防災備蓄品の重要性とは？

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水…9リットル

水分は生きる上で欠かせない最重要の資源です。災害時には断水が発生する可能性があるため、大人1人あたりにつき「1日3リットル」の飲料水を最低でも確保しておくことが大切です。

食料品…9食（主食、副菜、栄養補助食品含む）

水分と同じく、生命維持に欠かせないのが食料品です。保存性の高い非常食や調理の手間がかからない栄養補助食品などを少なくとも9食分ストックしておくことをおすすめします。
具体的な食品や管理方法については以下のコラムでも詳しく解説しています。

簡易トイレ…15セット（1日5回使用の場合）

災害時に直面する課題のひとつが「排泄環境」です。トイレが使用できなくなることを想定し、1日5回の使用を基準に、1人あたり5セット×3日分を準備しておくと安心です。

トイレットペーパー…3ロール

簡易トイレとセットで必要となるのがトイレットペーパーです。排泄時はもちろん、ティッシュペーパー代わりにも使えるため、1日に1ロール消費する前提で備えておくと良いでしょう。

常備薬…各1箱（解熱鎮痛剤、総合感冒薬、軟膏、包帯、湿布など）

災害時には環境の変化による体調不良や外傷のリスクが高まります。応急処置に備え、鎮痛剤や包帯、湿布、常備薬などを1箱ずつ準備しておくと安心です。

毛布…1枚

災害発生後、数日間は過酷な環境下で過ごす可能性があります。睡眠時や保温のために、毛布を1人1枚ずつ準備しておくことをおすすめします。寒さ対策だけでなく、床面が荒れている場合にも役立ちます。

ラジオ…1台

スマートフォンやパソコンが使えない状況でも、ラジオは貴重な情報源となります。被害状況や救助情報を把握するために、1台備えておくと良いでしょう。

モバイルバッテリー…1台

災害時には電力供給が止まる可能性があるため、スマートフォンなどの充電手段としてモバイルバッテリーを1台は準備しておくことが重要です。

懐中電灯…1台

停電時の唯一の光源となる懐中電灯は、非常に重要な備蓄品です。持ち運びが容易で、移動時の安全確保にも役立ちます。

電池…1箱（10本入）

単3・単4など汎用性の高い電池は、モバイルバッテリーや懐中電灯、ラジオなどさまざまな機器に必要です。予備として1箱を備えておきましょう。

以上が、災害時に最低限必要とされる3日分の備蓄品です。食料品と衛生用品、情報源の確保は特に重要です。このほかカセットコンロや給水袋などの生活支援用品も備えておくと、ライフラインの断絶に対応しやすくなります。

非常食には、調理不要のカンパンや缶詰、アルファ米などを選び、栄養補助食品も備えておくと良いとされています。

【推奨】家庭に用意しておきたい防災備蓄品リスト

「カセットコンロ」で簡単な調理を可能に

災害時にはガス・水道・電気などのライフラインが停止する可能性があります。そこで備えておきたいのがカセットコンロとガスボンベです。これらがあれば、簡単な調理を行うことができます。温かい飲み物や食事は災害時の不安を和らげてくるため、被災してすぐのタイミングにも、避難生活中にも役立つ優れものです。
農林水産省の推奨では、ガスボンベの備蓄量は大人1人あたり1週間で6本程度が目安です。家族の人数分に応じて準備しておきましょう。

「ウェットティッシュ」で手指や身体を清潔に保つ

清潔を保てないことは、災害時のストレスや体調不良の原因になります。ウェットティッシュやウェットタオルなどは、インフルエンザなどさまざまな感染症や、食中毒などへの対策という側面からも、準備しておくことをおすすめします。

「ラップ」で皿などを汚さず再利用

ラップは、さまざまな活用法がある汎用性に優れたアイテムです。お皿にラップを敷いて使用することで洗うための水を節約できる上に、段ボールや新聞紙などをラップで覆って皿にすることや、丸めてスポンジ代わりにもできます。
ほかにもラップを巻きつけることで、物の固定や、けがをした時の傷口の保護などに活用できます。骨折した時には添木を固定して応急処置に使うなど、さまざまな場面で活躍するでしょう。また、身体に新聞紙を巻いてその上からさらにラップを何重にも巻きつけると、防寒対策にもなります。
ラップは、食品用としてだけでなく、便利アイテムとして普段から多めにストックしておくことをおすすめします。

