CASE 導入事例

vol.27 
ザ・パークハビオ日本橋茅場町/The Grove(共有ラウンジ)

Vol.27 ザ・パークハビオ日本橋茅場町/The Grove(共有ラウンジ)

三菱地所レジデンス株式会社が展開する賃貸マンションブランド「ザ・パークハビオ」は、分譲事業で培った設計力と品質基準を賃貸領域へ応用し、首都圏を中心に展開するシリーズ。ブランドの提供価値として掲げる『その瞬間に、心がはずむ』を軸に、街との調和を重視した企画・設計が特徴です。2026年2月に竣工の〈ザ・パークハビオ日本橋茅場町〉は、東京駅徒歩圏という都心中枢への高いアクセス性を備え、全81戸・1R〜2LDKの幅広い住戸構成で単身者からファミリー層まで多様な居住ニーズに対応しています。
今回、その共用部である24時間利用可能な入居者専用スペース「The Grove (ザ・グローブ) 」に、賃貸物件として初めてコモレビズを導入いただきました。導入の背景や設計上のポイントについて、三菱地所レジデンス 賃貸住宅開発部の蝶野元氏、および設計・デザインを担当した株式会社ジャイロアーキテクツの渡邉光紀氏に話をお聞きしました。

 

―貴社の事業概要を教えてください。

蝶野氏 私たち三菱地所レジデンスの賃貸住宅開発部では、賃貸マンションブランドである「ザ・パークハビオ」シリーズを展開しています。都内を中心に、これまでに100棟以上をシリーズとして開発してきました。単に同じ仕様の建物を繰り返し供給するのではなく、立地が求める特性や、その場所にどのような居住者が暮らすのかを丁寧に見極めた上で、物件ごとに最適な企画・設計を行う方針を大切にしています。

Vol.27 ザ・パークハビオ日本橋茅場町/The Grove(共有ラウンジ)
蝶野 元 氏
三菱地所レジデンス株式会社
賃貸住宅開発部
開発第一グループ

―ザ・パークハビオ日本橋茅場町の概要、特長を教えてください。

蝶野氏 まず、この中央区日本橋、そして茅場町という立地の最大の強みは、大手町・丸の内・有楽町、いわゆる“大丸有”エリアの大規模オフィス街に非常に近いという点でした。日本橋にも近く、勤務地が徒歩圏という環境は、これまでなかなか多くなかったんです。そこで、まず“ここに住むのはどんな人だろう”という視点から企画を考え始めました。

居住者像として、仕事を最優先にするビジネスパーソンを想定しました。通勤時間をできる限り短くし、働いて帰宅し、翌朝また出勤する――そのサイクルの中で、“時間をお金で買う”ような価値観を持つ方々です。
この仮説が、今回のプロジェクトの出発点でした。

こうした働き方の方々は、収入も一定水準以上であることが想定されます。同時に、“立地が良い”だけでは、周辺マンションとの差別化にはならない。
では何が必要かと考えたとき、仕事の時間とプライベートの時間、その両方を効率よく、快適に過ごしたいはずだという点に着目しました。
そこで本物件では、タイムパフォーマンス(タイパ)を最大化する住まいをコンセプトとしたのです。ターゲットは、大丸有エリアをはじめ、この近隣の大企業に勤めるビジネスパーソンです。そうした方々に向けて、生活の中の“邪魔な時間”を可能な限り削ぎ落とすための設備を導入しました。
たとえば、“顔認証オートロック”“全住戸の戸別宅配ボックス”“三菱地所が開発した総合スマートホームサービス『HOMETACT(ホームタクト)』”これらの設備が全住戸に標準搭載されている点などが挙げられます。「これがなくなればもっと快適なのに」と感じる時間や手間を徹底的に減らした点こそ、本物件の大きな特徴だと考えています。

