ることもままならず会社で数日間を過ごさなければならない場合もあります。このような場面で災害備蓄品が会社に用意されていれば、救助が来るまでの期間を少しでも安心・安全に過ごすことができます。

日常生活に必要な物資や食料品が確保されていない状態は、従業員に非常に強い不安とストレスを与えます。心身の安全を維持するためにも、会社に災害備蓄品を必ず準備しておくことが大切です。

食料品

一般的に、1人あたりに必要な食料品の備蓄は3日~1週間分とされています。
これは、災害が起こってから救助が到着するまでに3日以上かかる場合があることや、救助が到着したとしても1週間程度はスーパーマーケットなどで通常の物流が再開せず、物資の調達が難しい場合があることなどが理由です。

備蓄する食料品の例としては、下記のようなものが挙げられます。
■必需品
・水:1人あたり1日3リットル×3日分=9リットル
■主食
・パックご飯(アルファ化米)、カップ麺、乾パン、クラッカーなど:1人あたり3食×3日分=9食
・レトルト食品(カレーなど)、缶詰(肉や魚を中心としたもの):1人あたり3食×3日分=9食

備蓄する食料の量は、企業の立地状況に合わせて増減することも必要です。
山間部など市街地から離れた場所は、救助に時間がかかると考えられるため多めに備蓄しておくと安心です。

防護・救助品・生活用品

防護・救助品・生活用品としては、下記のようなものを用意するのが一般的です。
・防災用ヘルメット:1人あたり1個
・毛布:1人あたり1枚
・トイレットペーパー:1人あたり3ロール

このほか、簡易トイレ、懐中電灯、ラジオ、非常用電源やスマートフォン用バッテリー、救急用品などを従業員数に応じて備えておきましょう。
救助品としては、ジャッキやバールが含まれるセットを用意しておけば、どんな事態にも備えることができるでしょう。
これらの防災用品を常に用意しておけば、万が一の際でも会社内に留まって安全を確保することができます。

防災用品の社内周知

防災用品を備蓄していることは、社内に積極的に周知しましょう。
災害発生時、防災担当者が必ずしもオフィス内にいるとは限りません。防災用品が用意されていても、従業員に周知されていなければ使うことができません。備蓄している物資の内容や、具体的な保管場所などを従業員一人ひとりが理解しておくことが求められます。

防災用品の他に会社が行うべき防災対策

ハザードマップ

防災用品の備蓄の他にも、会社が行うべき防災対策はいくつかあります。
機器やオフィス家具の転倒防止対策やハザードマップの確認は、いざという時の従業員の安全を左右するため、必ず行いましょう。

オフィス機器やオフィス家具の転倒防止対策

複合機やサーバーなどのオフィス機器や、デスクやロッカーなどの家具類は、地震などによって倒れないように転倒防止対策を取る必要があります。
「転倒防止治具で床と固定する」「突っ張り棒などを使って天井と密に設置する」など、考えられる対策を事前に講じておきましょう。

地震の揺れそのもので被害に遭わなかったとしても、倒れてきた機器や家具の下敷きになって重篤なけがを負うケースは少なくありません。社内の安全を少しでも高めるための地道な対策が重要です。

ハザードマップの確認

ハザードマップとは、自然災害による被害を予測し被災想定区域や被害範囲を地図にしたもので、被害の軽減や防災対策のために使用するものです。自社が拠点を構える住所や近隣のハザードマップを確認しておくことで、災害発生時に取るべき行動や避難誘導がスムーズになるでしょう。

例えば標高が低く海に近い地域では地震の際に津波の被害に見舞われる可能性があるため、できるだけ速やかに標高の高い場所へ避難する必要があります。一方、高台にある企業ならそのまま社内に避難していたほうが安全なケースもあります。
ハザードマップによって取るべき対策が分かれる場合もよくあるため、自社がハザードマップのどの位置にあるかを確認しておくことが大切です。

まとめ

企業の防災用品の備蓄はあくまでも「努力義務」ではありますが、社会的責任や従業員の安全確保を考えれば、日頃から必要量を備蓄しておくことが必要不可欠です。万が一の事態にできるだけ落ち着いて対応するためにも、従業員1人につき3日から1週間分程度の食料と、防護品や生活用品を用意しておきましょう。

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