【地震備えリストあり】オフィスで地震対策を行う際の8つのポイント
【地震備えリストあり】オフィスで地震対策を行う際の8つのポイント
地震発生時の備えを万全に行っている企業はどれほどあるでしょうか。従業員の安全を確保するためには、日ごろから地震対策に取り組み、かつ防災備蓄品を適切にそろえておくことが大切です。そこで今回は、オフィスの地震対策のポイントと、そろえておきたい防災備蓄品の種類についてご紹介します。
安心・安全なオフィスに!地震対策の8つのポイント
地震は、いつどこで発生するか予測が困難な自然災害のひとつです。そのため万が一に備えて、日ごろから対策を行うことが大切です。従業員をはじめとする帰宅困難者の避難はもちろん、被災後の企業活動をスムーズに進めるためにも、以下でご紹介する8つのポイントを参考に地震対策を行いましょう。
1.防災担当者を決める
地震が発生すると多くの従業員が混乱し、冷静な判断・行動ができなくなります。まず従業員を落ち着かせ適切に対処するように導き、安全な場所に避難できるように誘導するには、あらかじめ「防災担当者」を決めておくことが大切です。地震発生時に指揮を執る人物を明確にすることで、「どう行動すれば良いのかわからない」といった混乱がなくなり、すべての従業員が冷静に対処できるようになります。
なお、防災担当者を担うにあたり必要な知識は、全国各地で開催されている防災関連の研修や講習会で身につけることができます。専門家からの防災に関する具体的な情報や、最新情報が入手できるので、積極的に参加しましょう。
もちろん、防災担当者へ任せきりでは企業の防災力は高まりません。すべての従業員一人ひとりが防災に対する知識を身につけておく必要があります。防災担当者は研修や講習会で身に着けた最新の情報を社内に共有し、日々の事業活動に取り入れていくことが重要です。
2.避難経路・避難所を確認する
地震発生時の避難経路を、日ごろから確認しておくことも大切です。
実際に地震が発生した際には、まず周囲の落下物などを確認し、避難のための経路までの動線を確保することが最優先されます。オフィスビルなどの建物は、消防法や建築基準法によって避難経路の確保が義務付けられているため、それらを阻害するような状態は改善すべきです。
例えば廊下に大量の備品が放置されていて、動線がふさがっているような状態では避難経路が機能せず、生命の危険につながる恐れがあります。
指定の避難経路周辺に物品を放置したり什器を設置したりすることも避け、通行の邪魔や危険になるものはないかを確認して、スムーズに避難できるよう整えておきましょう。
併せて、避難所の場所を確認することも重要なポイントです。防災担当者を中心に、まずオフィス内のどこに一時避難をするか、一番近くの避難所(学校や公民館など)はどこかを明確にしたのち、従業員に共有しましょう。そうすれば、全員が共通認識を持ったうえで冷静に避難ができます。
3.オフィス什器の耐震対策を行う
オフィスでの地震対策において、確実に徹底しておきたいのがオフィス什器類(以下、什器)の転倒防止です。
地震の大きな揺れにより、什器が転倒し避難経路が絶たれる、什器の落下によって窓ガラスが破損する、といったさまざまな二次災害が発生する恐れがあります。ロッカーや棚、デスクなど日ごろ何気なく利用しているものが、震災時には恐ろしい凶器へと変貌してしまうこともあります。そのため、各什器の配置などオフィスのレイアウトは、地震が発生した際のリスクを考慮して設計することが大切です。
書類棚や収納ラックなどの大きな什器は、専用の耐震器具を使って固定することや、オフィス空間とは別の場所に設置することをおすすめめします。特に出入り口や避難経路の周辺には、極力物や什器を設置しないほうがよいでしょう。
4.データや情報のバックアップを取る
データや情報のバックアップは、企業のBCP対策として重要な役割を果たします。
たとえば、地震の発生によりパソコンが破損し、最悪の場合、重要なデータや情報が消える可能性があります。もし、事業のデータや顧客・取引先の情報が消失すると、被災後に企業活動を再開することが困難になります。こうした事態を避けるためには、事前にデータや情報のバックアップを取っておくことが大切です。
なおバックアップは、クラウドサービスを利用する方法があります。災害後にオフィス以外でリモートワークを行う事になっても、クラウドサービスにデータが保管されていれば、いつでもデータを取り出せます。
