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2026年11月05日 配信
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会社のパワースポットは、実はトイレ?
バイオフィリックデザインが生み出す、“ひと息つけるオフィス”という価値

会社のパワースポットは、実はトイレ? バイオフィリックデザインが生み出す、“ひと息つけるオフィス”という価値
オフィス環境,ウェルビーイング

オフィス回帰が進む一方で、「わざわざ出社したくなるオフィス」をどうつくるかに頭を悩ませる経営者や、築年数の経過とともに賃料や稼働率の維持が難しくなってきたビルオーナーは少なくないはずです。エントランスや執務スペースのリニューアルに目が向きがちですが、実は見落とされがちな“伸びしろ”があります。それが「トイレ」です。本コラムでは、自然の要素を取り入れる「バイオフィリックデザイン」を手がかりに、ビルの価値とオフィスの魅力を同時に高める新しいトイレのあり方を考えます。

ビルのバリューアップは「共用部の体験」で決まる時代へ

立地や築年数、坪単価といったスペックだけでは、ビルの差別化が難しくなっています。テナント企業が重視しているのは、そこで働く従業員が「快適に、気持ちよく働けるかどうか」。人手不足が続き、採用やエンゲージメント向上が経営課題となる中、オフィスは従業員を惹きつけ、つなぎとめるための重要な経営資源になりました。

内覧時、テナント担当者が必ずチェックする場所のひとつがトイレです。毎日、すべての従業員が何度も利用する空間だからこそ、その印象は「このビルで働きたいか」に直結しやすいといえます。共用部であるトイレの刷新は、テナント満足度の向上や入居検討時の評価アップにつながる、費用対効果の高いバリューアップ施策のひとつです。

さらに近年は、上場企業を中心に、テナント企業側も「人的資本への投資」を社外に説明することが求められています。従業員の働きやすさに配慮したビルであることは、入居企業にとって自社の取り組みとしてアピールできる材料となり、長く入居し続ける理由にもなります。

職場トイレの快適さが、仕事の満足度と幸福感につながる

横浜市立大学と株式会社LIXILが、職場に通勤する20歳以上の男女1,957人を対象に行った調査(※)では、職場トイレの満足度が仕事の満足度に有意な影響を与え、さらに仕事の満足度が生活全体の満足度(主観的ウェルビーイング)に寄与することが示されました。職場のトイレは単なる設備ではなく、仕事への満足度を通じて、働く人の幸福感にまで影響する可能性があります。

満足度を左右する要素には、男女で違いも見られました。男性は「嫌なにおいがしない」を最も重視し、次いで「空間のゆとり」を挙げています。女性は「清潔さ」や「空間のゆとり」に加え、手荷物を置くスペースや上着をかける場所、室温といった細やかな配慮が満足度に影響していました。研究者は、トイレが心と体を整える身近な「小さな居場所」になり得ると述べ、全従業員一律の改善から、ジェンダーに配慮したきめ細やかな設備投資への転換が必要だと指摘しています。トイレはもはや「あって当たり前の設備」ではなく、従業員の働く意欲や幸福感を支える重要な場所なのです。

※出典:横浜市立大学「ウェルビーイングと職場のトイレ環境の関係について調査を実施 ~職場トイレの快適性が仕事の満足度ひいてはウェルビーイングにつながることを示唆~」(2025年11月10日発表)。調査主体:株式会社LIXIL、横浜市立大学/調査期間:2025年8月8日~10日/調査方法:ウェブ調査/有効回答数:1,957人(男性956人、女性1,001人)

トイレにバイオフィリックデザインを取り入れるという発想

バイオフィリックデザインとは、人が本来持っている「自然とつながりたい」という欲求(バイオフィリア)に着目し、植物や自然光、木や水といった素材、自然の音や香りなどを建築・インテリアに取り入れる考え方です。オフィス空間では、ストレスの軽減や集中力・創造性の向上につながる可能性があるとして、国内外で注目が高まっています。

そして、トイレは従業員がオフィスの中でひとりになれる数少ない場所でもあります。プレゼン前に頭を整理する、誰の目も気にせずちょっと休憩する、ひとりでアイデアを練る、PC作業で疲れた心身を回復させる――。そんな短いひとときに緑や自然の音に包まれてひと呼吸おくことで、気持ちの切り替えがしやすくなるかもしれません。「快適」「清潔」「ひとりになれる」だけでなく、ストレスがやわらぎ、パワーチャージでき、アイデアが生まれる“会社のパワースポット”のような空間になることが期待できます。

私たちは、こうした考え方をトイレに取り入れた空間を「バイオフィリックトイレ」と呼んでいます。執務スペース全体を改装するのに比べ、比較的小さな空間から取り入れられる点も、トイレならではの利点です。

