フリーアドレスとは?導入メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをご紹介

NEW
2022年08月17日 配信
更新

フリーアドレスとは?導入メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをご紹介

フリーアドレスとは?導入メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをご紹介
オフィス環境改善・施設管理

働き方改革が叫ばれる昨今、オフィスを取り巻く環境も変化を続けています。ここ最近ではリモートワーク導入の対応などに奔走された方も多いのではないでしょうか。働く場所も価値観も多様化する今、改めてオフィスの価値を見つめ直すようになった経営層の方もおられるでしょう。 そんなオフィス環境を大きくアップデートする可能性を秘めた施策が「フリーアドレス」です。 この記事ではフリーアドレスのメリットや向いている業種についてご紹介します。導入時のポイントも解説しますので参考にしてみてください。

今注目のフリーアドレスとは?

フリーアドレスとは?導入メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをご紹介

フリーアドレスとは、従業員の座席を固定せずフロア内のデスクを各人が自由に利用するスタイルのことを指します。コワーキングスペースや図書館を利用するように、オフィス内の自分の好きな席で業務を進める新たな働き方のひとつとして注目を集めています。

フリーアドレス制は80年代から90年代にかけて、一部の日本企業でも実証実験的に取り入れられていました。ただ当時は通信技術が現在ほど発達しておらず、その目的もあくまでコスト削減や座席の回転率向上であったため定着はしなかったようです。

しかし、現在では従業員一人ひとりのスタイルに合った就業環境構築の必要性やコミュニケーション機会増加への期待、生産性向上といった観点からフリーアドレスが再評価され、普及が進みつつあります。この流れは「フリーアドレス2.0」ともいわれ、従来の単なる座席自由化とは一線を画する施策として注目を集めるようになりました。

フリーアドレスのメリットと3つの効果

では、フリーアドレスには具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。3つのポイントに分けて解説します。

部署を越えた社内コミュニケーションが活性化する

従来の固定座席制では、部署やチームごとに席を分けるオフィスレイアウトが一般的でした。そのため、同じ組織のなかでも部署が違うと業務連絡以外のコミュニケーション機会が生まれにくいことが問題点とされていました。

一方、フリーアドレスでは各人が自由に好きな座席で仕事を進められます。
毎日異なるメンバーと同席する機会が生まれ、業務内容や役職にとらわれない活発なコミュニケーションを後押しする効果が期待できるといわれています。

社内のスペースを有効活用できる

新型コロナウイルスの影響や働き方改革の推進に応じて、リモートワークの導入を推し進める企業も増えているようです。もちろん、仕事内容やスケジュールによっては出社を要することもありますが、従来の「全員が毎日オフィスを利用する」という前提がなくなった組織も珍しくないでしょう。

そこで疑問視されるのが「使われていない座席」の存在です。出社率を5割程度などと定めている企業ではデスクに空きが目立ち、オフィス内に不用なスペースが生じてしまっています。

フリーアドレスの導入時には従業員全員分の席数を準備しない場合が多く、これにより各人の執務スペースに余裕を持たせることや打ち合わせ用スペースの増設、集中用ブースの導入といったレイアウト変更ができるようになります。このようにオフィスに余裕を持たせつつ、無駄な区画をつくらないという運用の効率化にも役立つとされています。

デスク周りの整理整頓につながる

オフィスでたびたび話題に上がるのが「整理整頓」にまつわる問題ではないでしょうか。固定席では自分が使いやすいように空間を築けるメリットもあるものの、なかには「使うのは自分だから」と片付けを怠る方もいるようです。散らかった空間は生産性の低下やミスを招くともいわれており、また訪問客からの見栄えも良くありません。

一方、フリーアドレスではあらゆる座席が「誰もが利用するもの」という前提のもと運用されるため、業務終了とともに各人がパソコンや文房具などを片付けることが求められます。結果的に、固定席の環境よりも整理整頓された環境になるといわれています。

フリーアドレスのデメリット

フリーアドレスとは?導入メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをご紹介

多くのメリットがあるフリーアドレスですが、逆にどのような点がデメリットとして挙げられるのでしょうか。

誰がどこにいるか把握しにくい

フリーアドレスは従業員が任意の場所で業務を行うため、誰がどこにいるのか把握しにくいというデメリットがあります。チームやプロジェクトなど特定の集団でまとまって仕事をする機会が多い場合、メンバーがどこにいるのかを把握しにくい環境はマイナスに働く場合があるでしょう。

決まったメンバーで仕事をしなければならないチームやプロジェクトがある場合は、フリーアドレスと固定座席をうまく織り交ぜて運用することや、グループアドレス制(チームやプロジェクト単位で座る範囲をある程度決めておく)を活用する方法が有効です。

雑談によって生産性が低下する

フリーアドレスは日によって異なる人との接点が生まれるため、社内コミュニケーションの活性化に効果を発揮します。一方で、雑談が増えることによって業務に集中する時間が減り生産性が低下する可能性もあります。
雑談から生まれるアイデアやコミュニケーションはとても大切なものですが、適度を保つことを従業員一人ひとりが意識しながら仕事に臨むことも必要です。

導入コストがかかる

フリーアドレスを導入するためには、従来のオフィスのレイアウトを大きく変更しなければならない可能性があります。また、レイアウト変更に伴い什器や家具などの備品をフリーアドレス向きのタイプに刷新することもあり、相応の導入コストも見込んでおく必要があります。

フリーアドレスが向いていない業種・部門も存在する

なかにはフリーアドレスに向かない部門や業種も存在します。例えば、企業機密や個人情報を取り扱う部門においては、ほかの従業員と同席すること自体がリスクとなります。また専用の機器を利用する機会の多い職種の場合は、座席の移動がほかの従業員よりも負担になります。

そのため、オフィス内全てを画一的にフリーアドレス化するのではなく、自席に縛られることなく働ける部署から段階的に適用していくアプローチも必要とされています。

関連記事

フリーアドレスが向いている業種・部門とは?

