企業防災とは?取り組むべき理由と対策・事例を徹底解説

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2023年11月21日 配信
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企業防災とは?取り組むべき理由と対策・事例を徹底解説

企業防災とは?取り組むべき理由と対策・事例を徹底解説
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2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の経験から、企業が災害への対策を行う「企業防災」の取り組みが急務となっています。企業においては人命を守ることはもちろんのこと、緊急時の事業継続に必要な“備え”も重要です。本記事では、企業防災の基礎知識や必要となった背景、また具体的な取り組みをご紹介します。

企業防災とは?

企業防災

企業防災とは、自然災害の発生において企業が取り組むべき対策を指します。個人による災害対策とは異なる側面があり、「防災」と「事業継続」の 2つの 観点があります。

企業防災における「防災」とは、従業員や顧客の安全 を確保し、帰宅困難者の発生を防ぐ対策です。飲料や食料品の備蓄・防災訓練・建物の耐震補強がこれにあたります。

一方の「事業継続」は、後述する「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」に基づく対策です。具体的には、事業復旧の手順をマニュアル化し、各種業務のバックアップを図ります。自然災害の影響を最小限に抑え、企業にとって特に重要な業務をいち早く再開することで、損害の発生を最小限に留めるための取り組みです。

国内企業に防災が必要な理由

2011年の東日本大震災の発生により、東日本を拠点とする多くの中小企業が甚大な被害を受け、事業の復旧・継続が困難となりました。

中小企業の事業継続が困難になると、製造から販売までの工程を中小企業に頼る、被災地以外の大企業にも打撃を与えます。よって近年は、従来の防災対策を見直し、災害発生時の対策・取り組みをまとめた事業継続計画(BCP)の策定を、企業間取引の必須条件とする企業が増加しています。

また日本の企業には、労働契約法第5条に定められた「労働者の安全への配慮」が義務づけられています。もし経営者側が安全配慮義務を怠った場合、従業員側からの損害賠償請求が発生する可能性もあります。

企業の安全配慮義務に関する裁判例として、2015年1月の「仙台地方裁判所の第一審判決」が挙げられます。東日本大震災で発生した津波により、宮城県・山元町にある自動車教習所で教習生25人、アルバイト従業員1名が亡くなりました。安全配慮義務を怠った企業の責任として、自動車教習所側に19億円の損害賠償命令が出されたのは、記憶に新しいところです。

日本は地震大国と呼ばれているだけでなく、ここ数年は異常気象による自然災害も各地で頻発しています。災害の多い日本社会の一員として、国内企業の防災対策が強く求められています。

海外企業の企業防災、BCPの状況は?

海外の企業防災

日本国内では数々の災害を機に企業防災への意識が高まっていますが、海外ではどのように企業防災やBCPの整備を行っているのでしょうか。

ここでは、アメリカ・ニュージャージー州にあるIT企業の「eMazzanti Technologies」が、2012年10月に発生したハリケーン「Sandy」にどのように対応したのかを例に挙げ、海外企業における防災の取り組みやBCPの状況をご紹介します。

アメリカで2012年10月に発生したハリケーン「Sandy」は、ニューヨーク州・ニュージャージー州など産業の主要都市が存在する東海岸に大規模な被害をもたらしました。その被害総額は680億ドルにのぼり、多数の死者が出ました。特に被害の大きかったニュージャージー州に位置する「eMazzanti Technologies」は、オフィスの浸水・停電などに見舞われました。

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企業防災意識とBCPの徹底で損失を抑制

オフィスの浸水・停電に見舞われながらも、高い企業防災意識とBCPの徹底により72時間以内にすべてのデータ復旧を実現し、データの損失は0%に抑制することに成功しました。
ハリケーン発生時のeMazzantiでは、PDCAサイクルに則った企業防災を実践していました。加えて、あらかじめ策定していたIT-BCPを元にしたデータ保護と、カスタマーサポートに努めました。

顧客の増加に成功、さらなるブラッシュアップを実施

具体的には、予報段階でサポート対応の優先順位付けを徹底したことにより、無駄のないカスタマーサポートを実現しました。結果、災害対策の完璧さからハリケーン被災後に顧客を50%増加することにも成功しています。
さらにeMazzantiでは、この件におけるBCP実行結果に満足せず、対応のプロセスを検証し企業防災のさらなるブラッシュアップを実施しました。その結果、翌年に発生した大寒波を原因とする停電障害においても問題なく対応できました。

