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2026年10月15日 配信
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企業BCPの盲点!災害用トイレ備蓄の重要性を解説│何個必要?計算式もご紹介

企業BCPの盲点!災害用トイレ備蓄の重要性を解説│何個必要?計算式もご紹介
防災,BCP

災害発生時、企業の事業継続計画(BCP)において見落とされがちなのが「災害用(防災用)トイレ」の備蓄です。水や食料の備蓄を進める企業は多いものの、トイレ対策が不十分であると、いざというときに業務再開はおろか、従業員の健康維持も困難になるケースが考えられます。 本記事では、企業における災害用(防災用)トイレの重要性や具体的な必要量の計算式、災害用(防災用)トイレ選定のポイントを解説します。

目次

なぜ企業のBCP対策で「災害用トイレ」が見落とされがちなのか?

多くの企業が防災備蓄を進める中で、なぜかトイレ対策だけが後回しにされる傾向があります。その背景には、水や食料など一般的な備蓄品との意識の差や、都市型災害の盲点、オフィスのスペース事情が複雑に絡み合っているようです。

食料・水に比べて大幅に遅れる企業のトイレ備蓄実態

東京都が実施したアンケート調査によると、従業員用の飲料水を3日分以上備蓄している事業者は49.8%、食料品は49.1%に達しています。3日未満の備蓄も含めれば、飲料水は80.5%、食料品は74.7%の事業者が実施しています。しかし、その一方で「災害用トイレ」の備蓄状況をみると、3日分以上備蓄している事業者はわずか33.8%にとどまり、3日未満を含めても53.0%と、水や食料に比べて備えが大幅に遅れているのが実態です。「食べる・飲む」対策に比べて「出す」対策は心理的に目を背けやすく、BCP(事業継続計画)の大きな盲点となっています。

災害時にオフィスの水洗トイレが使えなくなる、その理由

「大地震が起きても、オフィスビルは頑丈だからトイレも大丈夫だろう」と思われがちですが、これは大きな誤解です。
実は大きな地震の発生時には、多くのオフィスビルで水洗トイレが使用できなくなると考えられています。その理由として、停電による給水ポンプの停止や断水による水源の枯渇が挙げられます。また、ビル自体の給排水管が損壊したり、地中の汚水処理施設や下水道管が被災したりした場合は、見た目には異常がなくても、上層階で流した汚水が下層階で逆流・溢出するという深刻な事態が起こる可能性があります。これらのことから、停電や断水の解消、給排水管等の安全が確認されるまでは、ビルのトイレへの立ち入り・使用禁止となることが大いに予想されます。
こうした事態まで想定されていないことも、トイレの備蓄が進んでいない理由のひとつと言えるでしょう。

備蓄スペースの不足も導入の大きなハードルに

東京都の調査でも、従業員向けの防災備蓄が行えていない、あるいは進まない理由として、「備蓄の保管スペースを確保することが難しい」という回答が35.5%と最も多く挙げられています。災害用トイレには省スペースで保管できるコンパクトな製品も数多くありますが、やはり都心のオフィスビルなど限られた床面積の中で、水や食料に加え、災害トイレの備蓄用段ボール箱をいくつも保管するスペースを確保するのは、総務担当者にとって頭の痛い問題です。

災害用トイレ対策を怠った場合の企業リスク

備蓄コストの増加や保管スペースの確保など、災害用トイレの備蓄には現実的な課題が山積しているのも事実です。しかし、どんな悩みがあろうとも、企業における防災備蓄でトイレ対策を後回しにすることはできません。なぜなら、災害時のトイレ不足は、単なる不便さだけでなく、企業の事業継続や法的責任にも関わる重大なリスクとなるためです。

従業員の健康被害と震災関連死のリスク

災害用トイレが不足すると、従業員はトイレに行く回数を減らそうとして、無意識に水分や食事の摂取を控えるようになります。これにより、脱水症状やエコノミークラス症候群、尿路感染症などを引き起こし、最悪の場合は命に関わることもあり得ます。実際に、阪神・淡路大震災では約900人が震災関連死として認定されていますが、そのうち3割程度が心筋梗塞や脳梗塞であり、避難生活中にトイレを無理に我慢したことによる水分不足や極度のストレスが引き金になったと指摘されています。

衛生環境の悪化・感染症拡大による事業復旧の遅延

災害用トイレの備蓄が不足していることを理由に、水洗トイレが使えない状態にもかかわらず無理に使用を続けると、排泄物が便器内や排水管に滞留し詰まりを起こし、やがて便器から溢れかえることになり、オフィス全体に悪臭が漂ってしまうでしょう。また、劣悪な衛生環境や衛生設備の不備はノロウイルスなどによる感染症リスクを増大させます。ひとたび社内で集団感染が発生すれば、従業員の健康が損なわれるだけでなく、BCP(事業継続計画)に基づく復旧活動にも大きな支障が生じ、早期の業務再開が困難になるおそれがあります。

