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2025年09月24日 配信
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車両管理規程とは?作成が必要な理由・追加記載すべき項目を解説

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総務,業務改善,車両管理

企業における活動において業務用車両は欠かせない資産ですが、同時に交通事故や法令違反、コスト増大といった管理上のリスクも伴います。こうしたリスクを最小化し、安全かつ効率的に車両を運用するために必要なのが「車両管理規程」です。

今回は、規程を整備する意義や法的背景、実際に盛り込むべき9つの項目を解説します。

車両管理規程とは

車両管理規程とは、企業や団体が保有したりリース契約したりする業務用車両の使用、維持、管理に関するルールを定めた規程です。具体的には、車両の使用目的や申請手続き、安全運転の義務、整備の方法、事故やトラブル発生時の対応などを明確にします。この規程を整備することで、車両運転における安全確保や法令遵守が促進され、組織の安全管理体制の向上につながります。

車両管理規程が必要な理由

車両管理規程が必要な理由は、企業が業務に用いる車両の安全管理責任を明確にするためです。民法第715条「使用者等の責任」では、従業員が業務中に起こした事故について、使用者である企業が損害賠償責任を負う場合があると定められています。また、道路交通法第74条の3では、一定台数以上の自動車を保有する事業所に「安全運転管理者」の選任を義務付け、運転者の指導や企業内の交通事故リスク低減へ取り組む役割を求めています。
こうした法的責任や義務を踏まえ、車両管理規程を整備することで、事故防止や法令遵守、リスク低減を図ることができます。

車両管理規程に記載する9つの項目

ここでは、車両管理規程に記載する9つの項目をご紹介します。

1.安全運転管理者の選任

前述した通り、道路交通法第74条の3に基づき、一定台数以上の自動車を使用する事業所は、安全運転管理者を必ず選任し、所轄の警察署に届け出る義務があります。安全運転管理者は、運転者への安全指導、運行計画の確認、アルコールチェックによる酒気帯びの有無確認や健康状態の把握、事故発生時の対応など、組織における車両利用の安全確保を担います。規程には、選任基準や役割、責任範囲を明記し、社内での権限と運用体制を明確にしておくことが重要です。

2.車両管理台帳の作成

車両管理規程には、所有またはリースしている全車両を一元的に把握するための「車両管理台帳」の作成について定めることが必要です。台帳には、車両の登録番号、車種、所有者、使用開始日、車検・点検の実施日、保険加入状況、走行距離や整備記録などを記載し、常に最新の情報に更新します。
これにより、車検切れや保険未加入といった法令違反の防止、整備状況の把握、適正な維持管理が可能になります。さらに、事故やトラブル発生時には迅速な対応を進めるための基礎資料として活用でき、車両管理の透明性と効率性を高める役割を果たします。

3.運転者台帳の作成

車両を安全に運用するためには、車両だけでなく運転者に関する情報管理も不可欠です。運転者台帳には、氏名、生年月日、運転免許証の種類・番号・有効期限、過去の事故・違反歴、健康診断の結果や勤務状況などを記録します。
これにより、無免許や免許失効による違法運転を防止し、体調不良による事故リスクの早期把握が可能になります。また、運転者台帳を定期的に更新することで、組織全体の安全運転管理体制を強化し、法令遵守と事故防止に役立ちます。

4.業務でのマイカー使用について

企業によっては、業務に自家用車(マイカー)を使用する場合があります。その際は、車両管理規程でルールを明確に定めることが重要です。マイカー使用を認める場合は、任意保険(対人・対物無制限など)の加入義務や、車検・点検の実施、運転者の車両使用申請手続きなどを規程に盛り込みます。また、事故発生時の責任範囲や報告手順を定めることで、企業としてのリスクを軽減できます。
しかし、マイカーは業務上使用か私用かの明確な区別がつきにくいものです。安全性や法令遵守を確保するため、マイカー利用は原則禁止とし、やむを得ない場合のみ条件付きで認めるといった方針を明文化することが望まれます。
また業務でのマイカー使用の原則禁止と併せて、社用車の私的使用も原則禁止とすることも検討し明文化するようにしましょう。

