いま注目される“音のマネジメント” ウェルビーイングとオフィス環境の最前線

NEW
2020年01月10日 配信
2025年12月22日 更新

いま注目される“音のマネジメント”ウェルビーイングとオフィス環境の最前線

いま注目される“音のマネジメント”ウェルビーイングとオフィス環境の最前線
オフィス環境,ウェルビーイング,生産性向上

会社やオフィス空間に求められるものは、時代の変化と共に変わりつつあります。従来は仕事に取り組むための最低限の設備が備わっていれば十分である、といった認識が一般的でしたが、近年では働きやすさはもちろん、出社する価値がある場であることの重要性が増しています。こうした背景を受け、ウェルビーイング経営や健康経営への関心が高まり、従業員の心身の健康やコミュニケーション活性などに配慮した環境づくりが求められています。その一環として、話しやすい雰囲気づくりや環境改善を目的にオフィスでBGMを流す企業も増加しています。今回は、オフィスの音に関する課題やBGMの効果、快適な音環境をデザインするための取り組みなどをご紹介します。

オフィスの音に関する課題

まずは、オフィスの音に関する課題をご紹介します。

BGMによる課題

BGMによる課題は以下の通りです。

過度な音量は集中力の低下につながる

BGMの音量が大きすぎる場合、周囲の雑音を遮るどころか、音楽自体に気を取られて作業効率や集中力が低下する可能性があります。

たとえば、アメリカのニュースサイト「The Atlantic」に掲載された記事では、カフェでのクリエイティブな作業について、中程度の音量(約70デシベル)がパフォーマンス向上に役立った一方、やや大きめの音量(約85デシベル)では逆に効率が落ちることが指摘されています。

このことからも、BGMは大きすぎず小さすぎない適切な音量で流すことが重要だと言えます。

誰もが知っている「あの曲」に気を取られることも

音量だけではなく、流す音楽のジャンルなどにも注意する必要があります。

ある企業が従業員に対して、オフィスに流す音楽の満足度調査を行ったところ、ボサノバやジャズなどの音楽は自然と聴き流すことができ問題とならないのに対して、Jポップやロックなどの音楽は「知った曲が多いため気が散る」という従業員が多かったようです。

キャッチーなメロディや誰もが知っている名曲が流れた際「つい気を取られた」という経験も少なくないはずです。BGMを有効活用するときには、あくまでも聴き流せるようなものでなければ、むしろ集中力を奪うこともあるでしょう。

静かすぎる環境による課題

静かすぎることで、以下のような課題があります。

周囲の音や声が気になり集中できない

オフィスが極端に静かすぎる場合、同僚の小さな会話や電話の声、コピー機やプリンターの動作音など、些細な音が逆に気になってしまうことがあります。普段なら無意識に流せる音でも、静寂が際立つ環境では意識に入りやすく、集中力や作業効率の低下につながる可能性があります。また、長時間このような環境で作業を続けると、疲労感やストレスの蓄積にもつながりやすくなります。

会話内容が漏れそうで話しづらい

静かすぎる環境では、同僚との会話や打ち合わせにも気を使わざるを得ません。「小さな声でも周囲に漏れるのではないか」と意識してしまい、必要なコミュニケーションを控えてしまう場合があります。結果として、意思疎通がスムーズに行えず、業務効率の低下やチーム内の連携不足、アイデア共有の遅れなどにもつながります。

静寂が緊張感を生み出す

過度な静けさは、従業員に知らず知らずのうちに心理的プレッシャーを与えることがあります。周囲の小さな音に敏感になり、声を出すことや作業に集中することに気を使うあまり、緊張感が高まるのです。このような心理的負担は、リラックスして業務に取り組む妨げとなり、長期的にはストレスや疲労の蓄積にもつながります。適度なBGMや環境音を取り入れることで、こうした負の影響を軽減できる場合があります。

オフィス内でBGMを流すことで見込める効果・メリット

業務を行うための空間であるオフィスですが、近年は快適で集中しやすい環境づくりの一環として「音」を取り入れる企業が増えています。ここでは、オフィスで音を流すことによって期待できるさまざまな効果やメリットについてご紹介します。

関連記事

リラックス効果で集中力が高まる

オフィスで自然音やゆるやかなBGMを流すと、副交感神経が刺激され、従業員のストレスを緩和する効果が期待できます。リラックスした状態になることで、集中力が高まり、作業効率も向上するとされています。過度に静かな環境では小さな音が気になってしまうことがありますが、適度な音を取り入れることで心理的負担が減り、快適で生産性の高い業務環境づくりにつながります。

コミュニケーションの活性化につながる

オフィスに適度な音を取り入れると、程良い音環境が心理的な安心感を生み、雑談やアイデア交換が自然に生まれやすくなります。静まり返った空間では気兼ねして話しかけづらいこともありますが、適度な音があることで心理的安全性が高まり、チーム内のコミュニケーションも活性化するでしょう。その結果、従業員同士のエンゲージメントやES(従業員満足度)の向上にもつながり、働きやすいオフィス環境を整えることができます。

マスキング効果で“ちょうど良い音環境”を実現できる

オフィスの環境音やBGMは、会話やキーボード音などの雑音を自然にマスキングし、過度な静けさや周囲の話し声によるストレスをやわらげます。こうした“ちょうど良い音環境”を整えることで、従業員が安心して作業に集中できる空間をつくり出すことが可能です。また、こうした取り組みはウェルビーイングや健康経営の推進にも貢献すると考えられます。

