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2025年10月03日 配信
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企業が防災教育を行う主な理由・種類・注意点をご紹介

企業が防災教育を行う主な理由・種類・注意点をご紹介
防災,BCP

災害はいつ発生するか予測できず、企業にとって従業員の安全確保と事業継続は大きな課題です。そのため、防災教育や訓練を日頃から行い、避難方法や初期対応、安否確認の手順などを習得しておくことが不可欠です。

今回は、企業が実施すべき防災教育の種類や、訓練を行う際の注意点をご紹介します。

企業が防災教育を行う主な理由

まずは、企業が防災教育を行う主な理由をご紹介します。

従業員の安全を守る責任があるため

企業には、労働契約法第5条に基づき、従業員が安全かつ健康に働ける環境を確保する義務(安全配慮義務)があります。そのため、防災教育の実施は重要な取り組みのひとつです。地震や火災など予測できない災害が発生した際に、従業員が迅速かつ適切に行動できるよう、避難方法や応急処置の知識を事前に身につけてもらうことは、企業が負う安全配慮義務の具体的な対応といえます。
こうした取り組みは、従業員の命を守るだけでなく、企業としての法的責任を果たすことにもつながります。

大規模な震災が起こる可能性があるため

日本は世界有数の地震多発国であり、常に大規模震災のリスクにさらされています。企業にとって、従業員の安全を守ることはもちろん、事業の継続性を確保するためにも備えが不可欠です。
防災教育を通じて従業員が正しい避難行動や初期対応を身につけることで、被害の拡大を防ぎ、混乱を最小限に抑えることができます。日頃からの準備と訓練は、企業と従業員の双方を守るために重要です。

業務を継続させるため

災害が発生した場合、従業員の安全確保だけでなく、企業の事業継続(BCP: Business Continuity Planning)も重要な課題となります。防災教育を通じて、従業員が緊急時の対応手順や業務の優先順位を理解しておくことで、被害を最小限に抑えつつ、必要な業務を迅速に再開できる体制を整えることが可能です。
また、定期的な訓練やシミュレーションを行うことで、災害時の混乱を防ぎ、企業としての信頼性や社会的責任を維持することにもつながります。業務を継続するための備えは、従業員の安全と同様に、企業にとって不可欠な取り組みです。

企業が行う防災教育の種類

企業が行う防災教育の種類は、主に以下の8つです。

通報訓練

通報訓練は、災害発生時に迅速かつ正確な連絡を行うための訓練です。従業員が火災や地震などの緊急事態を発見した際に、社内の関係部署や消防・警察などの外部機関へ正確に通報できることが求められます。
この訓練では、通報手順や連絡先の確認、報告内容の整理などを実際にシミュレーションします。日頃から通報訓練を行うことで、緊急時の混乱を減らし、初動対応を迅速に行える体制を整えることができます。

初期の消火訓練

初期の消火訓練は、火災発生時に被害を最小限に抑えるための基本的な訓練です。従業員が消火器や屋内消火栓の使用方法を正しく理解し、冷静に対応できるようにすることが目的です。訓練では、火災報知器の作動確認や初期消火の手順、消火器の取り扱い方法を実際に体験しながら学びます。
日頃から訓練を行うことで、緊急時に冷静かつ迅速な行動が可能となり、火災の拡大を防ぐとともに、従業員の安全と企業資産の保護につながります。

救助訓練

救助訓練は、災害発生時に負傷者や取り残された従業員を安全に助けるための訓練です。従業員は、搬送方法や安全確保の手順などを実践的に学びます。また、避難経路の確認やチームでの連携も重要なポイントです。
定期的な訓練を通じて、緊急時に冷静かつ的確な判断ができる力を養うことで、被害の拡大を防ぎ、従業員の安全確保と迅速な救助体制の構築につながります。

応急手当訓練

応急手当訓練は、災害や事故によって負傷した従業員に対し、適切な初期対応を行うための訓練です。心肺蘇生(CPR)や止血、包帯の巻き方などの基本的な手当方法を学び、緊急時に迅速かつ安全に対応できる力を身につけます。また、救急隊への連絡や応急処置の優先順位も理解することで、被害の拡大を防ぎ、従業員の生命や健康を守ることにつながります。