海外でも高まりを増す防災意識

アメリカなどの海外企業における防災への取り組みや、BCPの策定および実行にこのような成功例があるのは、防災意識の高さが一因であると考えられます。 地震や台風といった災害がしばしば起こる日本は、世界的にみても防災意識が高い国ではありますが、頻発するがゆえに小規模な被害であった場合は見過ごされることも少なからずあります。

海外では災害が日本ほどは頻発しないものの、発生時の被害が甚大になることが多いといわれています。そのため個人レベルでも組織レベルでも、災害対策や防災管理が大きく発展していると言えます。

災害対策を強化する方法は?企業防災を行うポイントまとめ

企業防災

近年発生した災害を踏まえて、日本企業においてもより高レベルな企業防災への取り組みや、実践的なBCPの策定などが重要となっています。
とはいえ災害対策を現状よりもさらに強化する方法や、企業防災で取り組むべきことについて具体的にイメージできない方も多いでしょう。そこでここでは、災害対策の強化や企業防災を行う上でのポイントを整理してご紹介します。

まずは「人命の安全確保」を最優先に意識する

何よりも重要となるのが、従業員や顧客、取引先などビジネスに関係するすべての人々の安全確保です。経営者や管理職だけでなく、従業員全員が人命救助のための行動を取れるように災害対策に関する研修・教育を欠かさず行うことをおすすめします。
避難訓練などのシミュレーションだけでなく、けが人が発生して応急処置が必要な場合や、持病や身体的なハンディキャップを抱える方への対応が必要な場合なども想定しておきましょう。

また、大規模災害の場合は、近隣で働く人や一般住民の救助が必要な場面も考えられます。このように、さまざまなシチュエーションを想定した訓練を実施することがポイントです。

なお「人命」とは、これから助けようとする人の命のみを指すものではありません。「助ける側」までが危険にさらされるような、人命救助の行動を求める内容になっていないか注意するようにしましょう。

二次被害を食い止めるために行動する

つぎに重要となるのが、災害発生時の二次被害防止を意識した行動です。
地震発生時の火災や津波、台風発生時の土砂崩れや停電など、災害には多くの場合付随的な災害が発生します。

例えば事業所の近隣に河川や海が存在する場合や、海抜の低い地域や埋立地に位置している場合は、津波や土砂崩れといった水害に関する対策も考慮し、避難のマニュアルを策定しておきましょう。
古い建物の場合は、倒壊のおそれを考慮しておく必要があります。「特定の場所から離れること」といった災害時の行動をマニュアル化し、人命の確保後速やかに二次被害の防止へと移行することができるようにすることをおすすめします。

二次被害を食い止める為の対策

ほかにも、電気やガスなどのライフラインが停止した後、時間をあけて復旧した時に火災が起こる二次被害にも注意が必要です。例えば、災害によりガス漏れが起きている中、電力が復旧して電化製品に通電すると引火して爆発を引き起こす可能性が高まります。被災時に停電などが起きた場合は電源を切ってコンセントを抜くことを徹底するなど、二次被害につながらないための行動を周知することが重要です。

日ごろから防災備蓄品の使用についての講習を行う

見落としがちだが重要な防災対策として、従業員へ向けて防災備蓄品の使用方法などをあらかじめ教えておくことが挙げられます。防災グッズや防災用具、非常食などの取り扱い方法は、いざ緊急時に必要となった時に適切に取り扱えないことも考えられます。

例えば防災備蓄品の保管場所を全員で確認し、実際に防災グッズを使う場を設けることをおすすめします。ストップウォッチで使用までにかかった時間を計るなど、緊張感を持ったシミュレーションを行うことが大切です。

ほかにも、期限切れをむかえる前の非常食を社内で食べてみることも訓練のひとつです。なお、この訓練を実施する時は単純に試食するのではなく、火が使えず、水の使用量も限られているという限定的な環境を想定して実施することがポイントです。そのような緊急状況において各自で備えておくべきことを考える機会を作っておくと、従業員自身が能動的に考え、動くことができるようになります。
このように日ごろから備えておけば、いざという状況での適切な行動につながるでしょう。

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周辺地域との連携を強化し、地域に貢献することも重要

ビジネスの業種や業態によっても異なりますが、事業所周辺の地域と連携を強めておくことも災害対策として有効です。
日ごろから地域住民・団体との交流関係を保っておくことで、有事の時にもスムーズに助け合うことができるでしょう。
食品メーカーであれば災害時に製品在庫を地域住民に提供する、社用車を保有している場合は移動手段を提供するなど、さまざまな試みで地域の力となることができるでしょう。