後ほど詳しく触れますが、入居者が24時間いつでも利用できる共用スペース『The Grove』に、賃貸住宅としては初めてコモレビズを導入しました。立地の強みを最大限にいかしつつ、働く時間も、くつろぐ時間も、どちらも快適にできる環境を整えたい――その想いが背景にあります。

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―コモレビズ採用の決め手を教えてください。

蝶野氏 まず、私たちが重視したのは“時間のロスを減らす”=タイムパフォーマンスの向上でした。再配達をなくせる戸別宅配ボックスや、鍵を取り出す手間そのものをなくす顔認証などを採用したのも、すべて“無駄な時間を削る”ためです。
ただ、時間をお金で買うような働き方をしている方々にとって、プライベートな時間の質をどう高めるかという要素がまだ足りないと感じたんです。それが、共用部を設ける必要性を強く意識したきっかけでした。

実は、最初は“このエリアに住む人はほとんど出社するだろうから、ワークスペースは不要では?”という意見もあったんです。単にPCが置けるワークスペースをつくっても使われないだろう、と。
そこで発想を変えて、“この共用部でしか得られない刺激や体験”があれば、使われる場所になるのではないかと考えました。例えばコモレビズのある空間で少し仕事をしてみる。あるいは、小上がりで横になってリラックスする。そうした“働く・くつろぐ”をゆるやかに行き来できる環境なら、他の物件にはない価値が生まれると考えたんです。

また、植栽を入れるだけであれば、他の植栽業者さんでも実現できたと思います。ただ今回重視したのは、“科学的根拠に基づいた効果がきちんと説明できる植栽であること”でした。加えて今回はハイレゾ自然音も採用しています。これも、ただ居心地がいいということだけではなく、植物とハイレゾ自然音の組み合わせによる集中力アップなどの効果が実証されているからです。
ストレス軽減などの効果について、エビデンスを持って語れるという点は採用の決め手として非常に大きかったと思います。実際に植栽を見せながら『これはこういう効果があります』と説明できる会社さんはほとんどありませんし、そこが今回の取り組みの説得力につながりました。

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―空間を「活力」と「癒し」で分けられた理由は?(※2)

蝶野氏 今回の共用部は、活力アップが期待できるスペースと、小上がりで過ごせる癒しのスペースを共存させています。ただ、この振り分けにもかなり悩みました。
“全部ワークスペースにしてはどうか”“いや、すべて癒し空間でもいいのでは”と、3パターンほど検討したんですが、結局どちらかに全振りするのは違う、という結論に至りました。“仕事の場所が欲しいわけではない”という企画の原点がありつつ、一定数は共用部で作業したいニーズもある。その両方を成立させるために、空間を緩やかに分ける設計にしました。

さらに植物については、賃貸マンションの共用部としては珍しく“本物の植栽”を採用しています。通常はコストと管理の面からフェイクグリーンが一般的なのですが、 “新しいものを作りたい”という思いの強さで、初めて本物の植栽を導入することができました。会社としてもいま、“チャレンジしていこう”という方針を掲げていて、従来型の賃貸マンションではなく、初めての取り組みを積極的に形にしていくことが求められています。本物の植栽を入れることも、ワークスペースとリラックススペースを共存させることも、これまでの賃貸ではあまり例がありませんでした。だからこそ、その挑戦心を汲み取ってもらえたのではないでしょうか。

やはり、本物とフェイクはまったく違うんですよね。香りや質感、生きているものならではの存在感があって、仕上がりを見たときは本当に嬉しかったです。フェイクだとどうしても近づけば「プラスチックだな」と分かってしまう。その意味でも、本物を採用してよかったと心から思っています。

※2:トヨタ自動車・豊田中央研究所との共同研究結果を活用しています。
詳しくは こちら

―物件デザインのポイントは?