フリーアドレスとは?導入メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをご紹介

では、どういった業種・部門がフリーアドレスのメリットを十分に生かせるのでしょうか。

フリーアドレスとの相性が良いタイプの仕事としては「パソコン・スマートフォンなどの機器があれば仕事を進められる」「オフィス外でも仕事ができる環境が整っている」などの条件を備えるエンジニア職・営業職などが挙げられます。加えて、固定電話の対応が比較的少ない業種やフレックス制を導入済みの会社などにもフリーアドレスは向いているといえます。

電話や紙媒体などのオールドメディアに縛られることの少ない、自由度のある業種や部門とフリーアドレス制度の相性は非常に良く、環境が変わっても違和感なく適応できるでしょう。

フリーアドレス導入の流れとポイント

フリーアドレスとは?導入メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをご紹介

最後に、フリーアドレスの導入時におけるポイントをご紹介します。生かし方次第で大きなメリットが期待できるとされていますが、有効に利用するためには入念な事前準備が必要です。

導入の目的や効果を従業員に共有する

フリーアドレスの導入前には「なぜフリーアドレスを導入するのか」という目的を経営層が従業員へ説明し、その意義を理解してもらうことが重要です。

従業員が導入目的を十分に理解していないと、「業務の合間に移転作業をしなければならないのは面倒」「導入しても効果があるとは思えない」と反発を招く可能性があります。
その結果、導入後も社内に浸透するまでに時間がかかったり、期待どおりの効果が現れなかったりするリスクが考えられます。

在席率などの導入前調査を行う

そしてフリーアドレス導入前に行っておきたいのが、オフィスの在席率調査です。
在席率とは文字通りオフィスに出社して働く従業員の比率を表したものです。例えば外勤営業がメインの企業では日中の在席率が低く、逆に内勤職が多い企業では在席率が高いといえます。

フリーアドレスは基本的に「全員が在席」を前提としない制度となるため、在席率が高いままで闇雲に導入してしまうと、かえってデメリットを引き起こす原因となりかねません。そのため、事前に「日中どれほどの従業員がオフィスを利用しているのか」「どのようなスタイルで仕事を進めているのか」といったことを前もって調査しておくと良いとされています。

フリーアドレスの運用ルールを作成する

フリーアドレスの導入前には運用ルールをある程度固めておくと良いでしょう。
例えばフリーアドレス席の予約方法・利用にあたってのルール策定や、フリーアドレス予約システムの導入、また休憩時間には専用のリフレッシュスペースの利用を促すなどで、ある特定の人がいつも同じ席を利用し続けるのを防ぐ運用作りです。このように就業スペースを「仕事の場」「公共の場」としてゾーン分けするような仕組みを明文化しておくことがスムーズな制度運用につながるとされています。

さらに、社内での紙資料・文書の電子化や、コミュニケーション手段をチャットベースにするなど、ツール面の改革も求められます。フリーアドレス化がうまくいかない組織では、旧来の就業環境のまま座席のみ自由化してしまうことがその一因となっていることが多くあるようです。
新たなオフィスの運用には、新たな仕組みづくりが必要といえるでしょう。

オフィスレイアウトの変更と個人ロッカーの設置

デスク周りだけでなく、オフィス全体のレイアウトもフリーアドレス化に合わせて変更すると良いといわれています。特に必要となるのは各人の物品を保管するための個人ロッカーです。

従来ならデスクやキャビネットに収納できた私物や、業務に必要なツールなどを収納するスペースを新設することで、フリーアドレスへの変更に伴う混乱の抑制が期待できるとされています。

さらに、オフィスレイアウトの変更時には1人で作業に集中できる専用ブースや、食事や休憩ができるスペースなども確保し、各人の作業進捗やコンディションなどへ柔軟に対応できる環境づくりを行うと良いでしょう。

関連記事

専門業者に頼むこともおすすめ

自社だけでフリーアドレスを導入するのが難しいと感じた場合、専門業者に頼むのもおすすめです。専門業者なら、自社にとって最も適したレイアウトを導き出し、必要な導線の設計や移転作業のスケジュール作成など一連のプロセスをまとめて代行してくれます。

また、導入したフリーアドレスを円滑に運用するには、誰もがパソコンやスマートフォンから簡単にアクセスして利用できる、フリーアドレス予約管理システムの導入が有効です。座席管理に本当に必要な機能を凝縮することで、低コスト運用を実現しているフリーアドレス管理システムもあるようですので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

パソナ日本総務部でもオフィス移転・レイアウト変更サービスを提供していますので、フリーアドレスの導入をお考えの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

関連する導入事例

ケーススタディ

資料ダウンロード

関連するサービス・ソリューション

関連するコラム