特に、オフィスの周辺に一般の住宅が多い地域などでは、オフィスビルそのものを地域住民の避難場所として開放することも考えられます。地域住民にも提供できるようにと備蓄品を多めに保管しておくことで、企業市民としての役割を果たすこともできるでしょう。

災害への危機意識を風化させない

災害への危機意識

社会全体に大きな影響を与えるような大災害を目の当たりにした時は、その災害の被災者か否かにかかわらず危機意識が高まり、個人的にも防災に取り組もうと考える人も多いはずです。
しかし「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざにあるように、どんなに辛い経験や悲しみの感情も、時間の経過とともに薄れていくことは少なくありません。徐々に非常時から日常へと移り変わり、メディアなどでその災害の様子を目にする機会が少なくなると、残念ながら緊張感もなくなっていくでしょう。

従業員の危機意識が風化すると共に、企業の防災能力も落ちることが考えられます。例えば、せっかく準備している防災用品の「使い方がわからない」や、備蓄用の食料や飲料の賞味期限が「いつの間にか切れている」、社内の避難経路を「覚えていない」といったように、従業員一人ひとりの意識の低さが緊急時の対応に大きく影響する可能性があります。

災害への危機意識を風化させないためには、日ごろから防災を身近な存在としておく必要があります。例えば「企業防災の日」を設定し、定期的に備蓄品のチェックや非常時のシミュレーションなどを行うなどして、防災への継続的な注意喚起をすると良いでしょう。ほかにも、社内のイントラネットに防災対策コーナーを設けて、社内の防災活動の情報発信を行う方法もあります。
なお、会社からの一方的な発信だけでなく、従業員自らが行っている防災行動の発信も促し、従業員一人ひとりの危機意識に働きかけることも大切です。

企業防災の国内の取り組み・事例

近年では、日本国内でも多くの企業が企業防災に取り組んでいます。

例えば新潟県内のあるスーパーマーケットを運営する企業では、2004年の新潟県中越地震で受けた被害の反省を活かして企業防災を整備しました。被災地において特に求められている商品をリストアップして調達先を確保するとともに、第二物流センターを設けて緊急時に代替拠点で事業を継続できる環境を構築しています。
この取り組みによって2007年に起こった新潟県中越沖地震では被災した7店舗のうち4店舗が当日中に営業再開し、3日ですべての店舗で営業を再開させることに成功しています。

ほかにも、自動車部品用の金型を製造しているあるメーカーでは、日ごろからの災害への備えの成果によって、震度6強の地震が起こった際にも機器の点検をスムーズに実施でき、製品出荷の遅れを1日に留めることに成功しています。
また、こちらのメーカーでは、被災時に従業員が各自の判断で動けるように、災害が起こった時の設備復旧手順マニュアルをあらかじめ整備していました。さらに社内で知識を共有化するとともに、全社の勉強会を毎月開催して防災に関わる知識の周知徹底も行っています。

このように、従業員の防災意識を高める取り組みを継続していることは、早期対応を可能にするポイントのひとつといえるでしょう。

災害時に身を守るための企業防災対策

企業防災対策

企業での防災対策を考えるためには、まず自社に起こり得る災害を把握する必要があります。
具体的には、会社所在地の地形にどんな災害が発生する恐れがあり、必要な災害対策は何かを調査します。沿岸部や川沿いであれば津波・浸水対策、山林部であれば土砂崩れ対策を盛り込むことが一般的です。平地のいわゆるオフィス街に立地している場合でも、自治体が公表している災害ハザードマップを確認し、想定外の災害発生の可能性がないか確認しておきましょう。

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企業防災マニュアルの作成・周知と起こりうる被害への事前対策

企業防災マニュアル

防災マニュアルは災害による実際の被害を想定し、現実的に実行が可能かという視点で作成することがポイントです。 作成後は、定期的な見直しを行いましょう。時間の経過によって自社の事業内容はもとより、企業を取り巻く社会の状況も変化します。その変化に沿った内容に更新していなければ、実際の運用には役立たない防災マニュアルとなってしまうでしょう。作成して保管すれば終了ではなく、改善し続けることが大切です。