5.防災教育・避難訓練を実施する
防災教育とは、災害時における従業員の行動基準を学習するための研修です。普段の業務と比較すると、つい優先順位を低くしてしまいがちですが、管理者研修や新入社員研修などを行うタイミングで実施すれば、漏れなく従業員一人ひとりの防災に対する意識を高めることができます。
併せて、定期的な避難訓練の実施もおすすめです。避難訓練は実際に災害が発生したことを想定して、救出・救護や消火、情報収集などを実践し、いざというときに適切な判断・対処ができるよう訓練することです。これにより本格的なシミュレーションを通して防災のPDCAを学ぶことができ、万全の体制で災害に備えることができるようになります。
さらに、地震やその他の災害時の対策方法を示した行動計画を立て、社内に浸透させる施策もおすすめです。地震発生時だけでなく、火災や津波などが発生した際の初動対応、安否確認の方法などをあらかじめ決めておくことで、混乱を最小限に抑えることにつながります。また、被害の状況によっては決めておいた避難経路や避難場所が使えなくなることも考えられます。いくつものケースを想定し、「まさか」の事態が起こった場合にも落ち着いて対応できるよう、さまざまな項目を「行動計画表」にまとめておくことが重要です。
行動計画表を元に防災教育、防災訓練を実施すれば、いつでも振り返ることができるため一人ひとりの防災力を高めることになり、結果として企業の防災対策につながります。
6.二次災害を防止する
地震発生時の二次災害として、漏電による出火や感電などが挙げられます。1995年に発生した阪神・淡路大震災では、地震後の通電火災による深刻な二次災害を記憶している人も少なくないでしょう。
通電火災の発生は、日ごろ何気なく行っているコンセントのタコ足配線や、電源ケーブルが什器で踏まれているなど配線の管理ができていないことが一因となるため、必ず正しい方法で利用しましょう。具体的には、電源タップに別の延長コード類を再接続することを避けたり、複雑化している配線類を整理したりするとよいでしょう。古いコードや電源タップは定期的に新しいものに替え、使用していない機器のコードを抜くなどの小さな防災対策も怠らないようにすることが大切です。
7.建物そのものの耐震性を強化する
地震対策を行うにあたって、建物自体の耐震補強がなされていることも重要です。阪神淡路大震災では、死亡原因のおよそ8割が建物の倒壊に伴う什器の転倒による圧死であったとされています。
自社ビルであれば耐震工事を行い、賃貸であればできるだけ新耐震基準に適合している物件を選ぶことをおすすめします。新耐震基準は、1978年に発生した宮城県沖地震の被害を受けて1981年に見直された建築基準です。適合している建物は、従来のものよりも高水準の耐震性を備えているといえます。
賃貸物件の場合は耐震基準への適合状況を改めて確認し、管理会社へ対応を仰ぎましょう。耐震性の強化が見込まれない場合、オフィスをより強固な物件へと移転することを検討してもよいでしょう。
8.地震に備えて防災備蓄品を準備する
地震が発生すると、公共交通機関の運行停止や、主要幹線道路が通行できなくなることがあります。言い換えれば、地震発生後には必要な物資を調達することが困難になる、ということです。アクセスが困難な場所へは、行政やボランティア団体からの救援物資の配布もスムーズに進まなくなるためです。
地震が発生した際に「全従業員に食料品が行き渡らない」「防災用品がひとつもない」ということにならないよう、前もってオフィス内に防災備蓄品をそろえておくことが重要です。
避難場所として、災害時にその場に居合わせた取引先の方や顧客、周辺地域の住民を受け入れるケースも考えられるでしょう。そのため防災備蓄品の数は余裕を持ってそろえておくことをおすすめします。
前もってオフィスにそろえておこう!地震備えリスト
地震発生後に飲料水や食料、防寒グッズ、医薬品といった物資が不足していると、けがの応急処置の遅れや体調不良を引き起こすなど、副次的な被害が発生する恐れがあります。こうした被害を抑えるためにも、あらかじめ防災備蓄品をそろえておくことは非常に大切です。ここでは、オフィスにそろえておくべき防災備蓄品を紹介します。
記事の最後には「防災備蓄品リスト」を記載していますので、ぜひ参考にしてチェックしてみてください。