「新聞紙」は防寒からゴミ処理まで大活躍

新聞紙は、災害時には防寒対策からゴミの処理まで幅広く役立つ便利なアイテムです。トイレットペーパーや紙皿の代用品として、また燃料としてなどさまざまなシーンで役立ちます。
折り紙のようにして、災害時用のスリッパとして活用することもできます。災害時の頼もしいアイテムとして備えておくと良いでしょう。

「ポリタンク」や「ペットボトル」で給水車からの補給をスムーズに

災害時には給水車が出動することがあります。給水のタイミングでスムーズに水を確保することができるよう、ポリタンクや空のペットボトル、水筒などを準備しておくことをおすすめします。
満水にした時に自力で持ち運べる重さであるかを確認し、持ち運び方法も検討しておきましょう。
さらに災害発生後は、どこで給水できるかを確認するのが難しいこともあるため、事前に把握しておくことも大切です。各自治体から公表されている防災マップなどで、自宅や会社の最寄りの給水ポイントをチェックしておきましょう。

【推奨】企業が準備しておきたい防災備蓄品リスト

「救助道具」で従業員の安全を確保

事業所の倒壊や設備の損壊から従業員を守るためには、「救助道具」を準備しておくことが大切です。
厚みのあるガラスを破るハンマーや重量物を持ち上げる工具などを準備しておけば、建物やオフィス家具、設備などの下敷きとなった人や閉じ込められた人の救出が可能になります。さらに、近隣で働く人や住民の救援にも役立てられるでしょう。
救助道具の代表的なものは以下の通りです。
• バール
• のこぎり
• ジャッキ
• つるはし
• スコップ
• ハンマー
• 救出ロープ　他
救助道具セットは、法人事業者向けとして販売されているものもあります。オフィスや事業所ごとで購入し、すぐに取り出せる場所に保管しておくことが重要です。加えて、従業員が万が一の際に困らないよう、使い方の研修を事前に実施しておくことをおすすめします。

「ヘルメット」や「手袋・グローブ」で身の安全を守る

従業員の安全確保には、「ヘルメット」「手袋・グローブ」の準備も有効だと考えられます。
防災用ヘルメットを選ぶ際には、厚生労働省の「保護帽の規格」という項目をチェックしておくと良いでしょう。規格には、落下するがれきから頭部を守る「飛来・落下物用」と、転倒や落下時の衝撃から頭部を守る「墜落時保護用」という2つの項目があります。両方の規格に合格していることが望ましいですが、少なくとも飛来・落下物用の試験に合格しているものを選びましょう。ヘルメットの保管にはスペースが必要になりますが、折りたたみタイプのヘルメットであれば、省スペースでコンパクトに備えられます。

手袋やグローブは、がれきが散乱する中で避難、救助する際に欠かせません。布製の軍手ではなく、刃物を触っても切れないほど丈夫な「防刃手袋」を選ぶと安心です。製品の「耐切創レベル」が最大値の手袋を選ぶと、より安全性が高まります。

「応急手当セット」でけがなどのトラブルに対応

「応急手当セット」も重要度の高い災害備蓄品で、使用人数に合わせて十分な数を準備することが大切です。応急手当セットの基本的なアイテムには、下記のようなものがあります。
• 絆創膏
• 消毒液
• ピンセット
• 包帯
• ガーゼ
• 三角巾
• サージカルテープ
• 体温計
• マスク　など
応急手当セットの選び方のポイントとしては、けがをした人のところにすぐに駆けつけられるという「運びやすさ」があります。ポケットサイズのもの、カバンやリュックにまとめられたものが持ち運びに便利です。

企業が遵守しなければならない「労働安全衛生規則」では、「事業場において発生することが想定される労働災害等に応じ、応急手当に必要なものを備え付けること」と定められています。職場の環境は事業者ごとに異なるため、それぞれの環境に適したものを備え付ける必要があります。