トイレで期待できるバイオフィリックデザインの効果

緑の癒し

空間のテーマに合わせた植栽を施すことで、視覚からのリラックス効果が期待できます。

深呼吸したくなる空気

消臭効果が期待される森林浴成分「フィトンチッド」を活用し、森の中にいるような心地よい空気に近づけます。

自然の音

人工的な流水音に心地よい自然音を加えることで、緊張をほぐし、落ち着いた空間を演出します。

香りと光

フロアやテーマごとにアロマや照明の明るさ・色温度を変えることで、目的に合った気分づくりをサポートします。

こもりすぎへの配慮

照明が徐々に暗くなるフェードアウト機能を組み合わせれば、長時間の滞在を自然に防ぐことができます。

フロアごとに「目的」を変えられる5つのテーマ例

フロアごとに異なるテーマで空間をつくれば、従業員はその日の気分や目的に合わせてトイレを“選ぶ”ことができ、社内を歩く動機やコミュニケーションのきっかけが生まれることも期待できます。ここでは5つのテーマ例をご紹介します。

Focus(集中)

Focus(集中)

プレゼン前に集中して頭を整理したいときに。玉砂利や飛び石を取り入れた静謐で凛とした空間が、気持ちを集中モードに切り替える助けになることが期待できます。

Refresh(リフレッシュ・リチャージ)

 Inspiration(ひらめき)

PC作業に集中しすぎて疲れたときに。自然を感じながら心身をリフレッシュすることで、その後の仕事に向けた活力を取り戻すきっかけになるかもしれません。

Inspiration(ひらめき)

Inspiration(ひらめき)

ひとりになってアイデアを考えたいときに。散歩しているかのように流れる映像や、ハイレゾ自然音が想像力を刺激し、自由な発想を促してくれます。

Communication(コミュニケーション)

Communication(コミュニケーション)

執務室ではない場所で、カジュアルに本音で話したいときに。木とベンチのある“井戸端会議”のようなパウダールームが、気軽な会話を生み出してくれます。

Relax(リラックス)

Relax(リラックス)

誰の目も気にせずちょっと休憩したいときに。大地や大自然を感じさせる空間で、上手に気分転換ができるかもしれません。

たとえば、営業部門のフロアには商談前に気持ちを整える「Focus」、企画・開発部門のフロアには発想を広げる「Inspiration」というように、部署の働き方に合わせてテーマを選ぶことも考えられます。ビル全体で複数のテーマを展開すれば、テナント企業にとって「ここでしか得られない体験」となり、ビルのブランド価値を高める要素にもなり得ます。

ESG・人的資本経営・健康経営への具体的な一手として

ESG、人的資本経営、健康経営、ジェンダーニュートラル――企業を取り巻くキーワードは年々増え、取り組みの「見える化」も求められています。トイレへのバイオフィリックデザインの導入は、従業員のウェルビーイング向上につながる、目に見えて伝わる取り組みです。男女それぞれのニーズに配慮しつつ、性別や年齢を問わず誰もが心地よく使える空間づくりは、多様な人材が活躍できる職場づくりにも通じます。従業員一人ひとりが「大切にされている」と実感できる環境は、定着率や企業ブランドの向上にもつながると期待できます。

経営者の方にとっては、従業員満足度やエンゲージメントの向上、採用活動での魅力発信につながる取り組みになり得ます。ビルオーナーの方にとっては、築年数を重ねた不動産を、テナントに選ばれ続ける価値ある不動産へと再生するための、新しいバリューアップの選択肢になるかもしれません。大規模な改修工事に比べ、日常の満足度に関わる場所から着手できる点も魅力です。

まとめ

「自社のオフィスのトイレを見直したい」「保有ビルの共用部をリニューアルしたい」「どのくらいの規模から取り入れられるのか知りたい」――そんなご関心をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。パソナ日本総務部が提供するバイオフィリックデザインソリューション「COMORE BIZ(コモレビズ)」では、さまざまな研究パートナーと共に、植物や自然音がワーカーに与える影響について研究を行っています。実験から得られたエビデンスに基づいて設計を行うことで、他のビルと差別化できる共用部を実現できます。ビルや企業の課題、フロア構成に合わせて、テーマとプランをご提案します。毎日使う場所だからこそ、小さな変化も従業員やテナントに伝わりやすいはずです。トイレから、ビルとオフィスの価値を見つめ直してみませんか。

※本記事に掲載しているコンセプト、空間設計の考え方、テーマ構成およびオリジナルアイデアの無断転用・複製・二次利用はご遠慮ください。本記事で提案する「バイオフィリックトイレ」は、パソナ日本総務部がCOMORE BIZを通じて蓄積してきたエビデンスをもとに開発した独自コンセプトです。導入にはエビデンスに基づく企画・設計・運用が重要となりますので、ご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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