避難訓練

避難訓練は、地震や火災などの災害発生時に、従業員が安全かつ迅速に避難できるようにするための訓練です。避難経路や避難場所の確認、集合時のルール、緊急時の連絡方法などを実際に体験しながら学びます。また、車椅子利用者や高齢者などへの対応も含め、全員が円滑に避難できる体制を整えることが重要です。

安否確認訓練

安否確認訓練は、災害発生時に従業員一人ひとりの安全を迅速に把握するための訓練です。社内の連絡網や安否確認システムを使用し、正確かつスムーズに情報を収集・伝達する手順を実践します。従業員が混乱せずに連絡を行えるようにすることで、初期対応の遅れを防ぎ、必要な支援や避難指示を迅速に行うことが可能になります。

帰宅困難時の訓練

帰宅困難時の訓練は、大規模災害により公共交通機関が利用できず、従業員が帰宅できない状況に備える訓練です。オフィスや指定避難場所で安全に過ごすための手順や、食料・水・医療品の備蓄管理、情報収集の方法などを学びます。また、連絡手段の確保やチームでの行動ルールを確認することで、混乱を最小限に抑え、安全かつ秩序ある対応が可能となります。

リモート防災訓練

リモート防災訓練は、テレワークや在宅勤務の従業員を対象に、オンライン環境で災害時の対応力を高める訓練です。避難手順や安否確認の方法、緊急時の連絡フローをオンラインで確認・共有することで、各自が安全に行動できる知識を習得します。また、災害発生時の情報収集や報告の方法もシミュレーションを行い、遠隔勤務中でも混乱を避けて迅速に対応できる体制を整えます。
定期的に実施することで、在宅勤務環境においても企業全体の防災対応力を維持することが可能になります。

企業が防災訓練を行う際の注意点

ここでは、企業が防災訓練を行う際の注意点をご紹介します。

防災マニュアルを定期的に見直す

防災訓練の効果を高めるためには、防災マニュアルを定期的に見直すことが重要です。災害発生時の対応手順や避難経路、連絡先、備蓄物資の情報は、時間の経過やオフィス環境の変化に応じて更新が必要になることがあります。訓練後のフィードバックや法令・ガイドラインの改定内容を反映させることで、マニュアルが常に現状に即したものとなります。これにより、従業員が実際の災害時に混乱せず、安全かつ迅速に行動できる体制を維持することができます。

防災マニュアルをいつでも閲覧できるようにする

防災訓練を効果的に行うためには、防災マニュアルを従業員がいつでも閲覧できる状態にしておくことも重要です。紙媒体やクラウドサービスなど複数の方法でアクセス可能にしておくことで、訓練時はもちろん、災害発生時にも迅速に情報を確認できます。また、緊急時には冷静な判断が求められるため、誰もがすぐに手順や連絡先、避難経路を確認できるようにしておくことが、従業員の安全確保と企業全体の迅速な対応につながります。

まとめ

企業が行う防災教育は、従業員の安全確保と事業継続の両立を目的としています。通報訓練や消火訓練、避難訓練など多様な訓練を通じて、災害時の初動対応力を高めることが重要です。また、近年ではテクノロジーを活用した防災教育も注目されています。

たとえば、パソナ日本総務部が提供する「そなトレ」は、防災・減災力の向上を支援するeラーニングサービスです。VR体験を通じて、災害発生時に求められる「判断力」や「行動力」を安全な環境で体験的に身につけることができ、地震や火災などさまざまなシナリオをゲーム感覚で学ぶことができます。これにより、従業員一人ひとりが主体的に防災意識を高めることが可能になります。

さらに、パソナ日本総務部では「バーチャル防災訓練」も提供しており、チームや組織全体を対象としたVR訓練を実施できます。実際の災害を模したシミュレーションを通じて、従業員が連携しながら初動対応や意思決定を体験できるため、遠隔勤務や大型オフィスでも効果的な防災訓練を実施できます。
この機会に、実践的な訓練手法として導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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