NEW
2024年02月05日 配信
2026年08月19日 更新

グリーンインフラとは?人的資本経営時代に注目される「自然を活かしたオフィスづくり」

グリーンインフラとは?人的資本経営時代に注目される「自然を活かしたオフィスづくり」
ウェルビーイング,オフィス環境

人的資本経営やウェルビーイング経営への関心が高まるなか、多くの企業で「働く環境」のあり方が見直されています。
これまでオフィスは、業務を効率よく行うための場所として整備されることが一般的でした。しかし近年では、従業員の健康やエンゲージメント、創造性、生産性といった企業価値の源泉に直接影響を与える「経営資産」として捉えられるようになっています。
そうした中で注目されているのが、自然の持つ力を空間づくりに活かすという考え方です。
都市や地域づくりの分野では「グリーンインフラ」、建築やオフィス空間の分野では「バイオフィリックデザイン」として取り組みが広がっており、従業員のウェルビーイング向上や人的資本への投資という観点からも関心が高まっています。
本記事では、グリーンインフラの基本的な考え方を入り口に、企業が自然を活かした空間づくりに注目する理由や、人的資本経営との関係について解説します。

グリーンインフラとは

自然が持つ機能を社会基盤として活用する「グリーンインフラ」。環境保全だけでなく、人々の快適性やウェルビーイング向上にもつながる考え方として注目されています。

自然の機能を活かす「グリーンインフラ」

グリーンインフラとは、植物や水、土、生態系などが本来持っている自然の機能を社会基盤として活用し、さまざまな社会課題の解決につなげようとする考え方です。

グレーインフラとの違い

「インフラ」と聞くと、道路や橋、堤防といったコンクリートや金属でつくられた社会基盤をイメージする方が多いかもしれません。これらは一般的に「グレーインフラ」と呼ばれ、都市の発展や安全な暮らしを支えてきました。
一方でグリーンインフラは、自然環境が本来持つ機能を活用しながら社会課題の解決を目指す考え方です。グレーインフラかグリーンインフラかという二者択一ではなく、両者を組み合わせて活用する考え方が主流になっています。

グリーンインフラの代表的な取り組み

近年は、気候変動の進行やヒートアイランド現象、生物多様性の損失など、従来のインフラだけでは対応が難しい課題も増えています。そこで注目されているのが、以下のような自然の力を活用するグリーンインフラです。
• 公園や緑地による都市の暑熱緩和
• 雨水を土壌に浸透させる浸水対策
• 樹木によるCO₂吸収や生物多様性の保全
• 地域住民の憩いの場の創出

環境だけでなくウェルビーイングへの効果も

近年では、防災や環境保全だけでなく、人々の健康やウェルビーイングへの効果にも注目が集まっています。自然は社会課題を解決するための資源であると同時に、人がより心地よく暮らし、働くための環境資源としても見直されているのです。

なぜ今、企業が自然に注目しているのか

従業員の健康や生産性向上が経営課題となるなか、自然とのつながりがもたらす心理的・身体的な効果に企業の関心が集まっています。

関連記事

バイオフィリア理論が示す人と自然の関係

ビジネスの場において自然の価値が再評価されている背景には、人間と自然との関係に関する研究の蓄積があります。
代表的な考え方が、生物学者エドワード・O・ウィルソンによって提唱された「バイオフィリア理論」です。バイオフィリアとは、人間には本来、自然や生命とのつながりを求める性質が備わっているという考え方です。
私たちが木々の緑や水辺の景色、木漏れ日などに心地よさを感じるのも、その表れのひとつといわれています。

自然環境が疲労回復につながる理由

また、カプラン夫妻による「注意回復理論」では、自然環境が認知的疲労の回復を促すことが示されています。
現代のビジネスパーソンは、会議や資料作成、オンラインコミュニケーションなどによって常に注意力を消費しています。こうした状態が続くと、疲労やストレスが蓄積しやすくなります。
一方、自然環境には人の注意を無理なく引きつけながら心身をリラックスさせる特性があるとされ、ストレス軽減や心理的回復への効果が期待されています。集中力の低下やストレスマネジメントは多くの企業が抱える課題だからこそ、自然環境がもたらす回復効果に企業の関心が集まっているのです。

海外でも進む自然を活用した健康増進施策

こうした研究成果を背景に、海外では自然との接触を健康増進や健康管理に活用する取り組みも広がっています。
・米国・カナダ「Park Prescriptions(自然処方)」:医師が患者に対し、メンタルヘルス改善のために公園や自然環境の中で過ごす時間を推奨。
・ドイツ「Kurort(クアオルト)」:気候や森林などの自然資源を活用し、心身の健康維持・回復を支援する療養地制度。
・韓国の森林治癒プログラム:国立山林治癒院などで、森林環境の中でストレス軽減を図る取り組み。

ウェルビーイングが経営課題になっている

近年は、従業員の健康や幸福度がエンゲージメントや生産性、創造性にも影響することが注目されるようになりました。ウェルビーイングは個人の問題ではなく、企業の競争力や持続的な成長を左右する経営課題です。
そのため自然を活用した環境づくりは、福利厚生の一環ではなく、人的資本への投資や組織力強化につながる経営戦略のひとつとして捉えられ始めているのです。

オフィスにおける実践手法「バイオフィリックデザイン」

グリーンインフラの考え方をオフィスに取り入れる代表的な手法がバイオフィリックデザインです。自然とのつながりを感じられる空間づくりが、従業員のウェルビーイングや働く環境の価値向上につながります。