快適な音環境をデザインする

オフィスを快適な環境にするためには、音環境を意図的にデザインすることが非常に重要です。単にBGMを流すだけでなく、オフィスの用途や従業員の活動に合わせて音を工夫することで、集中力の向上や心理的な快適さ、コミュニケーションの活性化など、さまざまなメリットが期待できます。ここでは、エリア別の音の選び方や自然音との組み合わせなど、具体的な工夫の方法についてご紹介します。

エリア別に音を選ぶ

オフィス内で快適な音環境を整えるには、エリアごとに適した音を選ぶことがポイントです。たとえば、集中して作業するエリアでは、自然音や静穏系のBGMを流すことで、周囲の雑音をやわらげつつ、心地良く集中できる環境をつくることができます。反対に、カフェスペースや交流エリアでは、テンポのあるオフィスBGMを取り入れることで、会話やアイデア交換が自然に生まれやすくなり、チームの連携や心理的安全性の向上にもつながります。また、エリアごとに音のボリュームやジャンルを変えることで、同じオフィス内でも異なる空間体験を提供でき、従業員が目的に応じて心地良く過ごせる環境を実現できます。

このように、オフィスの用途や活動に応じて音を工夫することは、集中力を高めつつコミュニケーションを促すうえで効果的です。

音と自然要素を掛け合わせる

オフィスでは、音と自然要素を組み合わせることで、さらに快適な環境をつくり出すことが可能です。ハイレゾの自然音と観葉植物や植栽を同時に取り入れると、従業員の集中度、モチベーションなどが促進される傾向が示されたことがわかっています。ハイレゾ自然音とは、高周波成分を含む高音質・広帯域の自然音のことで、人の耳には聞こえないこの高周波成分には、人の脳を活性化させたり、リラックスさせたりする効果があるとされています。

人間や動物などの生物は潜在的に自然を求め、好む傾向・本能があると考える「バイオフィリア理論」に基づき、自然とのつながりを感じられる空間デザインの手法を「バイオフィリックデザイン」と言います。バイオフィリックデザインの空間は、世代を問わずウェルビーイングの向上に寄与することがさまざまな研究結果で示されているため、従業員が自然を感じられる環境は、健康経営やウェルビーイング経営の推進にも効果があると言えます。

関連記事

オフィスに音を導入する方法と注意点

ここでは、オフィスにBGMや自然音を導入する方法や注意点についてご紹介します。

音楽配信サービスを利用する

オフィスでBGMを導入する方法のひとつとして、音楽配信サービスを活用するやり方があります。月額課金制サービスを利用したり、有線放送サービスと契約したりする企業も多く、手軽にさまざまなジャンルの音楽を流せるのが特徴です。さらに、オフィス専用の配信サービスでは、業務向けに選曲や音量の調整がしやすく、集中エリアや交流エリアなどエリアごとに使い分けることも可能です。導入も簡単で、スピーカーやPC、スマートフォンを使ってすぐに始められる点もメリットです。

BGMを流す際は著作権に注意

オフィスでBGMを流すにあたって、注意しなければならないのが著作権についてです。
クラシックなどの著作権が消滅している音楽や著作権フリーという形で提供されている音楽、テレビやラジオの放送をそのまま流す場合には問題ありません。しかし、基本的にほとんどの音楽には著作権が存在しています。
なお、国内の音楽著作権を管理している日本音楽著作権協会(JASRAC)は、規約において以下の場合は許諾の手続きを不要であるとしています。

使用料規定上、当分の間*使用料免除となる利用

(1)福祉施設での利用
(2)医療施設(医療法・介護保険法に基づく施設)での利用
(3)教育機関での利用
(4)事務所、工場等での主として従業員のみを対象とした利用
(5)露店等での短時間で軽微な利用

引用:JASRAC|各種施設でのBGM

※コラム掲載時点の情報です。

オフィスにおいては(4)の事例が当てはまる場合がありますが、多くの来客が訪れる場合や、オフィスを店舗としても利用している場合には必ず許諾申請を行うようにしましょう。もし、著作権を守らなかった場合、法人に対しては3億円以下の罰金という重い刑罰を受けることになってしまいます。

参照:公益社団法人著作権情報センター|著作物を無断で使うと?

自然音の効果的な取り入れ方

パソナ日本総務部では、「コモレビズ」というバイオフィリックデザインを活用した健康経営ソリューションを提供しています。
コモレビズは単にオフィスを緑化するだけでなく、自然音を流すハイレゾ音源システムを、オフィスのデザインに溶け込む形で導入することも可能です。さらに間接音を活用した音の空間を設計することで、よりやさしく包み込むような、居心地の良いバイオフィリックデザイン空間を提供しています。

まとめ

今回は、オフィス空間における自然音・BGMの有効性や導入方法などをご紹介しました。 ただBGMを流すだけではなく、ジャンルや音量、さらには導入方法や著作権などについても検討する必要があるほか、空間や業務に適した音を選択するのは難しく、すぐには実現しづらいという場合もあるのではないでしょうか。
コモレビズでは植栽や音、香り、空気、光といった自然要素をトータルでコーディネートすることが可能なだけではなく、実証実験に基づく科学的エビデンスに基づいた根拠のあるデザインを特長としています。
コモレビズの空間にご興味がある場合は、実際の体験見学も可能です。天王洲オフィスでは、ハイレゾ自然音に加えUSENのオフィスBGMも実際に体験できるため、音量や音質、空間への馴染み方を確認したうえで導入を検討できます。この機会にぜひ、オフィス環境改善の一環としてコモレビズの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

関連記事

セミナー情報

関連する導入事例

ケーススタディ

資料ダウンロード

関連するサービス・ソリューション

関連するコラム