5.事故発生時の対応・費用負担

業務中に車両事故が発生した場合の対応手順と費用負担のルールを明確にしておくことは、組織のリスク管理上欠かせません。規程には、事故発生時の初動として警察・上司への速やかな連絡、負傷者の救護、保険会社への報告などを定めておきます。また、修理費用や保険の免責額、代車費用などの負担区分を明文化し、過失割合や違反の有無に応じて従業員個人に一部負担を求めるかどうかも規定します。
こうした対応ルールを定めることで、混乱や責任所在の不明確さを防ぎ、迅速かつ公正な処理が可能となります。

6.車両の点検・整備

業務に使用する車両は、常に安全な状態で運行できるよう定期的な点検と整備を行う必要があります。車両管理規程には、日常点検の実施者と内容(タイヤ、ブレーキ、ライト、オイル、燃料などの確認)を明記し、運転前点検を徹底させます。さらに、法令に基づく定期点検や車検のスケジュールを管理し、記録を車両管理台帳に残すことが求められます。また、不具合が発見された場合の報告・修理手続きや、整備業者の選定基準も規程に含めると効果的です。
これにより、事故防止や法令遵守を徹底し、安全で効率的な車両運用を実現できます。

7.安全運転の確保

業務で車両を使用する際には、従業員一人ひとりが安全運転を徹底することが不可欠です。車両管理規程には、飲酒運転や無免許運転の禁止、シートベルトの着用、速度遵守、ながら運転の禁止といった基本的ルールを明記します。さらに、出発前の体調確認や十分な休憩の確保、長時間運転の制限など、事故防止に直結する取り組みも規定します。くわえて、交通違反や事故を起こした場合の報告義務と、再発防止のための指導・研修を受ける仕組みを盛り込むことが望まれます。
これにより、組織全体での安全意識の向上とリスク低減が図れます。

8.保険の加入条件

業務で使用する車両は、万一の事故に備え、十分な補償内容を備えた自動車保険に加入することが必須です。車両管理規程には、対人・対物賠償は原則無制限とすること、搭乗者傷害や人身傷害補償を含めることなど、必要最低限の補償範囲を明記します。また、車両保有台数や利用状況に応じて、車両保険や弁護士特約の付帯を義務付けることも有効です。さらに、マイカーを業務利用する場合には、従業員自身が加入している任意保険の条件を確認し、基準を満たしていなければ使用を認めないことを規定しておくと、企業としてのリスク管理を強化できます。

9.規程に違反した場合の罰則

車両管理規程の実効性を高めるためには、違反時の罰則を明確に定めることが重要です。たとえば、飲酒運転や無免許運転、故意または重大な過失による事故など、重大な違反行為については就業規則に基づく懲戒処分(減給、出勤停止、懲戒解雇など)の対象とすることを明記します。また、軽微な違反や報告遅れについても、口頭注意や書面での指導を行い、再発防止に努める仕組みを規程化します。
罰則規定を設けることで、従業員の安全意識を高め、規程が形骸化することを防ぎ、組織全体の車両管理体制を強化することにつながります。

車両管理に関する悩みはパソナ日本総務部にお任せ

車両管理には、車両管理規程に則ったアルコールチェックの運用や運転日報の管理など、多岐にわたる業務が発生します。また、リース契約管理における社内や拠点間、リース会社との調整業務も負担となりやすい領域です。
パソナ日本総務部では、これらの業務を「車両管理BPOサービス」として一括でサポートしています。お客様の課題に合わせてオンサイト(貴社拠点内)またはオフサイト(パソナ日本総務部拠点内)などで対応し、効率的かつ安全な車両運用を実現します。
車両管理に関する悩みは、ぜひパソナ日本総務部にお任せください。

まとめ

車両管理規程は、安全確保や法令遵守に直結する重要なルールです。車両管理規程に基づく適切な車両管理体制を整えることは、従業員の安全意識を高め、組織としての信頼性向上につながります。また車両管理規程はビジネスの変化や法令改正に対応するよう定期的に見直し、常に最新の安全対策を維持できるようにしましょう。

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