帰宅困難者対策条例と企業の安全配慮義務

東京都の「帰宅困難者対策条例」では、災害発生時の一斉帰宅による救助・救命活動の妨げや、徒歩帰宅中の余震などによる二次災害を防ぐため、従業員が最低3日間は事業所内にとどまるための水や食料、災害用トイレなどの備蓄を企業の努力義務としています。さらに、企業には労働契約法に基づく安全配慮義務があり、災害時であっても従業員の生命や身体の安全、健康的な環境を確保する義務を負っています。災害用トイレ対策を怠ったことで従業員に健康被害が出た場合、企業としての社会的信用失墜や法的責任を問われるリスクが生じます。

企業に必要な災害用トイレの備蓄数は何個?計算式や具体例を解説

従業員の安全や事業継続に必要な、災害用トイレの重要性を理解していても、実際に「自社には何個必要なのか」という具体的な数量の把握に悩む総務や防災担当者は少なくありません。安全確保と確実な事業継続のためにも、経営層への予算申請においては曖昧な勘ではなく、論理的で説得力のある数値的根拠に基づいて備蓄数を算出し備えることが重要です。

災害用トイレの備蓄数を導き出す基本計算式

災害用トイレの必要数を算出する基本的な数式は以下の通りです。
「従業員数 × 1日あたりの平均トイレ利用回数(5回) × 待機想定日数(3日)」
人間の1日の平均トイレ利用回数は一般的に5回程度とされています。また、ここでは自治体の帰宅困難者対策などに基づき、救助活動が落ち着くまでの目安、および人命救助のための交通路確保など、ごく一部の緊急インフラ復旧の開始期間として「災害発生後3日間」を基準に設定します。

【従業員規模別】オフィス備蓄数の早見シミュレーション

従業員の規模に応じた、基本となる3日分の備蓄数目安をシミュレーションします。

  • 従業員50名の場合:50名 × 5回/日 × 3日 = 750回分
  • 従業員100名の場合:100名 × 5回/日 × 3日 = 1,500回分
  • 従業員250名の場合:250名 × 5回/日 × 3日 = 3,750回分

このように、従業員が250名程度の中堅規模の企業では、約3,750回分の災害用トイレの備蓄が必要となります。この数字を明確に示すことで、経営層に対しても「なぜその予算と保管スペースが必要なのか」を客観的に説明できるようになります。

ライフライン復旧の遅れや、来客や帰宅困難者の受け入れを想定した追加備蓄の考え方

算出された基本数に加え、追加備蓄の必要性についても検討する必要があるでしょう。大地震発生時などは、想定よりもライフラインの復旧が遅れ水洗トイレが使えなくなる期間が長期化する恐れもあるため、内閣府などの公的機関が推奨する7日分の備蓄について検討しておきましょう。
また、オフィスにいる時間帯の「来客」や、地域貢献の一環として「自社の社員以外の一時帰宅困難者」を受け入れる可能性も考慮する必要があります。さらに、シフト制で24時間稼働する工場や拠点などでは、夜間勤務者の人数も含めた上乗せが必要です。基本の計算値にある程度の予備を持たせておくことが、実効性のある防災計画にするポイントです。

失敗しない企業向け災害用トイレの選定ポイント

災害用トイレは数さえ揃えれば良いというものではありません。オフィス環境を守り、限られた予算内で長期的に運用するための選定基準を詳しく見ていきましょう。

既存の便器を活用できる「携帯トイレ(便袋+凝固剤)」が主流

企業の備蓄としてよく選ばれているのは、オフィス内トイレの既存の便器に袋を被せて使用する「携帯トイレ(便袋と凝固剤のセット)」です。段ボール製の仮設トイレを組み立てる必要がなく、個室のプライバシーを維持したまますぐに使用できます。既存の便器にそのままセットできる互換性の高い製品が便利です。

執務環境を守る「防臭性」「抗菌性」「凝固スピード」

限られたオフィス空間で多くの人間が過ごすため、排泄物のニオイ対策は最優先事項です。そこで重要になるのが、凝固剤の性能です。例えば、凝固スピードが速い製品であれば、排泄物をすばやく固めてニオイの広がりを抑えられます。さらに、抗菌・防臭性能や凝固性能について試験データが公開されている製品を選ぶことで、社内の衛生的な環境維持と従業員の精神的ストレスの緩和を同時に実現できます。