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食料品・飲料水
地震により、電気やガス、水道などのライフラインが停止する可能性は十分にあります。そのため、食料品や飲料水は必ず備えておくことが大切です。
食料品は1人あたり1日3食、3日分準備することが推奨されています。アルファ米やカップ麺、乾パン、クラッカーなどおなかにたまりやすいものをそろえておきましょう。併せて栄養補助食品も備えておくと、栄養バランスが偏りがちな食事でも健康状態をキープしやすくなります。ナイフや鍋などの道具を使用しなくても食べられる食品や、最小限の火で調理できる食品なども、非常時の食材に向いています。
飲料水は1人あたり1日3L、食料品と同じく3日分準備することが大切です。長期的な保存が不可欠なので、賞味期限が5~10年と長い「保存水」を選びましょう。このほか、野菜ジュースや健康飲料(粉末でも可)もおすすめです。
医薬品
上記でご紹介したように、地震が発生すると移動手段がなくなり、最悪の場合はオフィスから出ることができなくなってしまいます。医療機関の受診も困難になるため、基本的な医薬品を備えてくことも大切です。
防災備蓄品としてそろえておきたい医薬品には、風邪薬や胃腸薬、解熱鎮痛薬、痒み止めなどがあります。なぜなら、慣れない生活によりストレスが溜まること、そして栄養バランスの乱れた食事が続くことによって、風邪や胃痛、発熱などの症状が発生しやすいためです。
併せて、消毒液や絆創膏、包帯、ガーゼなど、けがの応急処置をするうえで必要なアイテムをそろえておくことも大切です。そのほかに、インフルエンザや腸炎といった感染症への対策として、マスクや除菌シート、除菌ジェルなどの衛生用品も重要な備蓄品になります。
このような医薬品は一般的な市販のものを準備しておくと良いでしょう。
生活用品
生活用品は、オフィスや避難所で生活するうえで欠かせない防災備蓄品です。普段の生活に近い状況を作り、従業員のストレスを軽減させるためにも、積極的に備えましょう。
例えば、ティッシュ(ウェットティッシュ)やタオルは、体の汚れを拭き取る際に役立ちます。入浴できない状況下でも衛生面を保てるよう、なるべく多くの数を備えておくことをおすすめします。また、生理用品も災害時の避難所で不足しやすいアイテムです。個人単位で備えるのが当たり前のように考える人が多いですが、企業としても備えておくべきでしょう。なお、生理用品はけがをした際に止血用品として利用することも可能です。
また、レインコートや折りたたみ傘もそろえておきたい生活用品のひとつです。被災中に雨や雪が降る可能性はゼロではないので、あらかじめ準備しておきましょう。なお、レインコートは風を通さない構造になっているので、防寒着として役立てることもできます。
防災用品
防災用品と一言でいっても、その種類はさまざまです。例えば懐中電灯には電池式やソーラー式など複数のタイプがありますが、防災備蓄品として備えるのであればソーラー式、または回転式がおすすめです。なぜなら、電池式は電池の残量がなくなると使用できなくなってしまいますが、ソーラー式や回転式であれば、比較的長く使用ができます。停電時の情報源となりうるラジオも、ソーラー式や回転式で動作するものを準備しておくと安心です。
このほか、ヘルメットも備えておきたい防災用品のひとつです。大きな地震が発生した場合、何度か余震が続くことがあります。わずかな揺れでも物が落ちてくる可能性は十分にありますので、できるだけ従業員の人数分を準備しましょう。
地震備えリストのまとめ
上記でご紹介した地震備えリストは、あくまでも一例です。以下に、備えておいたほうが良いとされる防災備蓄品を一覧でまとめましたので、ぜひチェックリストとしてご活用ください。最低でも、これらを従業員数分準備することはもちろんですが、企業として来客や周辺住民のためにも余裕を持ってそろえておくことをおすすめします。
- 備えておきたい
防災備蓄品リスト - 食料品(アルファ米や栄養補助食品 など)
飲料水(保存水や野菜ジュース など)
医薬品(風邪薬や胃腸薬 など)
ティッシュ(ウェットティッシュ)
タオル
レインコート・折りたたみ傘
懐中電灯(ソーラー式または回転式)
発電機
暖房器具
軍手
工具
地図・コンパス
ラジオ
