人的資本とは?人的資本経営が注目される背景や情報開示における動向について解説!

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2023年02月09日 配信
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人的資本とは?人的資本経営が注目される背景や情報開示における動向について解説!

人的資本とは?人的資本経営が注目される背景や情報開示における動向について解説!
オフィス環境改善・施設管理

従業員を「資本」であると捉えて、各々の知識やスキルを最大限に引き出せる環境を整えるための「人的資本経営」が注目されるようになってきています。このような流れにおいて、企業は自社の人材育成方針の見直しや社内環境の整備につとめ、適切な経営方針へと舵を切ることが求められます。 今回は、人的資本の基礎知識や人的資本経営が注目される背景、情報開示における動向について具体的にご紹介します。

人的資本とは?

人的資本とは人材を「資源」として捉えるのではなく、「資本」であることを前提として価値を最大限に高める考え方のことです。人材を資本として最大限に活用できれば、企業価値を中長期的に引き上げられます。

人的資本の考え方は、18世紀に経済学者のアダム・スミス氏によって提唱されました。
この考え方では、企業で働く従業員は「売上を上げるために消費される資源」ではなく「個人が所有する知識やスキルにより、付加価値を創出する資本」であるとされています。

人的資本経営が注目されるようになった理由

人的資本とは?人的資本経営が注目される背景や情報開示における動向について解説!

人的資本経営が注目されるようになった背景には、2023年3月期決算以降の有価証券報告書(4,000名以上の上場企業が対象)で「社員満足度」や「人材投資額」といったサステナビリティに関する情報の記載が義務付けられることが関係しています。

有価証券報告書にサステナビリティの項目が新設されると、株主はその企業が社員満足度を意識した経営を行っているかどうかをひと目で確認することができます。そのため企業には、従来のような従業員を「資源」とみなして消費する経営から、「資本」として活用する経営へ転換し、人材育成方針や社内環境を見直すことが求められているのです。

ここからは、人的資本経営が注目されるようになった理由をさらに詳しく見ていきましょう。

無形資産の価値が高まったため

人的資本経営が注目されるようになった要因のひとつとして、従来のような「できるだけ高品質な商品を開発し、販売する」という考え方だけではなく、無形資産の価値をより重視する傾向が強まったことが挙げられます。
無形資産のなかには、ブランド価値や特許、ステークホルダーとのつながりなど、さまざまな要素が含まれます。加えて、従業員の知識やスキル、組織への貢献度なども、無形資産として捉えられます。

従来における企業の市場価値は、株式の価値や借入額といった数値的な財務資本や、所有している建物の製造資本など、有形資本から判断されていました。しかし近年では、企業の価値は人的資本をはじめとした無形資産を含め、総合的に判断されるように変化してきています。

ESG投資への関心が高まったため

投資家によるESG投資への関心の高まりも、人的資本経営が注目されるようになった理由のひとつです。

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)を考慮して経営を行っている企業に対し、より積極的に投資していこうという考え方のことです。ESG投資においては、企業の売上だけではなく「環境に配慮したサステナビリティな経営を行っているか」「地域活動や労働環境の改善に貢献しているか」「不祥事を未然に防ぎ、健全な経営に努めているか」などが評価されます。

ESG投資における3つの要素の中で、人的資本が含まれる「社会(Social)」は企業価値において特に重要だとされており、この点も人的資本経営が多くの企業から注目を集めた理由のひとつです。

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人的資本の情報開示における動向

人的資本の情報開示を進めるにあたっては、大きく4つの動きが起きています。ここでは、それぞれの動向について詳しくご紹介します。

「人材版伊藤レポート」の公開

近年の人的資本経営への注目の高まりを受けて、経済産業省では複数の研究会を発足し、今後の企業価値の在り方や人材戦略に関する議論を重ねています。これらの研究会による議論の結果のひとつとして、2020年に「人材版伊藤レポート」と呼ばれるレポートが公開されました。

人材版伊藤レポートは、2020年1月から7月にかけて全6回にわたり開催された「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」における、最終報告書としてまとめられたものです。
人材版伊藤レポートのなかでは、「事業の変化に適応しながら企業価値を持続的に高めるためには、経営戦略と人材戦略を連動させることが大切」と言及されています。