渡邉氏 蝶野さんからも話があった通り、建物をどこに建てるかという“立地”は、最も大きな前提条件です。今回の日本橋・茅場町という土地について、まず“この場所とは何か”を徹底的に考えるところからスタートしました。歴史を遡ると、この一帯はもともと海で、後に埋め立てられた場所なんです。茅が生い茂り、江戸城拡張時に、茅商人を神田から移して市街を開いたことが“茅場町”の由来になったといわれています。そこで、土地が持つ“水の記憶”を大切にし、その記憶が建物として立ち上がるようなデザインを目指しました。

例えば外観の縦方向に入れたスリットは、水の流れや時雨をイメージしたラインです。また、建物自体が分棟で“兄弟のように並んで立つ”形状になっているため、差別化するのではなく、寄り添って立っている佇まいを意識しています。
さらにバルコニー部分。ここにも“水の記憶”を表現するため、特注のガラス手すりを採用しました。日本橋らしい落ち着きをベースにしつつ、伝統的な水墨画のようなラインを重ねたデザインになっています。これは今回初めて挑戦したデザインです。
建物全体として、当初から“チャレンジングなものをつくりたい”“サステナブルな要素を積極的に取り入れたい”という方針が共有されていました。その流れの中でコモレビズも取り入れましたし、素材もできる限り自然に還るもので、“未来に負担を残さない素材”を意識して選びました。

vol.25 株式会社長沢電機/新社屋
渡邉 光紀 氏
株式会社 ジャイロアーキテクツ
設計部 一級建築士

―「The Grove」についてはいかがでしょうか?

渡邉氏 まず、共用室が建物本体と別に、“離れ”として存在するのは珍しいと思います。だからこそ、“そこに行きたいと思える理由”が必要だと考えました。単なるワークスペースではなく、“ここにしかない体験”ですね。
「The Grove」という名称も、設計時は“共用室”と呼んでいたのですが、検討が進むにつれて“これはラウンジではない名前が必要だよね”という話になりました。関係者と一緒に創っているのだからと、伴走しながら名称も共に考えるプロセスにさせてもらいました。最終的に『The Grove』という名前に決めた理由は、この空間の中心に“木”があること、そして“木立(こだち)が続く場所”のイメージが非常に合っていたからです。“今日はグローブ行こうか”と気軽に寄れるような、そんな場所になればと思っています。

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―空間づくりで意識されたポイントは?

渡邉氏 部屋そのものは決して大きくはありませんが、“小さいけれど広く感じられる空間”を目指しました。色や質感は現地で何度も調整し、特に緑を主役にしたかったので、どうすれば“ワクワク感”が生まれるかを議論し続けました。
スピーカーなどの設備を共用空間へ組み込む際は、“この空間で邪魔にならないこと”を最も大事に考えました。せっかくつくった空間の雰囲気を壊してしまっては意味がありませんから、どうやって自然に溶け込ませるかという点にはかなり時間をかけました。
また、この空間には構造上どうしても柱が出てきます。そこで“緑を入れるのであれば、柱が目立たないように美しく見せたい”という発想にもつながりました。単に植栽を置くのではなく、建物と緑が相乗効果を生むように調整していくことを徹底したんです。
結果として、空間の中に緑があることで、空間全体の魅力が引き立つような仕上がりを目指して細かく編集・調整を重ねていきました。そこが今回の大きなポイントだったと思います。
照明はデニムを再生した布で作った特注品で、空や海が浮かんで雲のようにも、波のようにも見えるようにデザインし、楕円形にすることで空間の“中心”が複数生まれ、部屋全体が一つのまとまりとして感じられるよう工夫しています。
小上がりの芝生のようなカーペットや、大きな木の存在。まるで森に包まれるような共用空間が実現できたことは、本当に良かったと思っています。こうした空間は賃貸マンションではなかなか作れませんから。