ヘルメット
ライター・マッチ
歯ブラシ
生理用ナプキン
マスク
防寒着
毛布
新聞紙
防災備蓄品の管理に失敗しないための3つのポイント
防災備蓄品は、一度そろえたからといってそのままにしておいてはいけません。飲料水や食料品、医薬品などの「賞味期限」「使用期限」はモノによって異なります。
しかし、いつ災害が発生するかはわからないため、防災備蓄品を使用する時期も不明瞭です。「使用する機会がないまま期限切れになっていた」ということがないように、意識的に管理する必要があります。
ここでは、実際に防災備蓄品を管理するうえで役に立つ方法をいくつかご紹介します。
ローリングストック法で管理する
防災備蓄品の期限を管理するには、ローリングストック法を取り入れるのがおすすめです。
ローリングストック法とは、賞味期限や使用期限が近いものから消費・使用し、不足分を買い足していく備蓄方法です。「ローリング=回す」「ストック=保存する」とイメージがしやすくなります。
災害の有無に関わらず定期的にローリングストック法を行うことで、防災備蓄品が使用しないまま期限切れになることがなくなります。災害時を想定して備蓄品が足りているかを定期的に確認することもでき、適切な方法といえるでしょう。
ローリングストック法の一環として、防災訓練の際に従業員に非常食を食べてもらうことも大切です。災害時に貴重なエネルギーを無駄にしないような作り方や、食後の洗い物を減らす工夫などの訓練にもつながります。
これは災害時に安心して非常食を口にできるよう、事前に食べて慣れておくという意味もあります。また、多くの従業員の口に合わないことがわかった場合は、他の食品をストックするなど、非常時に少しでも安心を得られやすくすることにもつながります。
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フードバンクに提供する
賞味期限が切れてしまった備蓄食の廃棄を防ぐには、フードバンクの利用も検討しましょう。フードバンクはその名称の通り「食料銀行」を指します。安全に食べられるにも関わらず廃棄することになった食品を、食べ物を必要としている人や施設、団体に届ける社会福祉活動です。
フードバンクでは企業の防災備蓄品を受け入れているところもあり、企業にとっては廃棄の手間を省きながらも食品ロスの回避や福祉活動などの社会貢献につなげることができます。企業とフードバンクをマッチングするプラットフォームなどを利用してみると良いでしょう。
外部の企業へ防災備蓄品の管理を委託する
組織が大きくなるほどに備蓄品の量は多くなり、在庫管理や補充にも手間がかかります。災害はいつ起こるかわからないため、忙しい業務の合間でも防災備蓄品の管理を行わなければならず、担当者への負荷は少なくありません。結果として管理がおろそかになり、いざというときに備蓄品の期限切れや不足が発覚すると、防災の意味をなしません。
そこで、防災備蓄品の管理をアウトソーシングできるサービスが役立ちます。防災備蓄品の在庫確認、期限が近づいた不用品の引き取り、防災備蓄品の入れ替え、再配置、新たに必要となった防災備蓄品の購入といったように、防災備蓄品に関するあらゆるタスクをワンストップで任せることが可能です。業務委託費が必要になりますが、手間と時間をかけずに安心を得られます。
地震対策に注力しよう!
従業員のほとんどは、1日の大半をオフィスで過ごしています。そのため、万が一の地震に備えて対策を行うことは、企業の重要な務めといえます。今回ご紹介したオフィスの地震対策のポイントと、地震備えリストを参考に、地震対策を行いましょう。
なお、「地震備えリストのアイテムを一から準備する時間が取れない」という場合は、ぜひ株式会社パソナ日本総務部が提供する「 企業法人向け防災備蓄品ワンストップサービス」の利用を検討してみてください。防災備蓄品の購入や管理、回収を一任できるので、手間をかけることなく地震対策を行うことができます。煩雑な防災備蓄品の管理業務から解放されるだけでなく、いざというときの備えが最適化されていることで安心感にもつながるでしょう。
ダウンロード資料では、防災備蓄品ワンストップサービスの各メニューの詳細や、これから備蓄品をそろえたい方向けのスタートガイドをご用意しています。企業の防災対策や、防災備蓄品の入れ替えに課題をお持ちの場合は、ぜひ参考にしてみてください。