更新コストを抑える「長期保存性」と「コンパクト設計」

防災備蓄品にはいずれも使用期限があり、数年ごとに買い替え時の「更新コスト」が発生します。
災害用トイレにおいては、排泄物を固める凝固剤のために使用期限が設定されています。凝固剤は直射日光や湿気などに弱く、品質が落ちると排泄物を吸収できなくなったり、防臭効果が出なかったりというおそれがあるためです。一般的な災害用トイレの使用期限は5〜10年ですが、なかには15年程度の長期保存が可能なものもあります。
災害用トイレを選ぶ際は、買い替えの手間やコストを抑えられる長期保存性と、限られた保管スペースを圧迫しないコンパクト設計のものを選ぶことがポイントです。

災害用トイレと併せて準備すべき衛生用品

災害用トイレとセットで必ず備蓄しておくべき衛生用品も、忘れずに整備しておきましょう。

  • トイレットペーパー(1人あたり1週間で1ロールが目安)
  • 便袋を縛るための結束バンドや追加のゴミ袋
  • 手指消毒液や除菌シート(水が使えない状況での必須アイテム)
  • 個室内のランタンや簡易ライト(停電時のトイレ個室は真っ暗になるため)

発災時に混乱しないための保管場所と運用ルール

災害用トイレや衛生用品を適切に準備しても、実際の災害発生時に誰が、どこから取り出し、どのように使用・処理するかの運用ルールが決まっていなければ、現場で混乱が生じます。このリスクを最小限に抑え、非常時でも従業員が迅速かつ衛生的にトイレを利用できるようにするには、保管場所の選定から初動対応、日常の維持管理に至るまで実効性の高い運用ルールを決めておくことが不可欠です。

取り出しやすさを考慮した分散配置と保管方法

備蓄品をすべて地下のフロアや奥まった倉庫の1か所などに集中保管していると、地震によるドアの歪みやエレベーターの停止、浸水などで取り出せなくなる恐れがあります。特に災害トイレの備蓄は、各階の給湯室や、男子・女子トイレの付近など、使用する場所の近くに分散配置するのが理想的です。保管場所には大きく目印をつけ、誰でも迷わず取り出せるようにしましょう。

使用済み便袋の回収・一時保管・廃棄手順の明確化

災害時に最も問題となるのが「使用済みの便袋をどう回収し、どこに捨てるか」です。これらを一般ゴミと同様に放置すると、悪臭や感染症の原因になります。事前に、以下のような手順をマニュアル化しておく必要があります。

  1. 使用後の袋は各自できつく結び、指定された大容量の防臭袋に入れる。
  2. 回収した汚物は、可能な限りオフィスフロア内ではなく、ビル指定ゴミ置き場など一時保管専用の場所を決めて集積する。
  3. 地域の自治体や事業系ごみ回収を委託している許可業者、自社が入居するビルオーナーなどに「災害時の簡易トイレの廃棄方法(可燃ごみとして出してよいか、回収のタイミングなど)」を事前に確認しておく。

こうした回収・一時保管・廃棄のプロセスをマニュアルで規定しておくことで、発災後の混乱を抑制することができます。

BCP実効性を高める社内周知と防災訓練での活用

どれだけしっかりとしたマニュアルを作っても、従業員がその存在や内容を知らなければ意味がありません。社内イントラサイトやメールなどで周知するとともに、ぜひ定期的に実施する防災訓練の中で、実際に水洗トイレの便器に携帯トイレ(便袋)を取り付け、凝固剤を使用して固める一連の流れをデモンストレーションする機会を設けましょう。凝固剤を投入して水分がすばやく固まる様子を実際に体験しておくことで、被災時における従業員の不安や使用への抵抗感が大きく軽減され、防災対応力向上につながります。平時の防災訓練において、設置から廃棄までの具体的な手順を周知徹底しておくことが、発災時の円滑なトイレ運用を実現する鍵となるでしょう。

まとめ:根拠ある計算式で災害用トイレ備蓄を整え、実効性のあるBCPを

災害用トイレの備蓄は、単に条例上の努力義務を果たすためのものではなく、災害発生時に従業員の健康と尊厳を守り、事業復旧に向けたマンパワーと士気を維持するための「投資」です。「最低でも従業員数 × 1日5回 × 3日分」の客観的な計算式をもとに必要数を明確に算出し、自社の保管環境や更新サイクルに適した保存期間、衛生面を保つ防臭・抗菌性能などを基準に選定し、抜け漏れのない防災管理体制を整えましょう。万全の災害トイレ対策こそが、貴社のBCPを実効性のある確かなものへと変える第一歩です。

パソナ日本総務部の「防災備蓄品ワンストップサービス」は、企業の防災対策をトータルでご支援しています。貴社にとって最適な備蓄品の提案から購入、管理システムによる在庫の見える化・期限切れ前の通知、不用品の引き取りまで、防災備蓄に関する業務をワンストップでサポート。貴社の防災体制を、より確実で効率的なものへと変革します。

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