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防災備蓄品を管理するコツ「ローリングストック法」のススメ

防災備蓄品として必要な品目や分量についてご紹介しましたが、これらはただ準備するだけでは不十分です。適切に管理されていなければ、災害時に使用できない可能性があります。特に食料品や水には賞味期限があり、防災用であってもほとんどが3年から10年で賞味期限を迎えます。
いざという時に食べることができないという事態を防ぐためにも、定期的な備蓄品の管理は欠かせません。しかし、日々の業務が忙しく、なかなか手が回らないという企業も多いのではないでしょうか。

「ローリングストック法」とは

ローリングストック法とは、平常時から非常食などの備蓄品を期限切れ前に消費し、使った分を都度補充する方法です。
この方法であれば、備蓄品を安全な状態に保ちつつ、常に一定量を備えておくことができます。さらに定期的な管理と更新が習慣化されるため、無理なく運用できるのが特徴です。

ローリングストック法の手順としては、まずどんな備蓄品が必要かを想定し、物量を設定するところからはじまります。目安としては、1人あたり3日から1週間分のものを備えておくと良いでしょう。
備蓄品は段ボール箱に入れて保管するケースが多いですが、賞味期限（使用期限）をリスト化して箱に貼り付けておくと中身を開けなくても期限がわかるため便利です。期限切れによる廃棄ロスも防ぐことができるでしょう。
そして期限が近づいたものから順番に消費し、消費した分を補充していきます。その度に在庫の一覧リストを更新して管理します。

企業がローリングストック法を運用する場合、従業員の人数に応じた備蓄品の量や購入コスト、保管スペースの確保が必要です。場当たり的に備蓄品の購入や保管をしていると、備蓄品不足や廃棄ロスのリスクが高まります。 そのため、エクセルや専用の備蓄品管理システムを活用して在庫管理を行うことで、防災対策の精度が向上し、防災担当者の負担軽減にもつながります。

防災備蓄品の保管方法については、以下のコラムでも詳しく解説しています。

避難所での暮らしに必要なアイテムは？

ここまで災害時の備蓄について解説してきましたが、実際に避難所での生活が始まった場合を想定すると、個人で優先的に備蓄しておくべきアイテムがいくつかあります。

個人で使う「衛生用品」を備える

避難所生活を少しでも快適に過ごすためには、日常生活に近い環境を整えることが大切です。歯ブラシやマウスウォッシュなどの口腔ケア用品は不足しがちなので、各自で備えておくと安心です。
ほかにも、除菌ジェル、除菌シート、マスク、タオル、ウェットティッシュなど、他人と共有しづらい衛生用品は個人で準備しておきましょう。
女性の場合は生理用品やデオドラントシート、小さなお子様にはおしり拭きやおむつ、消臭袋、ペット用グッズなど、それぞれの事情に合わせて準備することも大切です。

「ストレス対策品」で快適を備える

避難所では常に他人が周りに存在する環境が予想されるため、アイマスクや耳栓、空気で膨らませる枕などがあると、睡眠時のストレスを軽減することができます。
暑さ・寒さ対策としては、冷感シートやカイロ、ボディケア用品なども役立ちます。避難生活では体調を崩しやすく、心身の不調が連鎖することもあるため、栄養素を効率的に摂取できるサプリメントなどを準備して、もしもの時でも体調管理ができるようにすると良いでしょう。

「いつもの食品」で安心感を備える

避難所では十分な食料が確保されているとは限りません。災害時にはコンビニなどに人が殺到し、商品が品切れになることもあります。
そのため、菓子類やレトルト食品など、普段から食べ慣れている食品を備えておくと安心です。特に、甘いものはストレスの緩和にも効果的です。飴やようかん、ビスケットなど、長期保存可能な食品を防災バッグに入れておくことをおすすめします。
また、水でも調理可能なインスタント食品や粉末、フリーズドライのスープやドリンクのようなものであれば軽量で持ち運びにも便利です。