さらに、マニュアルの内容は従業員に日ごろから内容を周知・認識させることが大切です。例えばマニュアル内容を取り入れたポスターを、社内に掲示するのも周知方法のひとつでしょう。ほかにも、内容を簡潔にまとめたものを行動マニュアルとして従業員に配布して、携行や自宅保管を促し日常に浸透させることも大切です。
パソコンやスマートフォンなどが無ければ閲覧できないPDFなどのデジタルデータではなく、手帳やカードサイズの紙媒体にして従業員に持たせることも有効でしょう。

また、実際に起こりうる被害への具体的な対策 も重要です。例えば複数の避難経路の確保や窓ガラスの飛散防止、重量のある什器や複合機の転倒防止対策などが挙げられます。

企業で防災訓練の実施

地震や津波など、さまざまな災害に対応できるように防災訓練を行います。繰り返し訓練を行うことは重要ですが、企業内で行うことができる防災訓練には限界があるほか、形式的な訓練は“マンネリ化”が懸念されます。社内で防災訓練のアイデアが浮かばない場合、専門家の力を借りるのもひとつの手です。

地域によりますが、消防署や自治体が防災機器の貸し出しや職員の派遣、講習会などを行っている場合があります。 例えば東京都・大田区では、企業や集合住宅、学校などグループ単位での防災訓練と講習会を実施しています。「煙体験ハウス」や「地震体験車」などを活用し、災害発生時における当事者意識を高める取組みを行っています。

ほかにも、近年では企業向けのバーチャル防災訓練サービスを提供している事業者もあります。リモートワークが一般的になり、すべての従業員がオフィスに集まる機会が限られる環境下となった今では、従来のように全員が一カ所に集まっての防災訓練を行うのが難しい場合も増えてきました。

企業用のバーチャル防災訓練サービスは、オンライン上にVRで実際のオフィス環境を用意し、リアル感のある被災状況の中で従業員一人ひとりが避難訓練や消火訓練に取り組めます。時間や場所にとらわれずに防災訓練が実施できるため、リモートワークでオフィスに従業員が集合できない場合や、従業員数が多く全員が訓練に参加できない場合などに最適です。

またバーチャル消火訓練では、VRゴーグルを着けて消火訓練を体験することができます。
多くの人は、消火器で火に立ち向かった経験がないでしょう。VR空間で火を消す擬似体験をすることで、いざという時の落ち着いた行動につなげることができます。
バーチャル防災訓練の良い点は、いつでも、どこででも、何度でも、簡単に体験できることです。さらに、昼・夜の時間帯による違いや、異なる災害状況など、さまざまなシチュエーションで災害の擬似体験ができます。
お決まりの防災訓練はマンネリ化しがちですが、バーチャル防災訓練であれば臨場感のある現場を再現できるというメリットもあります。

企業内で防災備蓄品の準備

社内に飲料水や食料品、簡易トイレや毛布などを備蓄します。具体的な備蓄量は、企業規模や従業員人数によって変動しますが、自治体が条例で定めているケースもあります。例えば東京都は、残留帰宅困難者対策として従業員1人あたり(3日分)飲料水9L・食料9日分・毛布1枚の備蓄を呼びかけています。

上記に加え、非常時持ち出し袋・ヘルメット・救急セット・懐中電灯・乾電池・ラジオ・発電機(燃料含む)・マッチ・ろうそく・マスク・生理用品の備蓄も必要です。とりわけ東京・大阪・名古屋といった都市部の企業は帰宅困難者の発生が予測され 、長期にわたり社内に従業員が滞在する可能性があります。企業規模に応じ、適切な量を備蓄することが大切です。

また緊急時は企業内に、災害対策本部を設置する可能性があります。
これに備えて、発電機・トランシーバー・大型テント・投光器・工具設定なども備蓄しましょう。特に、災害発生時に生命線となるのが発電機です。使用機器の電力容量に合わせて確保する必要があります。また、精密機器を使用する場合は、インバーター式の発電機を準備しておくことをおすすめします。これにより、災害時に商用電力と同等の電気を得ることができます。

ほかにも、ウォーターサーバーや置き薬、災害時に手動操作で無料販売状態となる災害救援自販機など、平時に利用可能でかつ緊急時に役立つサービスも有用性があります。
ただし、準備を整えていても、これらの防災備蓄品をオフィスの目につきにくいところに収納していると、従業員が探し出すことができず、いざという時に使用できないこともあります。誰もが置き場所を認知できるようなスペースに設置することも、企業防災の工夫のひとつです。