バイオフィリックデザインとは

こうした自然活用の考え方は、都市や地域だけでなくオフィス空間にも広がっています。
その代表的な手法が「バイオフィリックデザイン」です。

グリーンインフラとの共通点

バイオフィリックデザインはグリーンインフラそのものではありません。しかし、「自然の価値を人の暮らしや活動に活かす」という考え方を共有しています。
グリーンインフラが都市や地域スケールで自然を活用する概念だとすれば、バイオフィリックデザインはオフィスや建築スケールにおける実践手法のひとつといえるでしょう。

オフィスで活用される自然要素

バイオフィリックデザインとは、単に観葉植物を配置するだけではなく、以下のような要素を組み合わせながら、五感に働きかける空間をつくり上げます。
• 緑視率を考慮した植栽計画
• 自然光を活かした照明設計
• 木材など自然素材の活用
• 自然音を取り入れた音環境設計
• 香りや空気環境のコーディネート

ウェルビーイングオフィスとして注目される理由

近年、「ウェルビーイングオフィス」という考え方が広がっています。これは単に快適な執務空間をつくるだけではなく、従業員の心身の健康や働きがい、生産性の向上までを視野に入れたオフィスづくりです。
バイオフィリックデザインは、その実現を支える代表的なアプローチとして注目されています。

自然はオフィスの装飾ではない

近年の研究では、視界に適度な緑がある環境が、従業員の満足度や集中力、生産性の向上に寄与する可能性が示されています。また、植物だけでなく自然音や自然素材などを組み合わせることで、より高いリラックス効果や創造性向上が期待できるとされています。
つまり、自然はオフィスを美しく見せるための装飾ではなく、働く人のパフォーマンスや体験価値を高めるための環境要素として、その価値が認識されるようになっています。

人的資本経営とオフィス環境の関係

人材を企業価値創出の源泉と捉える人的資本経営では、従業員が能力を発揮できる環境づくりが重要なテーマとなっています。

人的資本経営が注目される背景

なぜ今、多くの企業が働く環境に投資しているのでしょうか。その背景には、人材を単なるコストではなく企業価値を生み出す資本として捉える「人的資本経営」の広がりがあります。
近年では、有価証券報告書における人的資本情報の開示が求められるなど、人材への投資やその成果が企業評価の対象になりつつあります。
そのなかで企業には、以下のような取り組みが求められています。
• 健康でいきいきと働ける環境づくり
• エンゲージメント向上
• 生産性向上
• 創造性の発揮
• 人材定着や採用力強化

オフィスの役割が変わってきている

特にハイブリッドワークが定着した現在、オフィスは単なる執務場所ではなく、
• 従業員同士がつながる場
• 企業文化を体感する場
• イノベーションを生み出す場
としての役割を担うようになりました。自然とのつながりを感じられるオフィス環境は、従業員の快適性や心理的安全性を高めるだけでなく、企業が人的資本への投資を具体的な形で実践する手段のひとつとして期待されています。

人的資本経営を空間から実装する「COMORE BIZ」

COMORE BIZは、自然の力を活かした空間づくりを通じて、ウェルビーイング向上やエンゲージメント強化を支援するソリューションです。

オフィスづくりは経営課題の解決手段

バイオフィリックデザインの考え方に共感しても、「植物を置けばよい」という単純な話ではありません。
重要なのは、自社が抱える課題や目指す組織像に合わせて、働く環境を設計することです。
たとえば、
• コミュニケーションを活性化したい
• 出社したくなるオフィスにしたい
• エンゲージメントを高めたい
• 健康経営を推進したい
• 自社らしさを体現する空間をつくりたい
といった目的によって、最適な空間設計は異なります。

COMORE BIZが提供する価値

パソナ日本総務部の「COMORE BIZ(コモレビズ)」は、こうした課題に対して、バイオフィリックデザインをベースとしたウェルビーイング向上に寄与するオフィス空間づくりを支援するソリューションです。
コンセプト設計から内装計画、家具・植栽の選定、音や香りを活用した環境演出までをトータルでサポートし、働く人の体験価値向上を目指します。
さらに、独自の研究パートナーとの共同研究を通じて得られたエビデンス(科学的根拠)を活用しながら、ウェルビーイングや生産性向上につながる空間づくりに取り組んでいます。
COMORE BIZが目指しているのは、単なるオフィス緑化ではありません。自然の力を活用しながら、人的資本経営を空間から実装することです。それが、これからのオフィスづくりに求められる新しい価値だと考えています。

まとめ

グリーンインフラは、防災や環境保全のための考え方として発展してきました。しかしその本質は、「自然の価値を社会に活かす」という発想にあります。
そして、その考え方は企業の働く環境づくりにも広がっています。
バイオフィリックデザインを取り入れたオフィスは、従業員のウェルビーイング向上だけでなく、エンゲージメントや生産性向上といった人的資本経営の実践にもつながります。
人材が企業価値の源泉となる時代だからこそ、オフィスは単なる働く場所ではなく、人と組織の可能性を引き出すための経営資産へと変化しています。
自然を活かしたオフィスづくりは、その実現に向けた有効な選択肢のひとつといえるでしょう。

関連する導入事例

ケーススタディ

資料ダウンロード

関連するサービス・ソリューション

関連するコラム