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―完成したスペースを見ての感想を教えてください。

渡邉氏 第一印象は、「普通じゃない」という(笑)。部屋に入った瞬間、「なんだこれは」と感じるほどの緑量が広がっていて、都心のど真ん中にいることを忘れるほどです。
賃貸マンションでここまで本物の緑を取り込んだ空間は珍しく、非常に特殊な試みだと思います。もちろん、郊外の物件で手がけたプロジェクトなどでは、自然と共存するデザインも実現しやすいのですが、この立地で、これだけの緑とともに暮らせる環境というのは本当に贅沢ですよね。

蝶野氏 今日はじめて、この空間に15分以上滞在したんですが、本当に居心地がいいんです。植栽が入って、音環境が整って、その中に自分が身を置くと、自然と呼吸が深くなるといいますか。「これは生活者の視点から見ても、絶対に喜ばれる空間だな」と実感しました。
植物には疲労感を軽減する効果があると言われていますが、それを頭で理解するのと、実際に空間で体感するのは全然違いますね。しかも、この地域で働く人たちを見ていても、やっぱり人間は本能的に“緑を求めている”のだと気づく瞬間が多いんです。隣の公園なんて、12時〜13時のランチタイムには周辺のビジネスパーソンが芝生でみんな昼寝しているんですよ。ゴザの貸し出しもすぐに全部出払うほど人気で。それだけ、都心で働く人たちは無意識に植栽や自然に包まれる時間を欲しているということなんですよね。
だからこそ、この植物たちに毎日出迎えてもらえる環境は、入居者の方にとって本当に幸福だと思います。実際に入居者の方が使われてるところを見られるのが楽しみですね。

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―コモレビズに対する今後の期待・要望を教えてください。

蝶野氏 次にぜひ挑戦してみたいのは、より広いスペースでのコモレビズ導入です。
私たちには “ザ・パークハビオ SOHO” というシリーズがあり、共用のワークラウンジを備え、住まいをそのままオフィスとして使える賃貸マンションとして展開しています。法人登記が可能で、都心のオフィス賃料が高騰する中、個人事業主の方が非常に使いやすい仕組みを提供できているシリーズなんです。 このSOHOシリーズはコロナ前後のタイミングで開発が進み、リモート需要とも合致して一気に広がり、現在は約10物件ほど展開しています。
働く場所と暮らす場所が近いほど、生産性向上や活力アップにつながる“場”の価値は確実に高まっています。
だからこそ、コモレビズとの相性は非常に良いと感じています。
“仕事中に自然が与えてくれる回復効果” を空間として実装できれば、SOHOシリーズの価値はさらに高まるはず。
今後、SOHO物件でもぜひ一緒に取り組んでみたいと強く思っています。

渡邉氏 私のほうは、“場所によってデザインのあり方は大きく変わる”という感覚があります。今回のように都心のど真ん中でこれだけの緑を実現できたケースはかなり珍しいですが、もし次に“目の前にすばらしい自然やパノラマが広がる場所”で建てるとしたら、同じ発想では成立しません。
コロナ禍以降、建築の価値観も変わり、“室内にいながら外を感じられる空間” が好まれる傾向が強まったと感じています。
だからこそ今後は、「内から外へどのように広げるのか」「外と内が自然に混ざり合うのか」その土地と結びついた“自然感”をどう生むかといった視点で、コモレビズとの新しい組み合わせが実現できると面白いと感じています。

次はもっと“外へ開いていく”ような形で、空間全体がつながる体験をつくれたら、きっと気持ちのいい場になるはずだと思います。

Vol.27 ザ・パークハビオ日本橋茅場町/The Grove(共有ラウンジ)

※本事例に記載の情報は初掲載時(2026年3月)のものです。

vol.27 三菱地所レジデンス株式会社 ロゴ

名称:三菱地所レジデンス株式会社
住所:東京都千代田区大手町1-9-2
    大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
ホームページ: https://www.mec-r.com/

導入先名称:ザ・パークハビオ日本橋茅場町
ホームページ: https://www.mecsumai.com/tphb-nihombashikayabacho/