また、この人材版伊藤レポートは、2022年5月に経済産業省において行われた「人的資本経営の実現に向けた討論会」でさらに具体的なポイントが整理され、「人材版伊藤レポート2.0」にバージョンアップされています。

コーポレートガバナンス・コードの改訂

株式などの証券を扱うJPX(日本取引所グループ)では、2021年6月11日からコーポレートガバナンス・コードの改訂にかかわる有価証券上場規程の一部改正を行っています。この改訂には、金融庁とJPXが共同で実施した「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」内の提言が反映されています。

コーポレートガバナンス・コードの改訂においては、主に次の3つのポイントが掲げられています。

取締役会の機能発揮

取締役会の機能発揮については、次の4つの箇所が改訂されています。

  • プライム市場上場企業においては、独立社外取締役を3分の1以上選任する(必要に応じて、過半数の選任の検討を推奨する)
  • 指名委員会と報酬委員会を設置する(プライム市場上場企業においては、全体に占める独立社外取締役の割合が過半数であること)
  • 経営戦略を見据えて、取締役会が身につければならない知識や経験、スキルと、就任した各取締役のスキルがどのように対応しているのかを公表する
  • 独立社外取締役には、他社での経営経験がある人材を選任する

企業の中核人材における多様性の確保

企業の中核人材における多様性の確保の観点からは、下記の2つのコーポレートガバナンス・コードが改訂されました。

  • 管理職には女性や中途採用者、外国人などを積極的に登用し、多様性を確保する。また、測定可能な自主目標を設定する
  • 多様性の確保を達成するために、社内環境の整備方針や人材育成方針を、実施状況と併せて公表する

サステナビリティを巡る課題への取り組み

サステナビリティを巡る課題への取り組みについては、次の2つのコーポレートガバナンス・コードが改訂されています。

  • プライム市場上場企業は、TCFDもしくは同程度の国際的な枠組みに則り、気候変動開示の質や量を充実させる
  • サステナビリティ経営に関する基本方針を策定し、自社の取り組み状況を開示する

非財務情報可視化研究会の創設

経済産業省による「人材版伊藤レポート」とは別に、内閣官房においても企業の人的資本を可視化するための指針を議論しています。2022年9月には、非財務情報可視化研究会での議論の内容をもとに日本公認会計士協会の協力を得て編纂した「人的資本可視化指針」が公開されました。

「人的基本可視化指針」は、企業における人的資本の情報開示に関する対応方針を包括的に整理したガイドラインの位置づけです。
あくまで指針であり義務ではありませんが、人的資本を重視した経営に関する基本的な考え方が掲載されているため、経営者にとっては参考になる資料です。

ディスクロージャーワーキング・グループによる開示項目の提案

2022年6月に公表された金融庁金融審議会によるディスクロージャーワーキング・グループによる報告書のなかでは、有価証券報告書の開示項目として、人材育成方針や働きやすい環境づくりができているかどうかを見極めるための社内環境整備方針の開示が提案されています。

この提言に則ると、企業が投資家の投資判断において重要な要素であると判断したときに、人材育成方針や社内環境整備方針を有価証券報告書において開示することになります。
現状、人材育成方針については、ほとんどの企業で投資判断を左右する重要な情報とみなされることから、積極的に有価証券報告書で公開することが推奨されるようになるでしょう。

社内環境整備方針については、有価証券報告書で報告するにあたり、自社の体制を見直す必要があります。また昨今では、ウェルビーイング経営実践による企業価値向上を図るための手段が必要とされています。

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まとめ

人的資本とは?人的資本経営が注目される背景や情報開示における動向について解説!

近年、従来のように従業員を「資源」とみなすのではなく「人的資本」とみなして個々の知識やスキルを最大限に活用することが重視されはじめています。
このような流れに後れを取らないためには、自社の人材育成方針や社内環境を整備して、人的資源を重視した経営に転換していくことが大切です。

JPXによるコーポレートガバナンス・コードの改定状況なども参考にしつつ、自社の経営方針を今一度見直し、必要に応じて社内環境整備のソリューションなども利用しながら、投資に値する企業へと成長させていくことをおすすめします。

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