企業が防災備蓄品を管理するコツ

防災備蓄品は、単に準備するだけでは不十分であり、適切な管理体制の構築が不可欠です。

いざという時に使えない事態を防ぐためにも、従業員や家族の人数にあわせた定期的な防災備蓄品の量の見直しや、賞味期限の管理を平常時から行うことが求められます。
ここでは、防災備蓄品の在庫管理や収納に関するコツをご紹介します。

在庫管理のコツ

防災備蓄品の在庫リストを作成し、定期的に更新しましょう。リストには各アイテムの数量や購入日、賞味期限や使用期限などを記載し、適切に管理します。
防災備蓄品の在庫管理はExcelなどでリスト作成する方法が多いようですが、近年は手軽に導入できるクラウドシステムも普及しています。こうしたシステムでは、数量が減った場合や、賞味期限が近づいた時にアラートで自動通知する機能もあり、管理をよりスムーズに行えるようになります。

防災備蓄品の効果的な収納方法

飲料水や非常食などの重くてかさばるアイテムは、床に近い位置に保管すると取り出しやすくなります。必要な時にすぐに見つけ出せるように、食品や救急用品などをカテゴリごとに分けて整理しましょう。
小物類や軽いアイテムは、棚や引き出しの上部を活用し、透明のプラスチック製コンテナにラベルを貼って分類しておくと、一目で中身が分かり便利です。定期的にチェックして、古くなったアイテムの更新も忘れずに行いましょう。
企業の場合、災害時にエレベーターが停止する可能性があるため、備蓄品の保管を広いオフィス内の一箇所に集中させるのは避けるべきです。なるべく各フロアに備蓄品を分散して配置し、従業員全員が速やかに物資を受け取れる体制を整えることが大切です。
また、防災備蓄品の設置場所は従業員全員に周知し、防災訓練を通じて実際に取り出す練習を行うことで、災害時の対応力を高めることができます。

外部委託を活用した管理方法もおすすめ

防災備蓄品の管理には、日ごろの整理整頓や定期的な見直し、メンテナンスが必要です。しかし、これを日常業務と並行して行うには時間と手間がかかるため、専門会社に外部委託（アウトソーシング）する企業が増えています。
外部委託を利用するメリットとして、専門知識に基づいた効率的な在庫管理や、最新トレンドに基づいた備蓄品の提案を受けられる点があります。また、定期的なチェックと更新作業を委託することで、期限切れの備蓄品の廃棄リスクを減らすことが可能です。

企業の防災備蓄品活用事例

ここではパソナ日本総務部の「防災備蓄品ワンストップサービス」を導入した2社の事例を紹介します。

大手外資系コンサルティング会社

全国拠点で約8,000名分の防災備蓄品を一斉に入れ替える必要がありましたが、各拠点の整備状況が把握できていませんでした。さらに不要になった備蓄品の廃棄コストを削減したいという課題も抱えていました。

そこでパソナ日本総務部が備蓄倉庫の棚卸しを行い、備蓄品リストを作成して現状を可視化。その上で期限切れが近い備蓄品を優先的に選別し、新たな備蓄品を選定・提案するとともに、備蓄倉庫への搬入計画を策定し、納品の立ち会いまで対応しました。さらに、期限切れ間近の備蓄品については無料引き取りも行い、廃棄コストの削減にも貢献しました。

大手ホテルチェーン

ホテルの新規開業対応に追われ、防災備蓄品の整備まで手が回らない状況でした。既存施設の備蓄品の整備状況にはバラつきがあり、一律の基準で管理する仕組みが必要とされていました。

そこでパソナ日本総務部が、全国のホテルで統一した備蓄品ラインナップを考案・提案することで、整備の抜け漏れを防ぐとともに、新規開業時にもスムーズに防災備蓄品を備えられるようサポートしました。さらに、シンプルな操作で利用できる防災備蓄品管理システム「kuranosuke（くらのすけ）」を活用して各拠点の整備状況を一元管理することで、リアルタイムでの見える化を実現しました。加えて、有事の初期対応マニュアルの策定支援も行い、BCP対策の強化にも貢献しました。

防災備蓄品に関するよくある質問

まとめ