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防災備蓄品

災害時に事業を継続させるための企業防災対策

事業継続計画(BCP)の策定

事業継続計画

事業継続の観点では、緊急時の意思決定に関わるルール作成などが必要です。事業継続に多大な影響を与える要因を洗い出すともに、災害発生時にも継続すべき中核事業を選定します。

具体的には、緊急時における事業継続・復旧の方法や、平常に取り組むべき対策をまとめた「事業継続計画(BCP)」を策定します。なお、ここでいう緊急事態とは、自然災害のほかに感染症の蔓延・テロ攻撃などの外的要因があたります。また、個人情報流出などの内的要因も、事業継続計画(BCP)での緊急事態に含む場合があります。

事業継続計画(BCP)に盛り込む内容として、迅速に従業員や顧客の安否確認を行う体制作りや、緊急時における意思決定のルール作成が挙げられます。また、緊急時における仕入先の被災状況の確認手段と、材料・部品の代替供給先の確保も必須です。

バックアップ関連としては、中核業務に必要なシステムやサーバーのバックアップや、本社など主要拠点が機能不全に陥った場合に、替わりに司令塔となるバックアップ拠点の選定などが挙げられます。

事業継続計画(BCP)を策定しなければ、緊急時の混乱により初動が遅れます。従業員や顧客の安全を確保が難しくなることに加え、結果として復旧の遅延により、事業の縮小や業績低迷も考えられます。万が一に備え、早い段階から事業継続計画(BCP)の策定に取りかかることが重要です。

なお、すでに計画を策定している場合においても、アップデートが必要です。「内閣府」の防災情報ページ に掲載されている「事業継続ガイドライン」などを参照し、定期的に見直すことをおすすめします。

安否確認システムの導入

災害は、従業員全員がオフィスにいる時間に起こるとは限りません。営業時間外に災害が発生した場合に電話やメールで安否確認を行おうとしても、非常時は回線がパンクしてつながりにくいためスムーズに進まないこともあります。
そこで、安否確認システムを導入し、従業員の安否を迅速に確認できる体制を整えておくことが重要です。

安否確認システムには、メールや電話以外にもアプリやSNSなどの複数の連絡手段を利用できるものがあります。加えて、地震情報や大雨洪水警報に伴って気象庁から自動で安否確認が配信される機能や、けがの有無や出社の可否を従業員が回答できる機能などが備わっているものもあります。

業務に従事できる人員がいなければ、事業継続計画(BCP)の通りに事業を継続することや、復旧作業においても支障が出るでしょう。安否確認システムによって迅速かつ正確に従業員の安否を確認し、スムーズに事業継続を行えるようにしておくことが重要です。

在宅勤務環境の整備

在宅勤務環境の整備

災害時には、オフィスそのものや周辺の町、交通インフラが機能不全になることもあります。従業員の出社が困難な場合は、長期にわたって自宅でのテレワークを余儀なくされることもあるでしょう。平時から在宅勤務環境を整えておけば、被災していない従業員が自宅で業務を行って事業を継続することが可能になるため、企業防災のひとつとして重要な要素のひとつとなります。

在宅勤務環境の整備

在宅勤務をスムーズに実施するには、環境の整備が欠かせません。ノートパソコンやWi-Fiなど無線LANをはじめとしたIT環境の整備や、クラウドサーバーやウェブ会議ツールなどの準備などが必要です。ほかにも、各人がタスクやスケジュールの進捗管理をするためのツールも必要になる可能性もあるため、事前にさまざまな視点での準備をしておく必要があります。

まとめ

「自然災害がいつ発生するのか」については、予測がつかないことがほとんどです。災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)を策定し、万が一に備えることが大切です。また、これから本格的な企業防災に取り組む場合、法人企業向けの防災サービスを利用することも有効です。

防災備蓄品準備の一例として、株式会社パソナ日本総務部では、防災備蓄品の新規購入・在庫管理・賞味期限通知・不要備蓄品引き取りを一括でお受けする「防災備蓄品ワンストップサービス」を提供しています。防災における危機管理のまずは第一歩として、参考にしてみてはいかがでしょうか。

ほかにも、VRを用いて災害時の再現を行う「バーチャル防災訓練」のサービスは、従業員の防災スキルを上げる高度な訓練が可能であるとともに、危機意識の啓蒙につなげることができます。
なお、企業防災については、「企業の災害・防災備蓄品とは?BCP対策に必要な品目や量の目安・保管方法を紹介」でも掘り下げております。よろしければご一読ください。

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